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Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

感じる事

2011-07-21 16:35:55 | 素敵な現場
さて、先日の続きを・・

はい。シニア担当のYokoです。


この「海のワーク」は2箇所の施設で行いました。

対象者が異なるので若干の流れなどは変わりますが、

基本ラインは一緒でした。


1箇所は介護が必要な皆さん向け

もう1箇所は見守りが必要なグレーゾーンの皆さん向け


その片方の施設で起こってはいけない事が起きました。


そう、「誤食」です。

もっともワーク中に起こってはいけない事です。



色を自分で選び、手袋をして、手で絵の具を延ばしたぁ~と思ったら

職員さんと私たちが瞬間目を離した隙に

「べろーーーん」と絵の具だらけの手を舐めて、あっという間に口はまっ黄色!

事前の打ち合わせでもこの方への素材提供は注意して行きましょうと言ったばかりでした。


職員の方の対応が早かった為、幸い大きなことにはならず、

ご本人はワーク後にはいつものようにおいしそうにおやつをぺろり。

一安心でした。



誤って物を口に入れてはいけないものを口にしてしまう

そのような危険を避けるために、

材料や画材の出し方にはその傾向が見受けられる方には

注意してお出ししています。

物によっては「ごくん」と飲み込んでしまうことだってあるかもしれないし

「がりっ」と噛み砕こうとすることもある

今回のように「べろーん」と舐めることも。

口から物を食べるという事行為は「命」に直結している。

ならば、誤ったものを口にするという事も「命」に直結していることでもあります。




今回理解が出来ていても、次回理解が出来なくなる事もあるシニアの皆さん向けの

アートワークではプログラムを考える時、常にこの「誤食」を頭に入れておかなくてはいけません。



しかし このような事は起こってしまう。



ではアートワークで「誤食」をなくすためには何をしたらいいか?



もちろん起こった後には施設の方も交えて状況の確認及び今後の対応については

必ずミーティングをします。



でも起こってしまう。



ではどうしたら???



一番簡単な事は「アートワークをしないこと」 



極論です。


もう少しやさしく言うと

「危険な画材は出さない」という事かもしれない。



では何が危険で 何が危険でないか?


口に入れても安全なクレヨン

でものどに詰まったら危ないクレヨンにもなる



うーーーん。(>_<)



「危ないからやめよう」という考え方は確かに安全を作ると思います。

でもそこに「人間らしさ」は、どれだけ残るのでしょうか?

「安全」で味わうこともあれば、 一方で味わえないものはどんなものでしょう??



「感じること」

手が汚れたら嫌だと感じる自分

ビニール手袋は嫌だと感じる自分

臭いと感じる自分

いやだーーっと怒りを感じている自分

舐めてみたいと感じる自分

そして舐めちゃった自分

絵の具を両手で伸ばしたら楽しいと感じる自分

お隣の方の色と混ぜたら綺麗だと感じる自分

好きなところにセロファンを貼ったら自分の作品が出来てうれしいと笑う自分

一緒の仲間の方の作品を見たいから見せてという自分

「素敵だわ」と拍手と笑顔を送る自分

「あなたらしいわ」と仲間に言われて照れる自分

アートワークを通して沢山の自分に出会う。。



人間らしい自分

感情をもった自分



危ないことが起こり得るという事をしっかりと認識をした上で

サポーター、職員の皆さんと協力をして都度見守り、そして対応していく。

例えば、べろんと舐めちゃったら一緒に舐めちゃってもいいと私はおもっています。

その方が興味をもった事に一緒に興味をもって楽しんでみる

(過去に一緒に粘土を食べたこともあります。私)




私たちのアートワークでは沢山の「人間らしさ」を味わい

そしてそのプロセスで、そしてその作品で そして出会う仲間と共に

「自分らしさ」と出会っていく 取り戻していく



そんな時間なのです。

だから、毎回みなさん「今日は何するの?」って笑顔で参加されるんだと思います。



でも「誤食」はいけません。

しかし「黄色をべろーーん」の方

目をくりくりと「へへへ」ってお茶目な顔してました。



やられたなぁ~~





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