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自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

日本の「ぼく」と、西洋の「ぼく」

2013-05-08 06:35:38 | 絵本
一般に、西洋社会は「男性性構造」、そして日本は「母性構造」と言われています。


西洋の自己認識が「自分」であり、日本は「私たち」となっていくのです。


日本の政治家たちが、なかなか「私は」と言う一人称での発言をせずに、「わが党は」と言い方になることからもうなづけます。


河合隼雄先生のいろいろな書籍に書かれていることではありますが、一冊の絵本に出会って、ますますその違いを実感しました。


『ぼくだよぼくだよ』 きくちちき


この面白い名前の作者は、最近注目を集めるようになってきたらしい。


絵本は、水彩です。





らいおんとひょうが森で出会うのですが、お互いに


ぼくだよ ぼくだよ

ぼくの つめの ほうが するどいよ

ぼくの きんにくの ほうが つよいよ


といった調子で、自慢しあうのです。



ところが、絵からは、その強い主張を全く感じない。


ダイナミックな絵なのですが、水彩がそれを柔らかくしてくれている。


レオ=レオニの『あおくんときいろちゃん』は、お互いの色がしっかりとあって、混ざるときには違う色に変わります。


このらあいおんとひょうは、溶け合う事もなく、お互いがぴたりとくっついている。


そして黄色のひょうの中に、赤色のらいおんが存在したり、赤のらいおんの中にひょうが存在する。


はっきりとした区別化された「自己」ではなく、大いなる存在の中に包まれた「自己」


明確な自立した自己のほうが強いような感じがすることもあるけれど、この絵を見ていると日本人のアイデンティティの持ち方の強さを感じる。


説明は難しいので、ぜひともこの絵本を手に取って見て欲しい。


絵本ナビで試し読みができます。(登録すれば全頁見れます)


日本の歴史の中で、「私たち」の中にいる「わたし」は、別に埋没しているように見えてしまう側面もあるけれど、ことさら主張したり目立つわけではないけれども、しっかりとした「自分」を持っている国民なんだ、と言う誇らしさも見えてくる。








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