百姓日誌

島根県のとある場所で、農業研修を受けてます。教わったことや、思いついたことを、復讐がてらに書き連ねていきます。

役には立たない

2013-11-30 18:11:32 | 日記
ポールクルーグマンの「ミクロ経済学」という本が面白い。
経済学の教科書なのだが、実例として、自分の身の回りで頻繁に起こるような出来事を取り上げており、ふとした拍子に「あ、いま自分がやっていることは、あの教科書の内容でいうと、こういう風に説明できるな」と、自然に頭の中で浮かんでくる。とてもわかりやすい上に、面白い。
で、ありながら脱線するわけでもなく、基本的なことからきっちりと教えてくれる。良い教科書ってのは、こういう本のことを言うんだろうな、と思う。

どこぞの誰かが言っていたが
「知識というのは、単なる情報の寄せ集めではなく、体系化されたもののこと」だそうな。
情報というのは無限に存在する。例えば、物の値段。一つ百円かもしれないし、二gで九千ドル、富士山の山頂では木の葉三枚で買えるかもしれないし、あるいは引き取ることで逆に三万円もらえるかもしれない。
値段を暗記するのは、場合によっては有益かもしれないが、世の中に存在する、物の値段全てを暗記するのは明らかに不合理で、不可能なことだ。
しかし、「どのようにして物の値段は決まるのか」という法則がわかれば、すべての物の値段を一々暗記することなく、その物がいくらぐらいするのか、ということが推測できるようになる。
上の定義で言うとつまり、世界(宇宙でもいい)の一面を、特定の原理や法則を用いて記述したものが、知識なんだろう。

こういう考え方は、還元主義だといって批判される向きもあるが(その批判にも一定の説得力があることはあるが)、だいたいは正しいと、個人的には思う。
というか、そもそも、今ある知識というのは、だいたいでしか正しくないものだとも思う。
「ミクロ経済学」に書いてあったが、「経済学者たちは、一見それぞれの意見が全く異なるように見えたとしても、経済学における基本的な法則や原理ではほぼ合意している。ただし、その大枠での知識を、どう現実に当てはめるか、また自身がどういう立場を取るか、というような部分で意見が合わなくなる」そうな。
時々、ノーベル経済学賞を受賞したような頭のいいアホが、投資会社やらなんやらを立ち上げては潰し、我々愚民の嘲笑を買っている。
経済学の知識が示すのはあくまで経済学からみた世界の一面であって、たとえば生物学による一面からみれば、また違った結果が出るのかもしれない。
世界の全てを同時に記述できるような知識というのは、今のところ存在しない。アカシックレコードとかいう夢あふれるペテンは別にして。
それでも、無限に存在する情報を、人間の手に負える形に変形して、それに従うとだいたい正しい結果が出る、というのは面白いもんだと思うし、そもそも知識を究めようとする人たちの目標は、世界全体をできる限り単純な形であらわす事であるはず。
だから「にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語」であったように、
ときには、細分化された知識が統合されて、より大きな知識体系になることもある。そういうことを知ると、ますます世の中が面白くなってくる。

僕の立場はやじうまのようなものであって、世界中の頭の良い人たちが頑張って研究した成果を、酒飲みながら「すげーすげー」といいかげんに読み飛ばしているだけなのだが。
百年前なら、こんな道楽は、ごく限られた金持ちにしか許されなかったはずだ。今の知識は百年前よりはるかに深化しているし、ど素人にでもわかりやすく面白い入門書も出版され、なによりAmazonがある。
そうを考えると、現代というのは良い時代だと思う。

買物しようと町まで、出かけたら2

2013-11-28 19:14:02 | 日記
厄介事はまだまだ終わらない。

車が故障して日産サティオ島根邑智支店に連絡した際、故障した車は、農協の共済に入っていたために、修理費用がいくらか降りるかもしれない、という話があった。
月曜日に、その件で農協から電話がかかってきたのだが、おかしなことを言ってきた。
「JAFにかかった費用なのですが、農協の共済では面倒を見られません」
そもそも、JAFの費用が共済で降りることは知らなかったので(前回JAF読んだときにはそんな話聞かなかったし)、これはあてにしてなかったことなのだが。
しかし、共済で面倒を見られない理由、というのが納得できない。
「JAFを呼ぶ際に、農協の共済を通してではなく、お客様が直接JAFを呼んでしまったので、こちらでは面倒を見られない」とか。
頭おかしいんじゃないか? 車故障したら、ふつう、まずJAFに電話するだろ? JAFのCMにも電話番号が書かれているのだし。
故障の状況とか、故障内容が原因で補償が降りない、とかならまだ理解はできるが、「どちらに先に電話をかけたか」で補償が降りなくなるとか、不条理極まりない。
おそらく、先に農協に話を通していた場合、農協が牽引先やらなんやかんやを指示し、全体を監督できたはずだから、というのがその理由なんだろうが。しかし、こっちでJAFを呼んだ際にも、領収書や記録などは残っているはずだし、後追いでこっちの状況を確認できるはずだ。もしも個人的にJAFを呼んだ結果、農協がからんだ場合に比べて割高になっていたとしても、農協が絡んだ場合に想定される保障額くらいは出して、足が出た分だけこっちが払う、という形にするのが筋だろう。全く出ない、というのはふざけている。

そして、故障した車の修理見積もりだが、
「エンジンにつながるパイプが壊れているので、これを修理しないことにはエンジンの様子が調べられない。だから、見積もりを出すためには修理費用5万円が必要」とのこと。
普通に考えて、オーバーヒートした段階でエンジンがいかれてしまってる可能性は高いし、そもそも以前から調子が悪かった二十年物のボロ車だ。修理するより買い換えてしまったほうが、たぶん良いだろう。

新しく車を買い換えることに、腹の中では決めた。
しかし、日産サティオ島根邑智支店は、人を舐めきった会社だ。
去年、車を買う際には
「車のことはよくわからないのでそちらに任せますが、ボロでもいいので十万ちょっとの値段で、三年くらいはなんとか走ってくれる車」という希望を出した。
その結果「この値段では滅多にないような状態の良い」
と言ってよこしてきたのが、二十六万の軽トラで、一年未満で八万くらい修理費がかかった上、ローンを払い終わった瞬間にブッ壊れてくれるような素敵な車だ。
買って半年で調子が悪くなり、明らかに購入前から問題があったはずなのに、車を修理に持っていくと、
「原因はわかりませんでしたが、とりあえず部品を変えときました」といいながら、容赦なく料金はとりやがる。なめとんのか。
ろくにアフターケアもやらず、故障の際の対応もクソ。
故障が起こって、電話をかけた際に、「あとで農協共済の補償云々」と行っていたので、日産サティオ島根邑智支店の方から農協に話を通してくれてたのかと思ったのだが、そんなことはやってなかったらしく、ここでちゃんとやってくれてれば、おそらく農協が妙なことを言い出したりしなかっただろうに。
もうこんな会社とは二度と関わりたくはないが、こうまでされて黙っているのも腹が立つので、文句を言いに行くことにした。
「クソみたいな車を売りつけやがって、金返せ」と言いたいところだが、それは現実的に不可能だろう。
とりあえず、農協の共済が言ってきた不条理な話を、日産サティオ島根邑智支店の方から何とかしてもらう。あとは、ゴネて車の廃車費用は出させられんもんかな。もう二度とこの会社で車を買いたくはないが、ゴネまくれば、前回糞みたいな車を売りつけやがった代わりに、まともな車を安く売ってくれんかな、みたいな計算をして、今週の火曜日に休みを貰って、クソ寒いなか原付で三十分かけて日産サティオ島根邑智支店を訪れた。
その時知ったのだが、日産サティオ島根邑智支店の定休日は、毎週火曜日だった。

明日、休みを貰った。やり場のない怒りを抱えて、この二日間。
「役場の、新規就農者向けに、農業機械を買う際半額補助が出る制度を利用して、軽トラを買えんかな」という名案を、
「用途が広すぎるから、軽トラだけは補助制度の対象外」などという、役場の心あたたまる仕打ちに潰されつつ、我慢した。

車が故障してからは、同じ酒蔵の蔵人さんに同乗させてもらって仕事に行っていたのだが、明日、日産サティオ島根邑智支店に文句を言いに行かなきゃならんので、酒蔵に置いてあった原付を、家までもって帰ってこなければ行けなくなった。
しかし、本当に勘弁してもらいたかったのだが、本日、今年初めての本格的な積雪。ちなみに、平年よりも半月以上早い積雪だそうだ。

現在の住居から、酒蔵までは、およそ十三キロほどの道のりだが、今年の夏にやってきた「五十年に一度の大水害」のおかげで、lこの最短ルートが潰されている。迂回路を通るとおよそ十八キロくらいで、遠回りなのだが、距離以上に問題なのが、この迂回路は山越えになってしまうこと。
平地(といっても海抜150mは超えるが)でも路面は積雪しており、原付では十五キロくらいしかスピード出せんのに、山越えとなると走れない。タイヤがスリップして斜面を登らないんじゃないか。
雪はどんどん降ってきて、風除けのメガネは十秒で雪まみれになって前が見えなくなるし、山越えルートはますます自殺行為。
しかたなく、工事中の道を、ユンボやら土嚢やらのあいだを縫うようにして通過。しかし、通行止めになっている道であるので、除雪が全くされておらず、雪が積もっているので、工事中の路面の状態もわからず、暗いしメガネに雪積もって前見えないし、殺す気か? 一人で天を呪いながら、今、なんとか家に帰ってきた所。

まあ、実際のところ、自分がしっかりしていれば、こんな苦労しなくても済んだのだろうが。
田舎で車が無いと、本当に大変だ、というお話。

買物しようと町まで、出かけたら

2013-11-24 15:13:46 | 日記
えらい目にあった。

昨日の午後と今日一日は休日だったので、広島菜の収穫をするつもりだった。
広島菜は加工原料であって、加工の都合上、刈り取りから半日くらい放置して、葉っぱをしんなりさせてから収穫しなければならない。
で、昨日の午後に広島菜の刈り取りを行い、玉ねぎの植え付けをやったあと、時間があったので、浜田の町に買い物に行こうか、と思った。
浜田には、燗上がりのする日本酒をメインに据えた、渋い酒屋があって、そこへ酒を買いに行くついでに、温泉でも入ってこよう。で、帰ってきてからは思う存分酒を飲んで、朝九時くらいからのんびり仕事をしよう、という完璧な休日プランを頭の中で作り上げたのだ。

しかし、もう少しで浜田につく、というところで、車が動かなくなった。どうしても動き出しそうになかったので、JAFを呼ぶ。
しかし、JAFの更新手続きをするのを忘れていたため、ちょっと話がややこしくなりかけるが、現場で継続手続きを行うことで、なんとかなった。
JAFに車を見てもらうと、「エンジンがオーバーヒートしててもうダメだろう」とのこと。去年買ったオンボロ中古車だが、一年ローンで、ちょうど今月ローンの支払いを終えたところ。もう二度と日産サティオ島根邑智支店では車を買わねえ、と固く心に誓ったが、それはそれとして、とりあえず車を牽引して、浜田市内の修理工場まで送ってもらうことになる。

修理工場まで来たは良いが、急なことで、代車が用意できない、と言われる。
となると、バスか電車で帰るほかないが、電車は先日の台風で不通になってるし(まあ、不通になってなくてもどうせ無理だったのだが)、バスも時間的に、邑南町の高速インターまで行くものはあるが、町内を走る町営バスと接続ができない。ということで、この日のうちに家に帰ることができなくなった。
さすがにこの時期野宿は辛いので、浜田市内のホテルで一泊することに決めたが、手持ちの金だとホテル代と帰りのバス代ギリギリで、JAFの継続手続きに必要な四千円を払うと、あとが怖い。
JAFになんとか支払い猶予はできないだろうか、と聞いてみると、一応そのような制度もあるらしく、誓約書を書いて後払いすることで話がついた。

で、今度はビジネスホテルを探し始めるのだが、土曜の夜ということもあって、どこも満員。二軒に断られたあと、とても怪しげなビジネスホテルを発見。なんというか、昭和四十年ぐらいに主流だったんだろうなーという建物で、妙に薄暗く、幽霊でも出そうな雰囲気。受付にも人がおらず、五回くらい「すいませーん」と叫んでたら、支配人らしい、とても貧相でオカマっぽい人が現れた。
これまで二軒に断られてきたので、諦め半分で部屋が空いてるかどうかを聞くと、支配人は少し驚いた様子で「ええ、もちろん」と答えた。この答えを聞いて、「このホテルが最後に満室になったのは何年くらい前の事なんだろう」と思ったりもしたが、それでもまあ、野宿よりはマシだ。実際、冷暖房完備だし、部屋の中は片付いているし、家よりは快適だった。一泊4500円もかかったけど。

朝ホテルを出て、高速バスに乗り込み、邑南町に向かっている最中に気がついたのだが、JAFと交わした、継続手続き料金後払いの誓約書を、ホテルの机に置き忘れてきてしまった。部屋が片付けられて、誓約書を捨てられては困るので、電話を入れなきゃいけないと思ったが、ホテルの電話番号がわからない。どうしようか、と本気で焦ったが、電話番号案内を使って、なんとか電話ができた。

高速バスで邑南町についてからは、町営バスで帰ろうと考えていたのだが、町営バスは基本的に通学支援などが目的であるので、日曜祝日は便数が大幅に減ることは知らなかった。
目的地まで行くバスは今日、二本しかなくて、しかも朝六時半と夕方の五時半だ。朝六時半のは接続できないし、昨日刈った広島菜を収穫してしまわないといけないので、五時半まで待ってはいられない。
ヒッチハイクするべきか、それほど親しくない知人に助けを求めるかで迷ったが、確実性を求めて、結局知人の世話になる。

広島菜の畑まではたどり着いたが、今度はこいつを収穫して農協まで運ばなければならない。
指導農家さんにトラックを貸してもらうために電話をかけると、指導農家さんは現在東京に旅行中とのこと。
さらに、指導農家さんのトラックは今、ほかの人に貸しているとのことで、そのトラック貸してる人のところに行って、又貸ししてもらう。

広島菜の収穫を終え、原付で家に帰った時に気がついたのだが、家の鍵を車の中に忘れてきてしまった。
しかし、こんなこともあろうかと(実は、よくやるのだ)、裏口の鍵はいつも開けっ放しなので、問題は無し。

なんというか、「だれかが僕のことを試そうとしているんじゃないか? 」と思うくらいドツボにハマったような一日だった。
予期せぬ派手なトラブルが次々と現れて、それをスマートに解決するのなら映画にでもなるだろうが、次から次に現れる問題のことごとくがすごく地味な上に、その問題を起こしているのが自分自身というマヌケさ。
一本道な内容の単調さをごまかすために、細かいお使いクエストを入れまくってボリュームを嵩上げしている、ダメなRPGみたいな。

車がないと、田舎では本当に不便、というお話。

おもしろい

2013-11-22 20:29:28 | 日記
サム・キーン「にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語」
いや、この本、ほんとにすごいわ。
解説書ではないから、DNAの複製やら挙動なんかについては、読者がすでに知っているものとして、軽く説明する程度。高校時代にちょろっと習った知識は既に僕の頭の中から飛んでいってしまってるので、理解するのが難しかったりするんだが、それでもすごくおもしろい。
化学やら生物学やら物理学やら言語学やら数学やら、そもそも人間が宇宙を理解するためにひねり出したものながら、しだいに分化特化専門化でバラバラの方向に向かって行くことで生まれてた学科間の壁が、DNA/遺伝子を理解するという目的のために、どんどん統合されてひとつの物語になっていくダイナミズムがたまらん。
まだ触りしか読んどらんが、今年読んだ本の中でもベストになりそうな予感がする。

怒られる

2013-11-19 17:37:38 | 日記
言われたことは、一度で理解しないといけないルールなんだが、そのルールを守るために、理解できてなくてもとりあえず
「はい、分かりました」と言う癖が早くもつき始めている。そのことで怒られた。
今日怒られた事の解決方法は二つあって、言われたことを一度で本当に理解するか、あるいはわからなかったら聞き返すか。ただし、後者はルール違反。
なので、前者が正解であるのは間違いないのだろうが、そうは言っても、やろうと思ったからって簡単にできることでもないし。
まあ、怒られることはある程度仕方ないとして、集中してやるしかないわな。