四年ぶりにギターの練習をしているのだが、いっときギターを握っていなかったために、手がギターに馴染まない。指先の硬さなどから考えると、満足に弾けるようになるまでには、けっこう時間を要しそうだ。
とはいえ、そういうことは時間が解決してくれるだろう。ところが、ここで新たな問題が起きた。それは、ピックがうまくつかめないということだ。ギターを弾いている最中にピックがツルツル滑ってしまい、演奏が安定しないのだ。そのためにリズムが狂ったりすることもあるし、ピックが指から離れて落ちてしまうこともある。ギターを愛する者として、これは大きな問題である。
『なぜこんなことになるんだろう』と考えていた時、ふとあることを思い出した。それは、本をめくる時に指をなめる人のことである。
指をなめるという行為、あれは指に適度な湿り気がなくなり、紙にうまく指が引っかからなくなったためにやるのである。指が引っかからない、これはピックがうまくつかめないことと同じことではないか?
指をなめるのは、圧倒的に年寄りに多い。つまり、老化が指先の湿り気を奪うのだ。
老化・・・・。これまでぼくが避けてきた言葉であるが、この現実は受けとめなくてはならない。その上で、これからのことを考えなければならない。