吹く風ネット

警備のおっさん

2002年1月12日の日記です。

 会社が警備員として雇っているおっさんがいる。何年か前に関連会社から転籍して来た人だ。
 警備員は、制服を着て店内を巡回し、万引きを捕まえないまでも、お客にそういう気を起こさせないようにするのが、本来の仕事である。ところがこのおっさんの考え方は違う。このおっさんの巡回というのは、商品を見て歩くことだ。そして、そこに気に入った商品やお買い得品があれば買うことだ。
 今年の初売りで、3本198円のビデオテープを出していたのだが、このおっさんは仕事中にもかかわらず、買い物かごを2つ持って来て、その中に目いっぱいビデオテープを詰めていた。ぼくたちがじっと見ていると、おっさんは、
「ははは、心配せんでも、他のお客さんの分はちゃんと残してますよ」と言って、レジに持って行き、お金を払っていた。

 おっさんは万引き警報が鳴っても、そこに行こうとはしない。後でのん気に「何かあったんですか?」と聞いてくるだけだ。
 以前ぼくが万引きを見つけて追いかけていると、ぼくの前に立ちはだかり、ヘラヘラ笑いながら
「慌ててどうしたんですか?」と言うのだ。ぼくが
「万引きです。いっしょに追いかけて下さい」と言うと、
「万引きですか。それは大変だ」などと言って、ぼくのはるか後ろをノコノコ付いて来るだけだった。

 警備員というのは、ただ店内を巡回しているだけでも、ある程度の万引きを防ぐことが出来る。しかし、このおっさんは落ち着きがなく、いつもどこにいるのかわからない。不審な人物がいても知らん顔。そういう人物を見つけると、見張ることもせず、すぐに他の場所に行く。結局、ぼくたち従業員が嫌な思いをして見張っていなければならない。

 長々とこのおっさんの悪口を書いたのにはわけがある。
 今日の話だが、ぼくはいつものように午後4時から遅い昼食をとっていた。食事が終わり、一服していると、急に便意(大)を催した。慌ててトイレに駆け込んだが、使用中。しかたなく食堂に戻り、待つことにした。
 5分ほどしてまたトイレに行ったが、まだ使用中。「長い」と思いながら、今度は外で待つことにした。それから5分して、トイレに行ってみると、あいかわらず扉は閉じたままだ。
 再び食堂に戻り、そこにいた人達に
「さっきからずっとトイレ使用中っちゃね」と言っていると、また催してきた。
「ああ、我慢出きん」と言ってトイレに走って行った。
 まだ使っている。あれからもう20分は経っている。
 食堂に戻り、声を荒げて
「だいたい、20分もトイレにはいっとる奴がおるか!!」と言った。周りは笑っていたが、こちらは笑いごとではなかった。
 いよいよ我慢できなくなった。またトイレに駆け込んだ。あいかわらずだ。
今度はトイレの中で待つことにした。
 しばらくすると、個室の鍵が開き、そこから人が出てきた。何と、警備のおっさんである。しかも白い手袋をしたままだ。
 ぼくはおっさんが出た後、すぐに個室に入るのをためらった。一度食堂に戻り、そのことを報告することにした。
「警備のおっさんやった。ふざけとるのう、20分も」と言った。さっきから食堂にいたパートさんが
「ああ、あの人ね。しかし、出たんなら何でトイレせんとね」と言うので、ぼくは
「あの人が出た後に、すぐに入るようなことはしたくない。わかるやろ?!」と言うと、また爆笑になった。
 それから数分後、いよいよ我慢できなくなったので、トイレに行き、個室に入った。
「ん?」、全然臭くないのだ。「あの人は、ここで何してたんだろう」と思いながら、ぼくは用を足した。

 しかし、考えれば考えるほど頭にくる。だいたい、手袋をしたままトイレをする奴なんていない。仮に用を足した後で手袋をするにしろ、いったんは出てから手を洗うはずである。ということは、やはりトイレ目的で使用してないことになる。こちらは焦っているのに、あちらは悠然としてトイレ以外のことをしている。
 食堂に戻ると、庶務の女性がいた。そこでぼくは
「おい、あの警備のおっさんに従業員トイレを使わせんようにしろ」と言った。
 その女性は何のことかわからずに、キョトンとしていた。
「20分も入っとるんよ。20分も!」と一部始終を説明した。その女性も笑っていたが、ぼくは真剣に怒っていた。
 会社も、ただ歳だという理由だけで有能な人をやめさせるのではなく、ああいう役に立たない長便人間こそやめさせてもらいたいものである。

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