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「ちはやふる2」6首「たつたのかはの にしきなりけり」感想。楽しい試合、悔しい負け。それぞれの成長

◎「ちはやふる2」
  第六首「たつたのかはの にしきなりけり」


嵐吹く
三室(みむろ)の山の
もみぢ葉は
竜田の川の
錦なりけり

 (能因法師。百人一首の69番目の歌。)

〔意味〕
 山から吹き降ろす風に舞い散る三室の山のもみぢが、竜田の川に流れて鮮やかな錦のように美しい。

 紅葉の名所で、山で風に舞うもみぢと、そのもみぢが川に流れる鮮やかさと美しさを格調高く歌った歌です。


 今回の話は、あまり歌とは関係ないとも言えます。

 瑞沢高校も北央高校も、誇りを持って全力で戦い、青春の鮮やかで美しい輝きを見せた、ところが関係するといったところでしょうか。

 あるいは、風によってもみぢが散ったからこそ川で美しさを見せているように、雨降って地固まる、といったようなものとか。決勝戦が終わって特に部長の甘糟が成長した北央高校。決勝戦に感動し、本格的にかるたを始めるために原田先生のかるた会に入ることにした筑波と3人の弟、そして菫。千早も太一も、苦労の末に決勝戦で成長しました。


○ 千早が、読手が一音目を発する前の音を聞き分けて取る、あるいは、2音目を聞かなくても1音目だけで2音目が分かる以前のスタイルに戻して追い上げました。
 甘糟は焦りますが、ヒョロの負けを機に、全国大会に出られれば良いという考えを捨て、部長としても勝ちたいという気持ちが出てきます。

 互いに1枚ずつの運命戦になってヒョロがお手つきで負けたとき、「ぶん殴る。勝って、勝ってヒョロをぶん殴る!」「勝ちに行かなくていい試合なんかあるか!うちは北央だ。北央なんだ!」と思って敵陣への素振りを始める甘糟。

 甘糟も決勝戦の短い時間の中で成長したものです。



 ここで読手の須藤先輩が千早を評して「甘糟、気をつけろ。こんな場面で、カラッポになれる人間がいる。」と思うとき、千早が昇天するときのような半透明のキラキラ粒子の絵になるところ、これまでのまぶしい光の多用からするとこの表現は不自然ではないものの、何だかな、とか、やりすぎでは、とか思うのは好みの問題でしょう。


○ 昨年のような差が付かなくて焦る相手に対し、駒野勉(cv代永翼)の「でも、去年君に負けてからこの1年、かるたが楽しかったのは、絶対、僕の方だ。僕だ!。絶対!」と思ったのも格好良かったです。

 何事にも自信が無かった駒野が、千早に無理矢理に入らされたのに、かるたに努力し、かるたを好きになり・楽しみ、自分に自信を持つようになったわけです。

 1枚差で駒野は負けましたが。


○ 早々に負けた西田を除く4組同時の運命戦。北央高校が上手くフダ分けをして、普通なら絶対勝てないのに気付いて落胆する端沢高校ですが、それに気付かずに相手にフダを渡した千早がようやく気付き、普段の練習で教えることが不十分だったことと早々に負けたことに申し訳なさそうな西田を見て、諦めずに敵陣のフダを取ろうと素振りをし、太一が続き。それがヒョロの焦りとお手つきを誘って太一が勝ち。

 焦りを誘ったのは確かですが、空フダを含めて残りのフダを全て把握している太一と、残りの空フダがどれなのかを全ては覚えていないと思われるヒョロとの差でもあったでしょう。


○ 負けて、疲れから、礼をしたままの格好で眠る千早というのは今更どうこう言うことではないでしょう。

 ガバッと起きての第一声が「たっ、楽しかったね。今までで、一番楽しかったね!」と花柄のキラキラ背景に満面の笑みの千早。チームの、特に早々に負けて責任を感じている西田の気持ちを和らげます。

 これまでのパターンからすると、千早がそれを意図したとはあまり思えないところで、本音であり、ただの天然だとは思いますが、次の、太一と2人になってから沈んだ表情になったところを見ると、この1日の対戦で、千早が少しは周りに目が向くようになったことも確かです


○ 太一と2人だけになった帰りの電車でタイミング良過ぎで来た新からのメール「高校選手権 決勝  楽しかった?」が格好良過ぎ

 連絡が無いので負けたかもと新は思ったから、そういう聞き方をしたのでしょう。小学生の頃から、千早が何よりもかるたを楽しんでいることを良く知っているからこそ、そう聞いたのでしょう。

 新からのメールに喜ぶ千早を見る太一の、髪で目を隠した絵、複雑な太一の気持ちを表しています。


 太一は、皆といるときは明るく元気にしていた千早が、電車が駅から離れてから少し沈んだ顔になり、更にもう1段階沈んだ表情になったときにメールが来たことには気付いたはずです。

 千早がそんな表情を見せる友達、少なくとも異性の友達は、太一か新くらいだということも太一は分かっているはずです。
 太一に対しては、幼馴染の気安さだからということも太一は分かっているはず、少なくとも太一はそう思っているはずです。


 メールが来て喜び、メールを見て新とのかるたの思い出を思い出し、ポロポロと涙し、「新、今までで、一番楽しかった。。。一番、悔しかった。」と思う千早。


 電車の中とは言え、ここで太一は千早の肩を軽く抱き寄せるか、肩に手を当てるだけでも良かったのですが、そうしなかった太一に「こ(ぉ)のヘタレッ!」(「WORKING!!」2期4話後半の相馬博臣(cv神谷浩史)の台詞。)と思ったのは私だけではないと思います。

 しかし、太一の前で千早が泣いたのは確かですが、それは新のメールを見て泣いたのであり、太一と2人だけであれば千早は泣かなかったかも知れません。


 太一は表情を変えませんでしたが、太一には、それが分かったと思われます

 太一はそれが分かっているからこそ、分かってしまったからこそ、千早を抱き寄せることが出来なかったのであり、そして、理性的であるからこそ、それが出来なかったわけで、なまじ頭が良いと周りが見えたりアレコレと考えてしまい、行動がワンテンポ遅れるということです。

 肩を抱き寄せなかったのではなく、出来なかったということです。意思の問題ではなく、感情の問題ということです。



○ 北央高校の須藤先輩も格好良かったです。

 対戦後に「甘糟、東京で一番強いのは、北央か?」と聞く須藤先輩に対し、音が聞こえたからではなく、千早の勢いに反射して自陣のフダをおさえ、同時は自陣の勝ちだから千早に勝っただけだと分かっている甘糟が、北央高校が東京で一番とは言えないと認めたのに対し、「だっせ。東京で一番になれないなら、せめて全国で一番になれよ。」と励ますところ。
 その直後の、全国大会を見に行くという言葉はドSっぷり全開で相変わらずですが。

 このときの、優勝に喜ぶチームメイトの中で甘糟だけが喜ばず、唇をかみ締める感じだったのが、決勝戦という短い時間での甘糟の成長を良く表しています


【shin】
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