吹く風ネット

『ネズミ通り15番地』に寄せて

 小学生の頃、家の中を這い回るネズミを初めて見たことがある。けっこう大きなネズミで、それを見た瞬間、ぼくは恐怖で動けなくなった。それ以来ぼくはネズミが苦手になり、見ることも、もちろん触ることもダメになっていた。

『ネズミ通り15番地』を書く前だった。ぼくの家にネズミが居着いてしまったのだ。それが夜中になると、ガサガサガリガリやりだす。
「これは何とかしなければ」とは思ったが、捕まえて退治する勇気なんて、ぼくにはなかった。しかしやらないと、台所を荒らされるし、衛生上もよくない。そこで考えたのが、「まず、苦手意識をなくそう」だった。だけど、その方法が見つからない。

 考えに考え抜いて、最終的に取った手段が、『ネズミ通り15番地』だったのだ。愉快な仲間たち風にネズミを捉えてしまえば、
「少しは苦手意識が薄れるのではないか?」
 と思いつき、書いてみたわけだ。そしてさらに、
「この詩に曲をつけて歌っていけば、苦手意識なんてなくなってしまうかもしれない」と思い至り、曲を付けたのだった。

 歌いましたね、もう飽きるぐらいに。それでどうなったかというと、なぜかネズミの音が聞こえなくなり、その後何十年も家の中でネズミを見ることはなくなった。まさか、『ネズミ通り15番地』が効いたんかなあ?
 で、肝心の苦手意識はというと、ネズミが出なくなったために、どうなったのか、わからないままなのです。

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