今年は手塚治虫先生の生誕80周年で、
NHKのBSで特集番組を何回かやってます。
手塚治虫という稀代の漫画家の偉大さを、
見ると改めて感じます。
手塚作品を全部読んでいないので
本当はえらそうなことは言えないのですが(^^ゞ、
私にとっての手塚治虫といえば、
「ブラック・ジャック」です。
文庫版ですが、全巻揃えて読みました。
しかも、古本屋に売ることなく、
いまだに私の本棚で生き残ってます。
すごいことです(笑)
この「ブラック・ジャック」は一話完結だから、
ストーリーが凝縮されてて面白いし、
一話一話の完成度がとても高いと思います。
話の面白さだけでなく、
色々な問題点を提起しているところも印象的です。
二百話以上ありますが、
どの話も医療を扱ってるだけあって、
命の重さ、生死に関わる人間の欲望や愚かさ、
そして希望や温かさ、が色々な形で描かれていました。
今読んでもテーマとか全く古びてなくて、
むしろ今の方がより大きな問題になっていることを
描かれていることに驚きます。
"漫画の神様"の先見の明はすごいですね。
感服する思いです。
読み終えてほのぼのとあたたかい気持ちになる話もあれば、
ハッピーエンドじゃない話もあるし、
読者に何かを問いかけるラストの話も多いです。
その多様性が、世代を超えて
読む者の心を惹きつけるんだと思います。
そして、読む年齢によって、感じ方が違ってくる作品です。
手塚先生は、子供向きの漫画のイメージが強いと思いますが、
こういう大人向きの漫画も描けるのがすごいです。
そして、無免許だけど天才外科医のブラック・ジャックの生き方が
カッコ良くて、今も大ファンです(笑)
色々な方が語っていますが、この"無免許医"というのが、
大事な要素なんですね。
"人を救うことに免許や肩書が必要なのか"と
問いかけられている気がします。
そして、高額な手術代を請求することも意味がある。
"本気で治りたいなら、治して欲しいなら、払えるはずだ。
命と金とどちらが大切か"ということが再三出てきますが、
それだけでなく、彼自身の自分の技量への誇りと、
自分を"正義の味方"だと思わないために、
自らを律している意味があることも感じます。
大人になって、そういった色々な意味が
分かってきた気がします。
また、安楽死のドクター・キリコや、鍼師の琵琶丸といった、
ブラック・ジャックの姿勢と対立する存在を描くことで、
"正義"は一つではないことが伝わって、
話が深くなっているとも思います。
もちろん、ピノコといる時のほのぼのした雰囲気も好きです(笑)
ピノコはブラック・ジャックの救いのような存在だから、
見てて本当にホッとします。
かわいくて大好きです
久しぶりに読みたくなって、
毎日少しずつ読んでますが、
新鮮な面白さと感動を味わってます。
「どろろ」や「MW」も好きだったし、
今年は他の手塚作品にも挑戦してみようかな~と思います。