自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

偲草(しのぶぐさ)

2015-07-17 06:41:43 | ひとり言
仙台に生まれ、鉱山師である父親に連れられて転々と居を変えていた。


その父親が8歳の時に急病で亡くなり、気落ちした母親が翌年に亡くなる。


わずか9歳で天涯孤独の孤児となってしまった。


父親の部下だった人に引き取られたが、運の悪いことにその人も1年足らずで他界する。


「 腕に職を持たせることが第一。好景気で大工は引っ張りだこ。学校にも通わせるし、立派な職人に仕立ててあげる 」


こんな誘いに乗って東京まで出てきたけれど、数か月もたって、だまされていたことがわかり、「 どうにかならぁ 」 と家を飛び出した。


これはボクの父親の子どもの頃の話。


まるで、何かの物語みたいだけれど、明治大正昭和の初期には、似たような人生を生きた人は珍しくはなかっただろう。


住み込み奉公、子守り、車引き、左官、かわら屋、土工、坊主、旅館の番頭、と 「 食うために仕事の選り好みをしている暇はなかった 」 、らしい。


やがて、自分で始めた仕事が軌道に乗り、1年間に八千円の利益。


そのうちの500円を投じて、郷里の土肥にお墓を建てた。


父の立身出世ものがたりの始まりである。


7月17日の今日は、父の命日。


亡くなった1995年は、阪神淡路大震災、オウムサリン事件があり、世の中が騒然としている中に父は逝った。


一年に一度だけ、本箱から取り出す、父親の追悼集「偲草」


読めば読むほど、父の偉大さが伝わってくる。


今日の一日は、父と共にいよう。


いや、父に一緒にいてもらおう。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿