今日はルポルタージュ風にお話ししましょう。
東京ミッドタウンは2007年3月にオープンしていますから,未だ4年しか経っていません。元防衛庁の本庁舎があったところです。敷地面積7ヘクタール,建物延べ床面積56万平米、檜町公園を含めた再開発面積は10ヘクタールという巨大開発です。
さて、外苑東通りに歩行者のメインエントランスがあります。ここから半時計回りに東京ミッドタウン外周を歩いてみましょう。テーマは「街との連担」「街への発展の寄与」がどの程度かです。ユニットバスでないことを祈りながら。^-^)
◆外苑東通りに面した市民の玄関口は六本木ヒルズとは違い平面で面しており,街と一体化できる構造にはなっています。ですが、開発が街に与える延伸拡張性として考えると、この広々としたエントランスに面してオープンなお店の無いことが大きな欠点と言えるでしょう。
写真はエントランスから六本木交差点方面(上)と乃木坂方面(中)街路の反対側(下)を見たものです。


向かい側の小さな商業ビルが必死に市民とのコミュニケーションを図ろうとしているのに比べると,それに参加しないミッドタウンの冷たさ、孤高を感じます。外苑東通りを六本木交差点から歩いてきた人々を中に吸い込むブラックホールの入口になっているのです。やはり、如何に巨大商業施設にお客様を引き込むか、が主要テーマなのでしょうか。
外苑東通りは六本木のシンボル的な街路です。自衛隊があったころはこの部分だけ不気味ではありました。折角、民地になったのですから乃木坂方面に向けて街路型商業施設の集積に寄与したかったと思います。向かい側には今(2011.1)ビルが建設中です。街路に面してどう働きかけるのでしょうか?注目したいと思います。
◆さて、南西の敷地角を廻りましょう。敷地は街路で区切られています。西側のメインエントランスだけではなく,この南側境界道路に面しても,街に寄与するところがありません。街路に対して閉じているのですから。ただ、落ち着いた雰囲気だけ。向かい側の瀟洒なお店の連担に比べるべくもありません。繁華街のメイン街路ここでは外苑東通りは通常、愉しい小路が付属します。穴場と呼ばれるように引き込まれるスポットがあります。そのひとつでしょう、この南側街路の鳥羽口は。それが活かされていないのです。連担性を無くしているのです。勿体ない!

車のメインエントランスが南側にありますが、そのあたりから檜町公園にかけてはレジデンスが連なり,高級住宅街としての佇まいを見せています。ミッドタウン側もその形成に寄与しているといえるでしょう。坂を下ってゆきますが気持ちのいい通りです。
東から北側へ廻り込むと、向かい側は旧い高級アパートの街。柿右衛門のお店がありますね。ミッドタウン側は完全な公園。柿右衛門に対抗するお店が連なった街も連想できたかもしれません。街に繋がるという思想はほとんどなのですね。尤も、初めから公園用地として公共側が確保していたのかもしれませんから、無い袖は振れないのかも。
歩いてみると、この開発が周りを完全に路で囲んでいることが解ります。既存の道路で区切られていないところはわざわざ路を設けているのですね。計画的に緩衝帯をとっているということ。つまり、切る思想ははっきりしているが繋がるという思想は全くないということのようです。残念ですが。
六本木ヒルズと同様、つまりは新陳代謝はあくまで中だけでやろうという。外は外,内は内ということかもしれません。
◆北側に廻ると、安藤忠雄の美術館裏。この施設は完全に裏側を持っています。ま、当たり前ですか、隣地はほとんど崖地なのですから。隣地は8メートルぐらい落ちた斜面の下になります。美術館裏を過ぎると、隣地のコンクリートのきれいな建物パークサイド6が接しています。この施設は開発側通路に口を開けて、ヤドカリ商法的なカフェテラスを設けています。名称から察するに、本件サイトを修景に使ったと思われます。ミッドタウン側に口を開いているのは何事かのネゴの結果?かもしれません。それにしても、”開いた”ことは褒められて良いでしょう。連担する気持ちが顕われているのですから。開発側のコンセプトが後発の隣地に影響を及ぼしたという点でも評価できると思います。

左が美術館右がパークサイド6 奥にカフェテラスが見える
一周しての印象は、大規模開発としてそれなりに工夫されていて、ユニットバス開発と揶揄されるような問題がほとんど顕在化していないのが救われることです。街との関わり方において六本木ヒルズよりは優れているといえるでしょう。尤も,再開発で地権者が多いヒルズと、単独一体開発ミッドタウンの計画難易度の差のあることを差し引かねばならないだろうと思いますが。
◆ユニットバス論から若干の指摘をしておきましょう。
1)街/賑わいづくりという観点から、外苑東通り側が大きな口を開けたブラックホールになっているのは大いに問題でしょう。六本木交差点から乃木坂方面に賑わいを延伸する役割が求められたはずなのですから。
2)東側境界道路に面した柿右衛門店に対抗した配置計画が挑戦されてもよかったろうと思います。全て公園で良し!というのは勿体ない気がします。一皮中側の檜町公園には木造の東屋が設えられているのですから。これらと街路を施設で繋ぐ工夫があってよかったでしょう。
3)北側のパークサイド6と同様の連担してゆく好影響がもっと強く出ていれば更に評価できたと思います。
全ては外苑東通りの処理に尽きるでしょう。街への貢献が無いという意味で。ユニットバスとは言いませんが、もっと既成市街地に連担する工夫が必要だったでしょう。いずれこの外苑東通りのエントランス部分はリフォームされ、サテライトショップやイベント広場や街路に面したオープンなお店の連担など、六本木交差点から乃木坂方面を積極的に繋ぐ工夫が凝らされるようになるでしょう。外圧によるか、自ら自発的にかは解りませんが。
2011.1.27
東京ミッドタウンは2007年3月にオープンしていますから,未だ4年しか経っていません。元防衛庁の本庁舎があったところです。敷地面積7ヘクタール,建物延べ床面積56万平米、檜町公園を含めた再開発面積は10ヘクタールという巨大開発です。
さて、外苑東通りに歩行者のメインエントランスがあります。ここから半時計回りに東京ミッドタウン外周を歩いてみましょう。テーマは「街との連担」「街への発展の寄与」がどの程度かです。ユニットバスでないことを祈りながら。^-^)
◆外苑東通りに面した市民の玄関口は六本木ヒルズとは違い平面で面しており,街と一体化できる構造にはなっています。ですが、開発が街に与える延伸拡張性として考えると、この広々としたエントランスに面してオープンなお店の無いことが大きな欠点と言えるでしょう。
写真はエントランスから六本木交差点方面(上)と乃木坂方面(中)街路の反対側(下)を見たものです。



向かい側の小さな商業ビルが必死に市民とのコミュニケーションを図ろうとしているのに比べると,それに参加しないミッドタウンの冷たさ、孤高を感じます。外苑東通りを六本木交差点から歩いてきた人々を中に吸い込むブラックホールの入口になっているのです。やはり、如何に巨大商業施設にお客様を引き込むか、が主要テーマなのでしょうか。
外苑東通りは六本木のシンボル的な街路です。自衛隊があったころはこの部分だけ不気味ではありました。折角、民地になったのですから乃木坂方面に向けて街路型商業施設の集積に寄与したかったと思います。向かい側には今(2011.1)ビルが建設中です。街路に面してどう働きかけるのでしょうか?注目したいと思います。
◆さて、南西の敷地角を廻りましょう。敷地は街路で区切られています。西側のメインエントランスだけではなく,この南側境界道路に面しても,街に寄与するところがありません。街路に対して閉じているのですから。ただ、落ち着いた雰囲気だけ。向かい側の瀟洒なお店の連担に比べるべくもありません。繁華街のメイン街路ここでは外苑東通りは通常、愉しい小路が付属します。穴場と呼ばれるように引き込まれるスポットがあります。そのひとつでしょう、この南側街路の鳥羽口は。それが活かされていないのです。連担性を無くしているのです。勿体ない!



東から北側へ廻り込むと、向かい側は旧い高級アパートの街。柿右衛門のお店がありますね。ミッドタウン側は完全な公園。柿右衛門に対抗するお店が連なった街も連想できたかもしれません。街に繋がるという思想はほとんどなのですね。尤も、初めから公園用地として公共側が確保していたのかもしれませんから、無い袖は振れないのかも。

六本木ヒルズと同様、つまりは新陳代謝はあくまで中だけでやろうという。外は外,内は内ということかもしれません。
◆北側に廻ると、安藤忠雄の美術館裏。この施設は完全に裏側を持っています。ま、当たり前ですか、隣地はほとんど崖地なのですから。隣地は8メートルぐらい落ちた斜面の下になります。美術館裏を過ぎると、隣地のコンクリートのきれいな建物パークサイド6が接しています。この施設は開発側通路に口を開けて、ヤドカリ商法的なカフェテラスを設けています。名称から察するに、本件サイトを修景に使ったと思われます。ミッドタウン側に口を開いているのは何事かのネゴの結果?かもしれません。それにしても、”開いた”ことは褒められて良いでしょう。連担する気持ちが顕われているのですから。開発側のコンセプトが後発の隣地に影響を及ぼしたという点でも評価できると思います。


一周しての印象は、大規模開発としてそれなりに工夫されていて、ユニットバス開発と揶揄されるような問題がほとんど顕在化していないのが救われることです。街との関わり方において六本木ヒルズよりは優れているといえるでしょう。尤も,再開発で地権者が多いヒルズと、単独一体開発ミッドタウンの計画難易度の差のあることを差し引かねばならないだろうと思いますが。
◆ユニットバス論から若干の指摘をしておきましょう。
1)街/賑わいづくりという観点から、外苑東通り側が大きな口を開けたブラックホールになっているのは大いに問題でしょう。六本木交差点から乃木坂方面に賑わいを延伸する役割が求められたはずなのですから。
2)東側境界道路に面した柿右衛門店に対抗した配置計画が挑戦されてもよかったろうと思います。全て公園で良し!というのは勿体ない気がします。一皮中側の檜町公園には木造の東屋が設えられているのですから。これらと街路を施設で繋ぐ工夫があってよかったでしょう。
3)北側のパークサイド6と同様の連担してゆく好影響がもっと強く出ていれば更に評価できたと思います。
全ては外苑東通りの処理に尽きるでしょう。街への貢献が無いという意味で。ユニットバスとは言いませんが、もっと既成市街地に連担する工夫が必要だったでしょう。いずれこの外苑東通りのエントランス部分はリフォームされ、サテライトショップやイベント広場や街路に面したオープンなお店の連担など、六本木交差点から乃木坂方面を積極的に繋ぐ工夫が凝らされるようになるでしょう。外圧によるか、自ら自発的にかは解りませんが。
2011.1.27
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