殯の森
DVDをTSUTAYA阿佐ヶ谷店で借りて見た。
暗い映画だった。
妻の思い出と共に33年生きている老人と子供を亡くした介護士の話だ。
老人は、土を堀り、日記を埋めようとするのかとおもいきや、
ほった穴の中に寝ようとする老人は、もうほとんど生きているようには
見えないし、ありがとうとささやく介護士も同じで、お互いに心が通って
いるようには見えず、それぞれが自分の心を放っているだけのように見えた。
村上春樹のねじまき鳥クロニクルにでてくる間宮中尉を思い出した。
間宮中尉は、戦中、ノモンハンで敵から逃れ井戸の底にいたときに、
光が井戸の中を照らすその一瞬から、人生の本質のようなものに近づいた
と感じ、戦後、教壇に立ちながら、その思い出とともに一生を過ごしていく。
何かを思い続け、それだけで空虚な時が過ぎ、長い時間を経ていくというは、
人生のなかに往々にしてあるのだろうなと思う。大切な何かを割り切って
生きていくというのはなかなかできないのだ。