ここのところ、週末の度に何処かへ出掛けています。
おかげで金銭的にも時間的にも体力的にもきつくなってきました‥‥。
無茶なスケジュールを立ててしまった自分が全て悪いのですが。
というわけで、いろいろ書き残したいことはあるのですが、
とりあえずは一昨日行った、谷山浩子さんのコンサートの記録を。
例によってメモなど取っておらず、記憶に頼っているので、
細かい部分に関しては間違えているかもしれません。
そもそも。
谷山さんがデビュー40周年を記念して、東京国際フォーラムでコンサートを行うという情報は、
かなり以前から入っていました。
しかし、どうもその時期は忙しそうだったので、行くのは厳しいだろうなと思っていたのです。
とはいえ、ここ数年ばかりはコンサートもご無沙汰だったので、行かないのはあまりにも勿体無い。
で、つい先日に実家に帰ったとき、ふと妹に
「もうすぐ、谷山さんのコンサートがあるんだけど‥‥」と誘ってみたところ、
二つ返事で乗ってきたので、こうして行くことになったわけです。
____________________________________________________________________________________________________________
2012年11月10日、東京国際フォーラム・ホールC。
久しぶりに妹と再会し(と言っても、最後に会ってから一ヶ月も経っていません)、
軽く(わりと重く)早めの夕食なんぞをとりつつ、
下ネタ・オタクネタ満載の対話を一頻り楽しんだところで、
開演間近のホール内へと足を踏み入れました。
ブザーが二度鳴り、いよいよ開演。
ホール内の照明が消え、ステージ上に明かりが灯ると、
そこにはピアノの前に座った谷山さんが。
初めて自分の曲を創ったのは、七歳の時でした。
NHKの番組で、歌詞とメロディーを送ると、
選ばれた何曲かがプロの歌手に歌ってもらえるというもので。
親に送ってもらい‥‥音沙汰はありませんでしたが。
それが、この曲です。
1.「ほしのよる」
「とても短い歌ですが、これがきっかけになって、
『曲を創る』ということが遊びの一つになりました」(谷山さん談)
そして10歳のときには、自分にとって唯一のクリスマスソングを創ったとのこと。
「でも歌詞は、諸行無常。」(谷山さん談)
2.「クリスマスツリー」
のっけから、曲名からはイメージできないような暗いメロディー。
歌詞も、1番では「今日は楽しいクリスマス・イブ」だったのに
2番では「昨日は楽しいクリスマス、ツリーももう小屋の中」みたいな感じで、
なんとも哀愁漂います。
どんな10歳児だったのやら。
15歳のころ、近所のキングレコードに曲を持ち込んでいたことがきっかけで、
最初のレコードを出すことになったそうです。
その初アルバム(?)から一曲。
でもやっぱり、歌詞は諸行無常。
3.「天使のつぶやき」
その後、高校生の頃にヤマハのコンテストで入賞し、
いわゆる「二枚目のデビューアルバム」を出すことになりました。
そのときの入賞曲がコレ。
4.「お早うございますの帽子屋さん」
授業中に曲を思いつき、休み時間に音楽室で一気に作りあげたという話は有名ですね。
「絶対、グランプリになると思っていたのに、
予想よりも大幅に下がりました」(谷山さん談)
こうして、メジャーデビューとなったわけですが、
初期の頃は編曲の面でなかなか苦労があったそうです。
当時の編曲でお世話になったのが、山川恵津子さん。
そんな山川さんを交えての、初期の代表曲を二つ。
5.「カントリーガール」
6.「ねこの森には帰れない」
この当時は、こういった曲を創る人があまり居ないせいで、
いろいろと辛辣なことも言われたそうです。
ある音楽評論家の批評は、
「もっと大人の女の曲を作った方がいい。
まぁ、メルヘンババアになりたいのなら良いが。」なる言葉で締められていたそうな。
それに対して「‥‥なりました!」と前向き(?)にやり過ごす谷山さん。
「こういうことは、いつまでも覚えてるんですよ」(谷山さん談)
しかしこのあたりから、かなり大きなスランプに陥ってしまったそうです。
「曲を創っても、変な曲しか出来なくて。
でもある時『真夜中の太陽』という曲が出来て、
そこでスランプから抜け出せました。
でもやっぱり、変な曲ばかり出来ましたが‥‥」(谷山さん談)
この頃、橋本一子さんと出会ったことで、いよいよ現在までの流れとなる、
いわゆる「谷山浩子の世界」ができあがっていったわけです。
その橋本さんからの紹介で出会い、現在でも大きな関わりのあるお二人、
石井AQさんと斉藤ネコさんも登場。
ここからは、おおよそ年代別に一曲ずつの演奏。
7.「たんぽぽ食べて」
さっきまでの明るい雰囲気はどこへやら。
あの例の、本編と関係があるような無いような語りが始まると、
場内の空気が一変しました。
斉藤さんの荒ぶるバイオリンが、怖くて素敵。
8.「恋するニワトリ」
9.「まっくら森のうた」
NHKの「みんなのうた」で有名になった二曲。
谷山さんの曲というと、こういったものしか知らない人も多いのでしょうね。
10.「てんぷら☆さんらいず」
オールナイトニッポンで番組をやっていた頃のオープニング曲。
当時は、明るい感じのキャラを前面に出していたそうですが、
決して意図的なものでは無かったそうで。
「ラジオに乗りにくい声だと言われたので、高めの声で話していたら、
ノリもそれに近くなってしまった」(谷山さん談)
11.「風になれ~みどりのために」
サクロンのCMソングとして使われて有名になった曲。
これも綺麗な曲ですね。
なんとなく、消化器系が落ち着きそうな感じではあります。
このあたりから、それまで「歌詞→曲」の順で創っていたものが、
「曲→歌詞」で創るようになり、表現が拡がっていったそうです。
「で、そうして創られた曲については、第二部でゆっくりと。」(谷山さん談)
というわけで、ここで第一部終了。
ステージ上にも幕が下ろされ、しばしの休憩。
____________________________________________________________________________________________________________
再度ブザーが鳴り、照明が落とされます。
それと同時に、会場中に響き渡る、不穏としか言いようのない音。
やがてステージ上の幕が上がると、闇の中にぼんやりと浮かぶ谷山さん達。
これはまさか‥‥。
12.「王国」
いきなり来ましたね。
さっきの四人の後ろには、
ギターの古川昌義さん、ベースの佐藤研二さん、ドラムの高橋ロジャー和久さんが登場。
一気に異世界へ引きずりこまれます。
13.「海の時間」
一転して、穏やかなこれまた名曲。
やっぱりこれは、生で聴くべきものですね。
コンサートで聴く度に泣きそうになるのですが、
今回も途中で視界がぼやけてしまいました。
この二曲、方向性は全く違っていて、でもものすごい人気曲なんですね。
2010年の人気投票では、3位と1位の曲でした(2位は「カントリーガール」)。
「これでベスト3は全部やってしまいました。
でも、残りも聴いてやってください‥‥残りじゃないけど」(谷山さん談)
ここからはまた年代順に、三曲続けて。
14.「ひとりでお帰り」
励ましソングではありますが、
「励まされたという人と、余計に落ち込んだという人の差が激しい曲」(谷山さん談)
なんだそうで。
正直言うと、個人的にこの曲ってそんな好きではないのですが、
なんだかこの日に限っては、目頭が熱くなりました。
この曲だけではないのですが、谷山さんの「人を励ます曲」って、
「勇気が出る」とか「前向きになれる」とかいった類のものではないんですよね、
『真夜中の太陽』しかり、『僕は鳥じゃない』しかり。
不安なら不安のままで。孤独なら孤独のままで。
傷を負ってボロボロになりながらも進んでいこうと思える感じがします。
15.「カイの迷宮」
そんな感じで、メンタル的に敏感になっているときに、
続けて孤独極まる曲を入れてくるあたりが、また谷山さんの恐ろしいところ。
谷山さんの「美しすぎて怖い曲」部門のトップ3に入る曲だと勝手に思ってます。
(他二曲は『冷たい水の中を君と歩いていく』と『空からマリカが』でどうでしょうか)
16.「ドッペル玄関」
ここで一気にヒートアップ。
歌詞の意味などこれっぽっちもわかりませんが、とりあえず聴いてて気持ちいいです。
「なんでこの三曲を並べたんだ、という組み合わせでしたね」(谷山さん談)
たしかこのあたりでフリートークだったと思うのですが、内容をほとんど忘れてしまいました。
谷山さんが山川さんに「バブル期は儲けたでしょ」と絡んで、
「でも、編曲家は印税入ってこないし‥‥」と落ち込んだのは、別のときだったか。
また三曲続きます。
17.「さよならのかわりに」
ギターの古川さんとのデュエット風な演奏でした。
この曲も、正直印象薄かったり。
アルバムだと『ダイエット』と『仇』の間に挟まれているのですから、仕方が無いです。
18.「電波塔の少年」
谷山さんの曲には、少年が主人公の曲が多くありますが、
「その中で最も可哀想な少年」(谷山さん談)の曲なんだとか。
今回、チケットを取るのが遅れたせいで、席は三階部分だったんですが、
この曲に関しては、高台から眺めながら聴くのが適している気がします。
19.「よその子」
これもまた名曲。
ある意味、人間の心の弱さみたいなものを、これでもかと表した曲なんですが、
それでも最後に残るのは、他者への優しさなのではないのか、
そんなメッセージ性の強い作品だと思います。
と、大盛り上がりのコンサートでしたが、いよいよ最後の曲に。
ラストは、比較的新しい二曲を。
20.「さよならDINO」
21.「NANUK」
『DINO』は、少年と恐竜との数億年に及ぶ友情と、その別れを描いた曲。
『NANUK』はホッキョクグマの生きている様をイメージしたのだとか。
こういう、壮大すぎるテーマを表現することのできる人って、
やっぱり凄いと思うわけです。
____________________________________________________________________________________________________________
ここでコンサートは終了‥‥なのですが、
そう簡単に終わるわけもなく。ここからアンコール。
最近、18年ぶりのシングル曲『同じ月を見ている』を出しました。
「アルバムと違って、シングルは売れないから‥‥」(谷山さん談)
すみません、私も買っていません‥‥。
で、ネット上では既にいろいろと感想が出ているのですが、
ある人がtwitterで
「いい曲だと思うが、『銀河通信』とどこが違うかわからない」などと書いたそうで。
「全然違います。『同じ月を見ている』は地球上だけど、
『銀河通信』は百億光年も離れているんですよ」(谷山さん談)
というわけで、その違いを示すべく、二曲続けての演奏。
22.「銀河通信」
23.「同じ月を見ている」
えーと、『同じ月を見ている』はほぼ初聴きだったのですが、
不覚にもここで完全に泣いてしまいました。
まったく、今日のコンサートで一体何度目でしょうか。
涙もろくなったなぁ。直前に飲んだワインのせいかしら。
多分、一生出会うことの無い「誰か」が、
今夜、同じような寂しさや辛さを抱えながら、同じ月を眺めている。
それでも私は元気だから、あなたも元気でいて欲しい‥‥
どこか身勝手かもしれませんが、どこか優しい気持ちになれる曲だと思います。
でもこれって、『きみの時計がここにあるよ』とか『子守唄』とかと
同じテーマのような気が‥‥なんて書くと、
別のコンサートで、続けて演奏されてしまうかもしれませんね。
これで全て終了‥‥の予定でしたが、会場内は拍手が鳴り止まず。
最後に谷山さん一人だけが現れ、本当に最後の曲を歌うことに。
「最後の三曲が白系(明るかったり普通だったり)だったから。
黒系の曲だと、暗かったり怖かったりするんだけど。
この曲は‥‥灰赤紫色?」(谷山さん談)
ということで演奏し始めたのが、よりにもよってコレ。
24.「意味なしアリス」
歌うと元気になる曲、肩の荷が下りる曲だと言ってましたが、
「リラックスできる」というよりも「ずっこける」に近いと思います。
いやまぁ、ピアノ一本でも普通にかっこいい曲ですけどね。
____________________________________________________________________________________________________________
こんな感じで、谷山浩子さんの40年の世界を堪能した一夜でした。
コンサート中で意外だったのが、谷山さんがご自身の年齢について言及していたこと。
私にとっては、谷山さんは永遠の少女(または少年、もしくは女帝)のイメージなので、
結構面食らいました。
「いわゆるお年寄りの喋り方って、歳を取るからああなるんじゃなくて、
あの人たちは若い頃から変わらずにああなんだ」と言っていましたが、
『少女性・少年性』みたいなものって、年齢による相対的なものではなく、
その人自身に備わっている絶対的なものなのかもしれませんね。
とりあえず私も、ダークメルヘンジジイ(もしくはババア)になれるよう、
精々努力しなければなと肝に銘じた次第でありました。
今日はこんなところで。裄紘でした。
おかげで金銭的にも時間的にも体力的にもきつくなってきました‥‥。
無茶なスケジュールを立ててしまった自分が全て悪いのですが。
というわけで、いろいろ書き残したいことはあるのですが、
とりあえずは一昨日行った、谷山浩子さんのコンサートの記録を。
例によってメモなど取っておらず、記憶に頼っているので、
細かい部分に関しては間違えているかもしれません。
そもそも。
谷山さんがデビュー40周年を記念して、東京国際フォーラムでコンサートを行うという情報は、
かなり以前から入っていました。
しかし、どうもその時期は忙しそうだったので、行くのは厳しいだろうなと思っていたのです。
とはいえ、ここ数年ばかりはコンサートもご無沙汰だったので、行かないのはあまりにも勿体無い。
で、つい先日に実家に帰ったとき、ふと妹に
「もうすぐ、谷山さんのコンサートがあるんだけど‥‥」と誘ってみたところ、
二つ返事で乗ってきたので、こうして行くことになったわけです。
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2012年11月10日、東京国際フォーラム・ホールC。
久しぶりに妹と再会し(と言っても、最後に会ってから一ヶ月も経っていません)、
軽く(わりと重く)早めの夕食なんぞをとりつつ、
下ネタ・オタクネタ満載の対話を一頻り楽しんだところで、
開演間近のホール内へと足を踏み入れました。
ブザーが二度鳴り、いよいよ開演。
ホール内の照明が消え、ステージ上に明かりが灯ると、
そこにはピアノの前に座った谷山さんが。
初めて自分の曲を創ったのは、七歳の時でした。
NHKの番組で、歌詞とメロディーを送ると、
選ばれた何曲かがプロの歌手に歌ってもらえるというもので。
親に送ってもらい‥‥音沙汰はありませんでしたが。
それが、この曲です。
1.「ほしのよる」
「とても短い歌ですが、これがきっかけになって、
『曲を創る』ということが遊びの一つになりました」(谷山さん談)
そして10歳のときには、自分にとって唯一のクリスマスソングを創ったとのこと。
「でも歌詞は、諸行無常。」(谷山さん談)
2.「クリスマスツリー」
のっけから、曲名からはイメージできないような暗いメロディー。
歌詞も、1番では「今日は楽しいクリスマス・イブ」だったのに
2番では「昨日は楽しいクリスマス、ツリーももう小屋の中」みたいな感じで、
なんとも哀愁漂います。
どんな10歳児だったのやら。
15歳のころ、近所のキングレコードに曲を持ち込んでいたことがきっかけで、
最初のレコードを出すことになったそうです。
その初アルバム(?)から一曲。
でもやっぱり、歌詞は諸行無常。
3.「天使のつぶやき」
その後、高校生の頃にヤマハのコンテストで入賞し、
いわゆる「二枚目のデビューアルバム」を出すことになりました。
そのときの入賞曲がコレ。
4.「お早うございますの帽子屋さん」
授業中に曲を思いつき、休み時間に音楽室で一気に作りあげたという話は有名ですね。
「絶対、グランプリになると思っていたのに、
予想よりも大幅に下がりました」(谷山さん談)
こうして、メジャーデビューとなったわけですが、
初期の頃は編曲の面でなかなか苦労があったそうです。
当時の編曲でお世話になったのが、山川恵津子さん。
そんな山川さんを交えての、初期の代表曲を二つ。
5.「カントリーガール」
6.「ねこの森には帰れない」
この当時は、こういった曲を創る人があまり居ないせいで、
いろいろと辛辣なことも言われたそうです。
ある音楽評論家の批評は、
「もっと大人の女の曲を作った方がいい。
まぁ、メルヘンババアになりたいのなら良いが。」なる言葉で締められていたそうな。
それに対して「‥‥なりました!」と前向き(?)にやり過ごす谷山さん。
「こういうことは、いつまでも覚えてるんですよ」(谷山さん談)
しかしこのあたりから、かなり大きなスランプに陥ってしまったそうです。
「曲を創っても、変な曲しか出来なくて。
でもある時『真夜中の太陽』という曲が出来て、
そこでスランプから抜け出せました。
でもやっぱり、変な曲ばかり出来ましたが‥‥」(谷山さん談)
この頃、橋本一子さんと出会ったことで、いよいよ現在までの流れとなる、
いわゆる「谷山浩子の世界」ができあがっていったわけです。
その橋本さんからの紹介で出会い、現在でも大きな関わりのあるお二人、
石井AQさんと斉藤ネコさんも登場。
ここからは、おおよそ年代別に一曲ずつの演奏。
7.「たんぽぽ食べて」
さっきまでの明るい雰囲気はどこへやら。
あの例の、本編と関係があるような無いような語りが始まると、
場内の空気が一変しました。
斉藤さんの荒ぶるバイオリンが、怖くて素敵。
8.「恋するニワトリ」
9.「まっくら森のうた」
NHKの「みんなのうた」で有名になった二曲。
谷山さんの曲というと、こういったものしか知らない人も多いのでしょうね。
10.「てんぷら☆さんらいず」
オールナイトニッポンで番組をやっていた頃のオープニング曲。
当時は、明るい感じのキャラを前面に出していたそうですが、
決して意図的なものでは無かったそうで。
「ラジオに乗りにくい声だと言われたので、高めの声で話していたら、
ノリもそれに近くなってしまった」(谷山さん談)
11.「風になれ~みどりのために」
サクロンのCMソングとして使われて有名になった曲。
これも綺麗な曲ですね。
なんとなく、消化器系が落ち着きそうな感じではあります。
このあたりから、それまで「歌詞→曲」の順で創っていたものが、
「曲→歌詞」で創るようになり、表現が拡がっていったそうです。
「で、そうして創られた曲については、第二部でゆっくりと。」(谷山さん談)
というわけで、ここで第一部終了。
ステージ上にも幕が下ろされ、しばしの休憩。
____________________________________________________________________________________________________________
再度ブザーが鳴り、照明が落とされます。
それと同時に、会場中に響き渡る、不穏としか言いようのない音。
やがてステージ上の幕が上がると、闇の中にぼんやりと浮かぶ谷山さん達。
これはまさか‥‥。
12.「王国」
いきなり来ましたね。
さっきの四人の後ろには、
ギターの古川昌義さん、ベースの佐藤研二さん、ドラムの高橋ロジャー和久さんが登場。
一気に異世界へ引きずりこまれます。
13.「海の時間」
一転して、穏やかなこれまた名曲。
やっぱりこれは、生で聴くべきものですね。
コンサートで聴く度に泣きそうになるのですが、
今回も途中で視界がぼやけてしまいました。
この二曲、方向性は全く違っていて、でもものすごい人気曲なんですね。
2010年の人気投票では、3位と1位の曲でした(2位は「カントリーガール」)。
「これでベスト3は全部やってしまいました。
でも、残りも聴いてやってください‥‥残りじゃないけど」(谷山さん談)
ここからはまた年代順に、三曲続けて。
14.「ひとりでお帰り」
励ましソングではありますが、
「励まされたという人と、余計に落ち込んだという人の差が激しい曲」(谷山さん談)
なんだそうで。
正直言うと、個人的にこの曲ってそんな好きではないのですが、
なんだかこの日に限っては、目頭が熱くなりました。
この曲だけではないのですが、谷山さんの「人を励ます曲」って、
「勇気が出る」とか「前向きになれる」とかいった類のものではないんですよね、
『真夜中の太陽』しかり、『僕は鳥じゃない』しかり。
不安なら不安のままで。孤独なら孤独のままで。
傷を負ってボロボロになりながらも進んでいこうと思える感じがします。
15.「カイの迷宮」
そんな感じで、メンタル的に敏感になっているときに、
続けて孤独極まる曲を入れてくるあたりが、また谷山さんの恐ろしいところ。
谷山さんの「美しすぎて怖い曲」部門のトップ3に入る曲だと勝手に思ってます。
(他二曲は『冷たい水の中を君と歩いていく』と『空からマリカが』でどうでしょうか)
16.「ドッペル玄関」
ここで一気にヒートアップ。
歌詞の意味などこれっぽっちもわかりませんが、とりあえず聴いてて気持ちいいです。
「なんでこの三曲を並べたんだ、という組み合わせでしたね」(谷山さん談)
たしかこのあたりでフリートークだったと思うのですが、内容をほとんど忘れてしまいました。
谷山さんが山川さんに「バブル期は儲けたでしょ」と絡んで、
「でも、編曲家は印税入ってこないし‥‥」と落ち込んだのは、別のときだったか。
また三曲続きます。
17.「さよならのかわりに」
ギターの古川さんとのデュエット風な演奏でした。
この曲も、正直印象薄かったり。
アルバムだと『ダイエット』と『仇』の間に挟まれているのですから、仕方が無いです。
18.「電波塔の少年」
谷山さんの曲には、少年が主人公の曲が多くありますが、
「その中で最も可哀想な少年」(谷山さん談)の曲なんだとか。
今回、チケットを取るのが遅れたせいで、席は三階部分だったんですが、
この曲に関しては、高台から眺めながら聴くのが適している気がします。
19.「よその子」
これもまた名曲。
ある意味、人間の心の弱さみたいなものを、これでもかと表した曲なんですが、
それでも最後に残るのは、他者への優しさなのではないのか、
そんなメッセージ性の強い作品だと思います。
と、大盛り上がりのコンサートでしたが、いよいよ最後の曲に。
ラストは、比較的新しい二曲を。
20.「さよならDINO」
21.「NANUK」
『DINO』は、少年と恐竜との数億年に及ぶ友情と、その別れを描いた曲。
『NANUK』はホッキョクグマの生きている様をイメージしたのだとか。
こういう、壮大すぎるテーマを表現することのできる人って、
やっぱり凄いと思うわけです。
____________________________________________________________________________________________________________
ここでコンサートは終了‥‥なのですが、
そう簡単に終わるわけもなく。ここからアンコール。
最近、18年ぶりのシングル曲『同じ月を見ている』を出しました。
「アルバムと違って、シングルは売れないから‥‥」(谷山さん談)
すみません、私も買っていません‥‥。
で、ネット上では既にいろいろと感想が出ているのですが、
ある人がtwitterで
「いい曲だと思うが、『銀河通信』とどこが違うかわからない」などと書いたそうで。
「全然違います。『同じ月を見ている』は地球上だけど、
『銀河通信』は百億光年も離れているんですよ」(谷山さん談)
というわけで、その違いを示すべく、二曲続けての演奏。
22.「銀河通信」
23.「同じ月を見ている」
えーと、『同じ月を見ている』はほぼ初聴きだったのですが、
不覚にもここで完全に泣いてしまいました。
まったく、今日のコンサートで一体何度目でしょうか。
涙もろくなったなぁ。直前に飲んだワインのせいかしら。
多分、一生出会うことの無い「誰か」が、
今夜、同じような寂しさや辛さを抱えながら、同じ月を眺めている。
それでも私は元気だから、あなたも元気でいて欲しい‥‥
どこか身勝手かもしれませんが、どこか優しい気持ちになれる曲だと思います。
でもこれって、『きみの時計がここにあるよ』とか『子守唄』とかと
同じテーマのような気が‥‥なんて書くと、
別のコンサートで、続けて演奏されてしまうかもしれませんね。
これで全て終了‥‥の予定でしたが、会場内は拍手が鳴り止まず。
最後に谷山さん一人だけが現れ、本当に最後の曲を歌うことに。
「最後の三曲が白系(明るかったり普通だったり)だったから。
黒系の曲だと、暗かったり怖かったりするんだけど。
この曲は‥‥灰赤紫色?」(谷山さん談)
ということで演奏し始めたのが、よりにもよってコレ。
24.「意味なしアリス」
歌うと元気になる曲、肩の荷が下りる曲だと言ってましたが、
「リラックスできる」というよりも「ずっこける」に近いと思います。
いやまぁ、ピアノ一本でも普通にかっこいい曲ですけどね。
____________________________________________________________________________________________________________
こんな感じで、谷山浩子さんの40年の世界を堪能した一夜でした。
コンサート中で意外だったのが、谷山さんがご自身の年齢について言及していたこと。
私にとっては、谷山さんは永遠の少女(または少年、もしくは女帝)のイメージなので、
結構面食らいました。
「いわゆるお年寄りの喋り方って、歳を取るからああなるんじゃなくて、
あの人たちは若い頃から変わらずにああなんだ」と言っていましたが、
『少女性・少年性』みたいなものって、年齢による相対的なものではなく、
その人自身に備わっている絶対的なものなのかもしれませんね。
とりあえず私も、ダークメルヘンジジイ(もしくはババア)になれるよう、
精々努力しなければなと肝に銘じた次第でありました。
今日はこんなところで。裄紘でした。
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