西三河地域労連のブログ開設!

愛知県西三河地域の労働組合の地域組織です。すべての労働者を視野に入れた活動をしています。

フットボール選手の奮闘

2017-11-02 07:59:19 | 社会問題紹介批評

米国NFLプロ・フットボール・リーグの試合開始時に、選手たちがトランプ政権の人種差別に抗議して、国歌斉唱時に起立せず、ひざまずいた問題でトランプ大統領は選手の解雇を要求した。同時に試合を観戦したペンス副大統領にも退場を求め、退場した副大統領は「我が国の兵士、国旗、国歌に不敬を示すいかなる出来ごとも尊重しない」と述べた。
 10月8日に副大統領の地元、インディアナポリス・コルツと対戦したサンフランシスコ・49ナーズの選手10数名が“ひざまずき抗議”を行った。

 この問題は「雇用に関する諸問題を提起するのに、労働者はどの程度まで団結行動できるか?」の疑問を投げかけている。連邦労働法は原則的には、「労働者を集め、交渉を要求するなどかなりの程度まで行動できる。労働者は組合の有無に関係なく、職場においてお互いに助け合うための“共同行動”が出来る」とされ、各種判例は使用者に対する苦情を社会メディアに乗せて公的に政治的にも訴えることも認めている。

 NFLリーグ運用規約は「国歌斉唱時に選手はコート側面に起立する」と定めているが、「ひざまずいてはならない」とは定めていない。多くの専門家も「雇用面での連帯を示すために共同のジェスチュア、ないしそうした行動を法律は認めている」と述べる。ハーバード大学のザックス教授も「自分たちを守るという従来組織を持たない労働者は新たな防衛組織を求めている。新しい形は珍奇に見えるかもしれないが、、、」と語る。因みにNFLに労働組合はない。

 連邦労働法の保護を受けるには「従業員の行動が同僚労働者との“共同行動”であり、問題が仕事に関連しており、適切な手段により遂行されること」とされる。つまり、財産の破壊や暴力的脅しは出来ない。(労働協約でストライキ禁止条項がある場合も同様である) 
1978年の最高裁判例では「仕事に関連する政治問題について、労働者は政治主張を行う権利がある」と定め、2008年の全国労働関係委員会(NLRB)でも「議会で審議中の移民法について労働者は賛成・反対の態度を公的に表明できる。但し仕事の怠業は出来ない」と規定した。

 各種判例は、連邦労働法が労働組合のない労働者にも集団訴訟の権利を保障していると認めているが、その権利を雇用契約時に放棄させることが出来るかどうかには議論が分かれている。トランプ政権はそれが出来るとの見解にある。最高裁、および全国労働関係委員会(NLRB)の判事が共和党指名多数となった現状で、トランプ見解に判決が傾く可能性もある。他方、リーブマンNLRB元議長は「人は本能的に他人が自分に同調してくれるよう求めている。その点で社会メディア、ツイッターの発達、違う形の社会的連帯の進化には目覚ましいものがあり、連帯は広がるだろう」と指摘する。