防衛費増大より教育を受ける権利と生存権の保障に公的支出を求める専門家の会(社会権の会)

研究者と実務家による「防衛費の膨大な増加に抗議し、教育と社会保障への優先的な公的支出を求める声明」を広めるブログです。

【社会権の会】新型コロナウィルス感染に伴う休業要請につき、アメリカからの武器輸入費を削減して個人と企業への生活支援・休業補償を行うことを求める声明

2020年04月15日 | 声明


新型コロナウィルス感染に伴う休業要請につき、アメリカからの武器輸入費を削減して個人と企業への生活支援・休業補償を行うことを求める声明

                                 2020年4月15日
                           社会権の会(防衛費より教育を受ける権利と生存権の保障に公的支出を求める専門家の会)



<声明の趣旨>
安倍首相は2020年4月7日、新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため緊急事態宣言を出したにもかかわらず、休業要請に伴う休業補償をしないことを明言している。
また、先ごろ成立した2020年度本予算には新型コロナウィルス対策費を全く計上しない一方で、過去最大の防衛(軍事)費5兆3,133億円は全く削減せず、日本がアメリカから大量に輸入する予定の武器についてはそのまま代金を支払おうとしている。政府はこの防衛費予算を削減し、日本に暮らす個人と企業に対する生活支援と休業補償に回すべきである。

<声明の理由>
1 緊急事態宣言を出しておきながら、休業補償を頑なに拒む安倍政権
 安倍首相は市民の接触を8割削減して同ウィルスの感染拡大を防ぐとして、市民の基本的人権の保障に様々な影響を与える緊急事態宣言を発布したにもかかわらず、個人・企業への休業補償を頑なに拒んでいる。
 安倍首相は4月6日、新型コロナウィルス問題により売り上げが減少した中小企業や個人事業者に対し最大200万円の給付金、また収入の減少した世帯に対し30万円の給付金を打ち出した。しかし、これらはいずれも対象となる要件が厳しい上に、申請手続を経て給付に至る手続も煩雑である。首相はその一方で、4月13日の自民党役員会では、「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」、「休業に伴う補償や損失の補填(ほてん)は対象となる事業者の絞り込みが困難で、海外でも例がない」と述べている。
 新型コロナウィルス対策担当大臣の西村康稔氏は、かねてから都道府県知事に休業要請を出さないように求めてきたが、4月13日の参院決算委員会では、都道府県への1兆円の交付金について「休業補償をしている国は諸外国でも見当たらず、我々としてやる考えはとっていない。国としてそうした考えである以上、交付金を、自治体は休業補償などの名目で使うことはできない」と答弁している。
 緊急事態宣言の対象となっている7都道府県のうち、東京都は、損失補償ではなく「感染拡大防止協力金」の名目で中小事業者に50~100万円を支給する方針であるが、他の6府県は経済支援の検討にとどまり、各自治体の財政状況により対応の相違が生じている。全国知事会長の飯泉嘉門徳島県知事は西村大臣との11日の会談で、「国の責任で支援のあり方を工夫してほしい」と要望しているが、当然の要望である。


2 世界では休業補償、生活保障をするのが常識
 しかし、諸外国では休業補償をしていないという安倍首相らの説明は完全な虚偽であり、むしろ欧米では全く休業補償をしていない国を見つける方が困難なくらいである。
 アメリカではすでに大人一人あたり1,200ドル(約13万円)の現金支給が始まっている。
 イギリスでは、月2,500ポンド(約33万円)を上限として、勤務先の休業などで休職状態の従業員の月給の8割を補償している。
 ドイツは、従業員10人以下の事業所には3か月で最大およそ180万円、従業員5人以下の事業所には最大およそ107万円をそれぞれ給付しており、それ以外に、芸術家らフリーランスで働く人に60万円の相当助成金を支給している。オンラインで申請でき、数日で迅速に支給されている。
 フランスでは営業停止で一時帰休となったレストランや商店などの従業員に対し政府が原則として賃金の84%までを補償しているし、零細企業の経営者や個人事業主には最大でおよそ18万円補助している。
 ヨーロッパより感染の抑え込みに成功しているアジアでも、韓国、台湾、香港などが休業補償や助成を早くから行っている。むしろ、休業補償を頑なに拒む日本が世界の中では異常なのである。
 このため、日本ではどうしても休業できずに開業せざるを得ない自営業者や企業、また仕事に行かざるを得ない従業員が多い。休業補償がなければ、たちまち、食費や家賃などの支払いが立ち行かなくなり生活が困窮するからである。



3 トランプ米大統領から爆買いした兵器の費用だけは支払う安倍政権
 他方で安倍政権は、先ごろ成立した2020年度本予算に新型コロナウィルス対策費を1円も計上していない。その一方で、過去最大の軍事費5兆3,133億円は全く削減しなかった。
 1機100億円以上もするオスプレイやF35戦闘機の導入計画も全く変更されず維持されている。
 F35戦闘機の購入費用は総額で6兆円以上にものぼり、日本の財政に重い負担を課しているが、900件近い技術的欠陥も指摘され、すでに日本では墜落事故を起こして自衛隊パイロットが死亡している。
 ミサイル防衛網の一つであるイージス・アショアも、配備予定の自治体からは、かえって攻撃対象となるという強い懸念が示されている。
 これらの兵器は、日本の防衛にとってそもそも必要なものなのか、その存在意義自体に疑問が呈されているし、世界一の財政赤字(2019年末で1,111兆円)を抱える日本がローン(後年度負担)まで組んで購入すべき兵器では到底ない。
 現在日本では、新型コロナウィルス感染拡大が続き、一般の人がマスクや消毒液などの医療物資を入手することが困難になっているほか、医療従事者が必要とする防護服やマスクすら深刻な不足状態にあり、医療崩壊の危機にある。
 そのような中で、医療充実や人々の生活保障のためには予算を割かず、軍事費には糸目なしに予算をつける安倍政権の政策は許されない。

4 新型コロナウィルスまん延という危機に無力な軍事力
 そもそも、安全保障は日本に暮らす人々の生命と安全を確保するためのものであるが、日本が購入しようとしている武器は新型コロナウィルスのような公衆衛生の危機に無力であるというばかりでなく、そもそも軍隊がこのような危機に非常に脆弱なことは明らかである。
 南シナ海やフィリピン海を航行中だった米原子力空母セオドア・ルーズベルトでは、600人近い乗組員が新型コロナウィルスに感染したことが確認され、4月13日には、1名の死者が出たと発表された。
 4月以降、フィリピン海などに展開するはずだった米海軍横須賀基地所属の原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員にも感染が拡大し、出港の見通しはたっていない。
 アメリカは世界最大の軍事大国であり、日本政府はその国と軍事連携を深めることで「安全保障」を強化しようというのだが、そのアメリカでは現在、新型コロナウィルス感染者が60万人以上、死者も2,200人を超えて世界最多になっている。

5 結論
 現在、新型コロナウィルスの感染拡大を食い止めることは世界的に喫緊の課題になっているが、世界各国はこのため、人の人との接触を最小限にする措置を取ると同時に、休業をやむなくされた事業所や従業員には休業補償を行っている。日本も、外出自粛や休業要請とのセットとして、人々の生存権確保のための休業補償をする必要がある。
 その財源は、アメリカのトランプ政権からの莫大な兵器購入計画を取り消し、役に立たない軍事費を削減することで十分に捻出することができる。一刻も早く、休業補償・生活保障のための予算措置を取るべきである。 
                                                                                  以上



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