中秋節茶会

2010年09月21日 | 日記
月餅を中国茶と共に。

中国茶教室の老師から電話があり、中秋節のお茶会に参加することになった。審評茶高級のクラスが終わってからはじっくり中国茶を飲む機会がめっきり少なくなっている上、当時の同学は皆帰国してしまっている。参加人数は10人ちょっとと言うことなので、久々にゆっくり中国茶を楽しめると早起きも物とせず(実はちょっと厳しいが)出かけてきた。

今回はなんでもちょっと珍しいお茶を飲ませて貰えるらしい。テーブルにはドライトマトやサツマイモの茶菓子と共に月餅が並ぶ。まず最初に紹介されたのが黄茶「君山銀針」だ。こちらは教室でも飲んだことのあるものだが、老師曰く「これは本物の君山銀針だ」と言う。じゃあ今までのは??と思っていたら、これは洞庭湖の君山島産の茶葉を昔ながらの伝統的な製法で作られたものなのだそうだ
。今まで飲んでいたのは君山島産ではない物で、通常君山産の物は非常に生産量が少なく市場に出回ることは少ないのだという。ちなみにこの本場物は1斤(500g)2万元(約26万円)というお値段だそうだ。同種の緑茶も比べて飲んでみたが、この黄茶タイプはまろやかでとてもやわらかな味わいだった。これはもう一生飲めないかもしれない(笑)。

次は紅茶の中でも今人気のある武夷山産の「金駿眉」だ。こちらは3種類の茶葉が用意された。一見芽の少ない茶葉が標高の高い場所のもの、茶葉が細めで芽の多い物が標高の低い場所の物、更にもう一つは名前こそ金駿眉だが実は「坦洋工夫」という全く違う紅茶だ。なんでも現在金駿眉は人気があり高値がつくので、こうした現象が起きているらしい。確かに茶葉では見分けがつかないが飲んでみると一目(飲?)瞭然だ。坦洋工夫は私も好きな紅茶だが、正に紅茶!という渋みがはっきり分かる。それに比べ二つの金駿眉は渋みの無い柔らかな味だ。更にこの高山産の物は非常に香りが高く、老師曰く12煎入れても香りが持続するという。実際お茶会では9煎迄入れたが、片方はあっという間に香りが無くなってしまったが高山産は最後まで薫り高いままだった。ちなみにこの金駿眉は生産量もそれ程多くないそうで、北京のお茶市場ではなかなか本物には巡り会えないらしい。

次は武夷山大紅袍だ。最初に老師が取り出したのは「龍團鳳餅」と書かれた餅茶だった。プーアールのように丸く固めただけではなく、きちんと円柱形になっており表面にはこのお茶の名前が凹凸で浮き彫りになっている。これは宋代の製茶方法で作られた物で、大紅袍を餅茶に!?と非常に驚いた。しかし飲んでみると何か違う…これは茶葉は武夷山の岩茶をブレンドした物らしい。その後徐に老師が本物の大紅袍を淹れてくれた。そうそう、これこそ大紅袍!渋みのない、岩茶独特の味わいと香りが素晴らしい。時々飲まないとうっかり忘れてしまいそうだ(笑)。

ここでしばしの休憩タイムを挟んで淹れて貰ったのが広東烏龍「酔佳人」だ。これは先日馬連道で見つけてあまりに美味しくて買った物だが、教室でも飲めるとは思わなかった。原料は同じ広東烏龍「蜜蘭香」と同じなのだが、発酵の割合が蜜蘭香が「八緑二紅(8割緑茶2割紅茶)」と呼ばれるのに対して逆になるのだそうだ。蜜蘭香より発酵の度合いの多い紅茶に近い味わいになるそうで、台湾の東方美人と同じ割合だという。花の香りと共に広がるフルーツの香りが堪らないお茶だ。

そして今回最後のお茶はとても時節にあったお茶雲南産の「月光白」だ。これはお茶の種類としてはプーアールの生茶(生普)になるのだが、プーアールの茶葉を白茶の製法で作るのだという。更に面白いのが、製茶の作業は夜間で、月光に当てて萎れさせるのでこの名前がつくらしい。実際見た目も形こそ餅茶だが白い芽が目立つとても綺麗なお茶だ。飲んでみると生普の独特の味が殆ど無く、白茶に近いほんのりと甘いさっぱりした味だ。私は実は生普があまり好きではないのだが、これはすっかり気に入ってしまい、お値段もお手頃だったので購入することにした。味もさることながらこの名前がとても綺麗で気に入ってしまったというのもある。

今日は久しぶりにたっぷり中国茶を堪能することができた。以前から参加したいと思っていた茶芸師中級コースは私の都合が合わず今回は見送りとなったが、老師と会って話した際お茶を楽しむ不定期班がありそちらに誘っていただき参加することになった。やはりこれからも時々はこうして中国茶に触れる時間をもっていたいと思う。