1月「パウエル議長と適切な時期に話す」「金利引き下げを要請する」。
2月「金利は低下すべきだ」「インフレは高金利の影響で一部低下している」。
3月「FRBは利下げした方がはるかに良い」「FRBは正しい仕事を遂行すべき」「FRBが金利を引き下げれば素晴らしいことだ」「FRBが金利を下げることを願う」「金利が下がって欲しい」。
4月「っ金利の低下が望ましい」「パウエル議長が利下げをするには絶好のタイミング」「パウエル議長は遅すぎ、そして間違っている」「FRBはずっと前に金利を引き下げるべきだった」。
「パウエル議長は常に後手を取っている」「パウエル議長が任務をこなしているとは思わない」「私が追い出したいと希望すれば彼はすぐに去るだろう」「パウエル議長が自分の行動を理解していれば金利は下がるだろう」「パウエル議長は金利を下げるべき」「多くの人が予防的利下げを求めている」「パウエル議長は代敗北者の遅すぎる男」「今すぐ利下げしなければ経済が減速する可能性」。
4月半ば以降、トランプのパウエルに対する要求が脅迫化している。
アメリカの政府債務残高は36・8兆ドルに向かう。イーロンマスク率いる政府効率化省DOGEが「政府支出の削減・無駄遣いの撤廃」を掲げ、連邦職員のリストラを行った成果が微塵も効果を上げていない。
36・8兆ドルの内、後2か月以内に9・2兆ドルを借り換えねばならない。9・2兆ドルの内、6兆ドルは後1っか月以内に借り換えねばならない。
トランプが喧嘩腰の関税戦争を一方的に吹っ掛けたのは、9・2兆ドルの借り換えの金利を低下させる為である。意図的に株式市場を暴落させれば、安全資産の10年国債が買われ、利回りが低下し、金利が下がる目論見があった。
トランプの誤算は、米10年国債までもが売られ、一瞬、3・8%に低下した利回りが4・5%に戻ってしまったことにある。
10年国債を売却したのは、中国政府・ヘッジファンド・機関投資家などである。農林中金は既に売却を終えているそうだ。
もう、トランプとしては金利を下げる為に、パウエルに懇願するしかないのである。
何故、素直に頼めないのか。脅迫・恫喝の形を取るのか。
プラザ合意2・0であるマールアラーゴ合意は「関税戦争とドルの暴落」のセットで進行中である。関税戦争「関税発動と停止の繰り返し」で金融市場を不透明にし、株価を暴落させる。10年国債の利回りを低下させる。
その後、ドルの暴落。アメリカの信用失墜による、ドルを暴落させる。ドルを暴落させることで、36・8兆ドルの借金の金額を軽くする。ドル高では借金も高い。ドル安にして借金も安上がりにする。
ドルを暴落させる為に、米国債を保有する外国に、国債と「利回り無しの100年新発割引債」とを交換させる。100年と言うのは、恒久的に相手国に割引債を保有させるという意味である。
トランプは36・8兆ドルのアメリカの借金を他国に肩代わりさせようとしている。
アメリカが独自に返済しようとすれば、「大企業の法人増税」「所得税増税」「金融資産に重課税する」という「トランプ減税」と真逆の政策が必要と成る。「庶民の味方・労働者の味方」を気取りたいトランプには無理な相談である。
このトランプの戦略を見抜いているのが習近平である。習近平が米10年国債を売却するのは、トランプの「借り換えの為の金利低下」を妨害する為であり、迂闊に米国債を保有し続け、利益の出ない「新発割引債」に交換されるのを防ぐ為である。
日本が「国債と割引債との交換」を嫌がれば、「関税を150%にする」「日米安全保障を止める」、関税戦争を吹っ掛けたテンションで、脅し・恐喝・脅迫する。
上から目線で一方的に脅し・恐喝・脅迫を吹っ掛けるのは、トランプのお得いである。日本は海外に先んじて、いの一番にアメリカに関税交渉に乗り込んだモデルケースである。トランプの「日本の様にアメリカの言いなりに成れ」という含みが持たされている。
22日トランプは「様々な要因で中国の関税率は145%まで積み上がった。今後はこんなに高く成らないだろう。中国への関税は交渉を通じて現在の145%から大幅に下がっていくだろう」との見通しを語った。スコットベッセントの「中国との関税かけあいは持続不可能で緊張緩和を予測しているとの助言を受け入れた形である。
パウエル議長に対して「解任する考えはない」とも語った。スコットベッセントの「FRBの独立性を尊重すべきだ」の助言を受け入れた形である。
最早、ドナルドトランプはスコットベッセントの操り人形に過ぎない。