新庄嘉堂残日録

孫たち世代に語る建築論・デザインの本質
孫たち世代と一緒に考えたい謎に満ちた七世紀の古代史

◆法興寺と元興寺と飛鳥寺/飛鳥寺と創建瓦1

2016年04月30日 | 7世紀古代史論
飛鳥寺下層出土土器群がTK43型式論争の中で、意味の希薄な土器群になってしまった感がある。飛鳥寺下層出土土器群の評価は今しばらく土器編年研究の進展を待たねばならないだろう。 法興寺の創建は596年と記す日本書紀の記事が実は飛鳥寺の創建記事であるとする通説に考古学からクロスチェックをかけようとするとき、残された可能性は瓦である。瓦はその建造物が倒壊したり廃棄されたりした時、その建造物周辺に落下して堆 . . . 本文を読む

◆法興寺と元興寺と飛鳥寺/TK43型式と飛鳥寺

2016年04月29日 | 7世紀古代史論
◇須恵器高蔵四三型式(TK43型式)論争 1999年11月27,28日、奈良国立文化財研究所平城宮跡資料館講堂でシンポジウム「飛鳥・白鳳の瓦と土器ー年代論ー」が開催された。帝塚山大学考古学研究所歴史考古学研究会と古代の土器研究会の共催である。ここでは田辺昭三の須恵器編年に対する評価を含めて、瓦と土器の編年観や年代論が議論された。その資料集(予稿集)も刊行されている。そして、仄聞するところによると後 . . . 本文を読む

◆都市設計論/はじめに

2016年04月28日 | 都市論・都市設計論
都市設計に興味のある建築家は東京の田園調布や大阪箕面の桜井住宅地を設計したい、と思うでしょう。 街路の端に立派な樹が植わっている。路傍ですよ、いわゆる。こういう街路のある街を造りたいと思うでしょう?あるいは山口県津和野の町を流れる水路です。ああいうものを道路に取り込みたいと思いませんか? どうしますか? これがなかなか一筋縄ではゆかないのです。なぜでしょうか? 公共の空間はさまざまな管理者がいます . . . 本文を読む

◆何故、システムで都市を語るか?

2016年04月27日 | 都市論・都市設計論
◇何故、システムで都市を語るか? 「空間とは何か」というアカデミックな問いは建築を学ぶ学生の誰もが一度は通り抜ける関門である。残念ながら未だその解答を得ずにいるが、卒業後も実践を通じて「空間とは何か」を見つめて来た。そしてたどり着いたひとつの「空間」へのアプローチ手法、それがシステムとして空間を捉えることであった。少なくとも住宅から都市空間まで連続して捕らえられる道具はほかに見当たらない。 ◇ . . . 本文を読む

◆法興寺と元興寺と飛鳥寺5/飛鳥寺の創建年代

2016年04月26日 | 7世紀古代史論
◆考古学とのクロスチェック 先に触れたように(法興寺と元興寺と飛鳥寺1、2)飛鳥寺の建立年時は日本書紀には一切書かれていない。日本史の通説の世界では、法興寺=飛鳥寺であるから、飛鳥寺の建設年が書かれていなくとも痛痒を感じないのだろうと思われる。しかし、自分の説に合わないからといって、原文を改定するというのが許されるなら、歴史はなんでもありになってしまわないだろうか。例えば、この日本書紀の飛鳥寺建設 . . . 本文を読む

◆システムを理解する/原生林での生活

2016年04月25日 | 都市論・都市設計論
【解題】2016.4.23 この断簡は1976.12.26のNHKのドキュメンタリー「ダンケンと仲間達-原生林にのぞむ」を観た時の感想であろう。番組は原生林で生活する若者たちに、現代人が忘れている自然回帰、自然との共生の素晴らしさを伝えようとしていたのだと思う。「それはオカシイ!」とイチャモンをつけたくなったのだ、おそらく。それは彼らの原生林での生活にしても、都市システムとは無関係には成り立たない . . . 本文を読む

◆近江朝年号論2

2016年04月24日 | 7世紀古代史論
近江朝年号論とは九州王朝説の論客正木裕が古田史学会報133号(2016.4.9)で発表した論文「『近江朝年号』の実在について」で述べられた仮説である。その骨子梗概をわたくし流にまとめてみる。 ◇「中元」「果安(かあん)」年号 九州王朝論の中核には九州年号実在論がある。よく知られた「白鳳」もそのひとつである。白鳳年号は二中歴によれば661年から683年までの24年間続いている。その白鳳年間に中元・果 . . . 本文を読む

◆近江朝年号論1

2016年04月23日 | 7世紀古代史論
7世紀の古代史の理解にとって、近年に類例がない興味ある仮説が提示された。近江朝年号論である。そもそも7世紀の歴史は霧に包まれているようではっきりしない。その霧は要するに国家のありようがはっきりしないという意味である。5W1Hを当てはめるとよくわかる。1どこで(where) 2だれが(who)3いつ(when)4なにを(what)5なぜ(why)6どのようにして(how)である。 ◇誰が 古墳時代 . . . 本文を読む

◆システムを理解する/工場移転調査から3

2016年04月22日 | 都市論・都市設計論
◇“転勤”したステレオの従前機能の補償? 移転と言う問題はわれわれの身近にも時としておとずれる。毎年4月は世の中の人事異動の花盛である。新幹線のホームは栄転という名の転勤サラリーマンが、元上司や同輩や元部下に見送られる光景で一杯になる。それまでの数日の間、我が住み慣れたマイホームは、引越し荷物の荷造りで大童である。我が家の居間に鎮座ましましたステレオも厳重に梱包される。大阪から東京に”転勤”してき . . . 本文を読む

◆システムを理解する/工場移転調査から2

2016年04月21日 | 都市論・都市設計論
◇工場の生産工程と調査の考え方 さて、D工場は(1)車両組立て(2)プレス加工(3)ミッション部品材料加工及びユニット組立て(4)工作機械組立てという4種の作業を行う生産工場である。これから判る通り、部品集約型工場という自動車工業の特性を顕著に示している。すなわち、多種多様な組立部品、アッセンブル材あるいはエネルギー源が搬入され、自動車という形になって搬出され、また、廃材や下水が外部に落ち出される . . . 本文を読む