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札幌・聴覚障害偽装:容疑者逮捕 全容解明に向け前進 /北海道

2009-06-14 17:50:25 | 障害福祉ニュース
札幌・聴覚障害偽装:容疑者逮捕 全容解明に向け前進 /北海道
6月12日11時0分配信 毎日新聞

 ◇「制度見直し」の声も 聴覚障害者ら、チェックの甘さ指摘
 07年末に表面化した聴覚障害の不正事件は11日、医師の前田幸〓(よしあき)容疑者(74)ら4人が詐欺容疑などで逮捕されたことで、全容解明に向けて動き出した。刑事告発した道や札幌市は捜査の行方に期待するが、制度の不備や自治体の責任を問う声も出ている。
 ◆捜査員
 前田容疑者は11日午前10時50分ごろ、経営する耳鼻咽喉(いんこう)科医院が入るJR札幌駅南口の駅前ビル裏口から道警捜査員に付き添われて姿を現した。紺色のつば付き帽子と大きな白いマスクで顔を隠し、うつむいたままでワゴン車に乗り込んだ。
 難聴のため別の病院に行く途中だった同市東区の男性(72)は「今回の不正で聴覚障害者に偏見が持たれ、腹が立つ」と憤った。
 一方、社会保険労務士の香田清容疑者(67)は同日午前10時25分ごろ、札幌市西区の自宅から捜査員とともに出てきた。黒いベレー帽をかぶり、時折険しい表情をみせた。【和田浩幸、円谷美晶】
 ◆芦別、札幌
 前田容疑者の診断による障害者手帳取得者が道内で最も多い芦別市。253人の大半が手帳を返還。「後ろめたい気がしていた」「(診察に)行かなければよかった」と後悔する人もいたという。市は4月から申請の際、窓口で複数の担当者が対応しており、小川政憲・福祉課長は「今回の逮捕が制度改善に結びつけばいい」と話す。
 176人が手帳を取得した札幌市の上田文雄市長も「事件の全ぼうが明らかにされることを期待する」とコメント。ただ、前田容疑者を指定医にした同市障がい福祉課は「医師免許があり臨床経験があれば指定医とできる厚生労働省の基準や、書面だけで障害認定できる現行制度では、指定医の在り方を変えられない」と指摘した。【西端栄一郎、仲田力行】
 ◆社保庁、道
 障害年金を扱う北海道社会保険事務局は「不正が事実とすれば残念」と語った。02~07年度に、前田容疑者の診断書に基づき手帳を取得し、障害年金を受給していたのは137人。総額は約7億円とみられる。すでに134人の支給を停止し、今後、年金の返還などを求める方針。
 また、道の高橋はるみ知事は「道は捜査に協力してきた。今後の捜査で事件の全容が解明されるだろう」とのコメントを発表。自動車税などの追徴課税を実施しているが、道障がい者保健福祉課は「判決まで時間がかかると時効で返還を求められなくなる。自主返納に向けて市町村と検討したい」と話す。
 一方、道内の聴覚障害者らで組織する「北海道ろうあ連盟」の石澤美和子事務局長は「自分たちの営利のために障害者を利用したとすれば許せない。行政が不正を見抜けなかったことも残念」と自治体のチェック体制の甘さを指摘した。【金子淳、鈴木勝一】
 ◆一問一答
 ◇近藤容疑者「虚偽だった」/香田容疑者「不正はない」
 仲介役を務めていた芦別市の元労組幹部、近藤順一容疑者は08年10月、毎日新聞の取材に対し、前田幸〓容疑者が作成した診断書が虚偽だったことを認めていた。ただ、申請手続きを代行していた社会保険労務士、香田清容疑者は同年8月、毎日新聞の取材に対し、不正への関与を否定していた。2容疑者の一問一答は次の通り。
 ■近藤容疑者
 --疑惑を否定するのか。
 いや。
 --前田医師に患者を紹介したのか。
 平成11年(99年)ごろにあった。20人ぐらい。それ以降はない。
 --患者は耳が聞こえていたのか。
 うん。話したもん。
 --診断書がおかしいと思わなかったか。
 思わなかった。あとは警察が判断する。否定も肯定もしない。
 --先ほど疑惑を認めたのではないか。
 認めるって。虚偽だったって。
 ■香田容疑者
 --申請を代行し始めたのはいつか?
 平成10(98)年か11(99)年。法に触れるようなことはやっていない。社労士の仕事で不正ができるようなことはない。
 --おかしいと思ったこともあるのでは。
 いちいち「この診断書はおかしい」とか考えないし、考えてはいけないと思っていた。
 --耳が聞こえないはずの患者と会話したのではないか。
 会話ができても、診断書がこの人のものだと意識していない。具体的に診断書の内容を見ることはない。
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 【聴覚障害不正事件の経緯】
07年11月 道が全道の保健福祉事務所に前田医師関連の障害者手帳申請の再調査を指示
   12月 聴覚障害不正疑惑が表面化
08年 2月 道と札幌市が障害者手帳取得者の調査を開始。手帳返還が相次ぐ
    4月 前田容疑者が札幌市の聴聞会で「偽りはない」と疑惑を全面否定
    5月 札幌市が指定医を取り消し
    7月 道警が手帳取得者に対する任意の事情聴取を開始
    9月 道と札幌市が前田容疑者らを虚偽診断書作成容疑などで告発。道警は前田容疑者の医院などを一斉に家宅捜索
09年 2月 芦別、赤平両市が手帳返還者の一部に住民税を追徴課税。他の市町村も同様の措置
    3月 芦別、赤平両市が手帳返還者に障害者医療費助成金の返還を求める意向を示す
    5月 道が手帳返還者310人に過去3年分の自動車税と自動車取得税を追徴課税
    6月 道警が前田容疑者ら4人を逮捕

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