舟が出る

この時期限定で、クエストの目の前の目黒川沿いの道が、人であふれている。


すっかり都会の桜の名所の一つになったようだ。


近くの保育園の子どもたちが、にぎやかに歩いている。


その中の一人の男の子が、熱心に桜の木を見上げている。


熱心に、というよりも、ボーっと。


なんともかわいくて仕方がない。


この子の頭の中は、いったいどんなイメージが膨らんでいるんだろうと、想像するだけで楽しくなってくる。


何度も名前を呼ばれて、ようやく歩き始めた彼の顔が輝いていた。


すぐそばにある高齢者施設から、車いすでやってきたお年寄り。


赤いスカーフがかわいらしい。


車イスで目だけを動かして、桜を楽しんでいる。


介護の方の表情も、なんだか穏やかで優しい。


桜は、日本人の心を優しくしてくれる。


これほど見事に一斉に咲き、そして散っていく花は他にもあるんだろうか。


ここ数年、この川を花見の船が出ている。





それもずいぶん頻繁に。


調べてみると、どうやら天王洲あたりから出船しているみたい。


さすがに川幅の狭い中目黒まではいかないようだけれども、クエスト周辺の枝垂桜は名物になっているようだ。


満開の桜もいいけれど、これから葉桜になっていくまで、しばらく楽しめる。



ボクは、木の幹から直接咲いている花が好き。


胴吹き（どうぶき）っていうらしい。







今日の、雨にぬれる桜も楽しみだ。