百姓日誌

島根県のとある場所で、農業研修を受けてます。教わったことや、思いついたことを、復讐がてらに書き連ねていきます。

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スプーン

2013-12-19 19:49:30 | 日記
サムキーン「スプーンと元素周期表」
抜群に面白かった「にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語」の前作だというので購入。
期待を裏切らず、これも面白い。
とにかく感心するのが、それぞれのエピソードを、よくもここまで調べたなあ、という点。
本文自体も、おもしろいこぼれ話が中心なのだが、注釈では、こぼれすぎて本文に載せられなかったような本当のこぼれ話、みたいなのが満載で、いちいちおもしろい。
特に、「元素が体に与える影響を調べるために、あらゆる元素を飲んだ科学者」の話を聞いた作者が、裏を取るために元になった論文を探そうと図書館で九時間頑張ったあと、自分が担がれていることに気がついた、というくだりは思わず笑った。
元素は、かなり昔から研究が進んでおり、構造などに関しては、よく知られている。だから、どちらかというと科学史上のこぼれ話がメイン。
読む章読む章が衝撃だらけだった「にわかには信じられない~」よりは、破壊力は薄く感じた(ボース=アインシュタイン凝縮の話には本当にびっくりしたが)とはいえ、「にわかには信じられない~」は個人的にはここ数年に読んだ本の中でもトップクラスなので、しゃーない。
どうでもいいが、サムキーンという同姓同名の作家が別にいるらしく、勘違いして、二冊違う人の本を買っちまった。
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ジャスコ

2013-12-17 18:58:50 | 日記
壊れてしまった携帯電話を買い換えるため、最寄りのジャスコ(片道六十キロ)に行った。
帰り際に日本酒コーナーを覗いてみると、これがなかなか面白い事になっていた。
売り場面積自体はまあそこそこ、といったくらいだが、そこらへんのリカーショップに比べても、引けを取らないようなラインナップ。
ジャスコから最も近い酒蔵の酒はほぼ全種類、二番目に近い酒蔵の酒も主要銘柄はだいたい抑えていて、われらが池月も主力商品だけだが、8アイテム売られていた。島根県の酒として、李白なども数アイテム売られており、そこそこ近い広島西条の酒も一応抑えている。
さらに、島根県とは関係のない地方の地酒も数多い。↓は勉強のために『仕方なく』買ったものだが

左から、黄桜大吟醸(京都) 一ノ蔵無鑑査超辛口(宮城) 酔鯨純米(高知) 浦霞本醸造(宮城) 北秋田大吟醸(秋田) 菊正宗生もと大吟醸(兵庫) 菊姫山廃純米(石川) 玉乃光純米吟醸(京都) 後ろにあるのは、剣菱上撰(兵庫)

ある程度酒が好きな人なら、一度は聞いたことがあるだろう銘柄が並んでいる。もちろん、全国各地で売られていて、全国各地でプレミアが付いている久保田、越の寒梅、八海山は、当然のようにここでもプレミア販売されていた。(いや、これらもおいしい酒だとは思いますけれど)
パック酒を別にしても、百アイテムくらいはあったのではないだろうか。
大体の場合、マニアというのは、簡単に手に入る物を軽蔑する傾向があるとは言え、
「全部飽きるほど飲んだよ」とかいうアル中や、「俺は○○以外は酒と認めない」というめんどくさい酒好きを別にすれば、普段飲み用の選択肢としては、これだけあれば十分すぎるほど。
日本酒に力を入れているようなこだわりの酒屋とは違って、酒の保存状態に気を使っているようには見えなかったが、商品の回転の速さが全然違うので、そこをそんなに気にする必要がない、というのもメリットだろう。
日本酒を飲む人の中でも、一番大きい客層を狙っている、という意図がはっきり見えて、「こら、そんじょそこらの、そこそこ日本酒に力入れてます、みたいな酒屋さんは大変やな」と思った。

ジャスコみたいな全国チェーン店については色々言われてるが、自分にはこの問題の是非がいまいちよくわからない。
個人的にはジャスコは大嫌いで、岡田一族は肥溜めに落ちて死ねばいいのに、とも思っているが、ジャスコだけが問題の原因だというはずはない。(問題の一つ、というのは間違いないけど)
「全国チェーン反対、地産地消でエコライフ」とほざいて、現実を否定したほうが気は楽だが、現状がなぜ理想どおりになっていないかを理解せず、無理やりジャスコを潰せば、生産者は良くても全体としてはおそらくマイナス面の方が大きい。
僕は生産者側なので、生産者がよけりゃそれでいい、と思うのだが、無理なことをすれば結局は自分に返ってくるものらしい。金は天下の回りものとはよく言ったもんで。
だからなぜこうなっているのか、そもそもの所を理解するために、今いろいろと勉強しているところ。

ぼんやりとした感想だが、住み分けというのはたぶん簡単ではない。需要の大半を満たす大企業と、ニッチ向けの小企業、という住み分けはあり得るだろうが、一番多い客層をジャスコなんかに奪われているのだから、小企業同士が少ない需要をめぐって喰い合わなきゃならなくなる。
どうにかして、大企業の弱いところを見つけて食いつかなければ、あんまり楽しいことにはならないのではないか。あるいは、大企業と個人的に仲良くやってく道を探すか。

あと、消費者の口に入るところがゴールなわけだから、農家として安定的に食っていくためには、流通を知ることは、間違いなく重要になってくるのではないか。
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神亀 仙亀 ひこ孫

2013-12-14 20:53:29 | 日記
神亀。何かの本で名前を知って、酒屋で見かけた時になんとなく買ってみたら、すごくおいしい。ええ酒やなー、と思って、新亀のファンになった。
Amazonで酒関連の本を探してたら、「純米ひこ孫物語」という、神亀酒造の本を見つけた。この本がまた面白くて、この本の中で紹介されている酒を、飲んでみたくなった。
以前、神亀を購入した酒屋は、新亀の酒を多く取り扱っているので、欲しかったものが手に入った。万歳。

仙亀は、山田錦を精米歩合80%(普通なら70%以下)という、低精米歩合で作った酒。どういう味がするのか、想像が全くつかなかった。
飲んでみると、なんというか、面白い味。少し、粕取り焼酎のような風味がある。アルコール度数が14%と少し低めなので、加水率が高いはずなのに、味が濃く、よくふくらむ。にもかかわらず、後味がさっと切れて、おもしろい。
昔ながらの粕取り焼酎は、数少ない僕の苦手な酒の一つなのだが、仙亀の香りはむしろ心地よい。日本酒とは別ジャンルの酒じゃないか、とさえ思ったが、よく考えると、日本酒の定義の中にきっちり収まっていて、これは間違いなく日本酒としてうまい。何度でも飲みたくなるが、この酒ばっかりに慣れるのは、もう少し酒の勉強をしてからでないと、と自重。

ひこ孫
立ち香の表現方法が思いつかない。よく、フルーティー、リンゴ、パイナップルなどに例えられる酒もあるが、むしろこれは醤油とか味噌を連想してしまうような、うまみの存在を思わせる、日本酒の香り。
口に含むと、立ち香で感じた香りを凝縮したような、特有の感じがある。
味は竹鶴に似ているが、それよりも随分優しい感じ。うま味、酸味はあるが、突出した感じはなく、穏やかに調和が取れている、という感じ。ラベルには辛口と書いてあるが、飲んだあと舌には、ほんのりとした甘味が残る。意図してつけられたした甘味じゃなく、自然の甘味、という感じがする。いや、本当は意図しているのかどうかわからないけど、そんな気がする。
間違いなく燗すればうまそうな酒で、やってみたら本当にうまい。味は、一般的な清酒に比べて強いはずなんだけど、なぜか「さわりなきこと水のごとし」、という表現が頭に浮かぶ。さわりの原因になるのは、味の濃淡ではなく、甘酸うま味等のバランスの整い具合なんだろうか?
「ブルーチーズにも合う、負けない酒」と本に書いてあったので、わざわざプルーチーズを買ってきた。ブルーチーズは好きだけど、日本酒にはなあ……と思っていたが、ブルーチーズ特有のカビ臭さとか、たまにあるピリッとした感じがうまい。口の中でブルーチーズと酒の余韻がいつまでも共存している。おもしろい。

神亀の酒は、昔の日本酒、という感じがする。
神亀の味はどういうものか、というと、実はそのへんに売っている普通酒の味が根っこにあるんじゃないか、
日本酒飲めない人が安酒を飲んでよく言う「日本酒は変な匂いがして、後味が妙に甘くて気持ち悪い」というような、日本酒の苦手なところとして挙げられるポイントを、全て含んでいる。
吟醸酒が、その苦手として挙げられるポイントを排除しようとした結果だとすると、神亀の酒は、そのポイントを純化して磨き上げているような気がする。
日本酒が苦手な人には勧めにくいのは間違いないが、こういう個性のある酒、てかっこいいと思う。大好きだ。
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近道

2013-12-12 18:15:51 | 日記
「なるほど!吟醸酒づくり」大内弘造。

日本酒醸造に関する教本に書かれているのはふつう、「こうすれば失敗しませんよ」という内容。これは、間違いなく大切なことで、日本中のどの酒蔵でも、この原則は守っていないところはないと思う。
ただ、これは失敗しないための注意点であって、実際に酒を作る際のマニュアルにはならない。
酒の味には正解が無い。地域によって嗜好も異なるし、蔵の伝統とか、杜氏の所属とか、杜氏さんの個性によっても微妙に味は変わる。
蔵の環境(温度、水、規模)や、経営方針などからも、どういう酒を目指すかや酒造りの際の工程が限られてくる。
だから、「こういう酒を作りたければ、こういう風にすればいい」というような、綿密なレシピは(少なくとも一般化したものは)作れないんだろう。

原理や理屈を暗記するのは簡単だけど、それを実行するのには、何倍もの労力がいる。
どういう酒が求められているか、自分に与えられた環境の中でどういう酒を作る事ができるのか、こういうふうな酒を作るにはどうやって作業を進めればいいか、この作業工程ではどんな点に注意しなければならないのか、それを行う際の道具はどこにあって、どう扱えばいいのか等、全てを覚えて、初めてまともにやっていけるのだろう。
もしかしたら、こういう全てを、頭だけで覚えちゃえる天才も、世の中にはいるんかもしれないが、まあ、僕には無理だ。
マニュアル化できない仕事の場合、下積みとか、修行と呼ばれるような、時間をかけて同じことを繰り返し行う期間はどうしても必要なわけで、それは理にかなった制度でもあると思う。

ただし、どうしたって下積み期間が必要だといっても、できるなら、早く覚えるに越したことはない。
修行先のやり方を身につけるだけじゃなくて、他の蔵のレシピとその酒の特徴みたいな具体例があれば、勉強の役にはたつんやけどなー、と思っていたのだが、流石にそういうものは出てこない。
近道は見つからんか、と諦めかけていた時に出会ったのが、この本。
これは、ある意味で、唯一可能な一般化された酒のレシピ、と言っていいと思う。
この本の目的は明確で、「鑑評会で金賞を取れる吟醸酒のつくり方」というもの。
鑑評会とは、年に一回行われる、全国規模の酒の品評会のこと。この品評会で金賞を取るのが多くの杜氏の目標である。
品評会で評価されるのは「香りがよく、味の綺麗な吟醸酒」というもので、この画一化された評価基準についてはいろいろ批判もあるのだけど、画一化されているということは、ひっくり返せば一般化しやすい、という事。
こうすれば、こういう酒ができる、ということがカチっと書かれているこの本は、足元の不確かな僕にとっては、とてもありがたい。

吟醸酒作りは酒造りの中でも少し特殊なので、この知識がすべての酒を作る際にも参考になるかどうかは怪しいが、面白かった。
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竹鶴本醸造

2013-12-10 18:43:56 | 日記
竹鶴本醸造
先に言っとくけど、うまい。
色は濃い。香りは穏やかで、口に含むと、嫌味のない独特のひねたような重厚な風味。淡麗とは真逆を行く男らしい日本酒、という感じ。
旨みが強く、酸味がちょっと強めだが旨みとのバランスがいい、甘味はそんなに感じないが、角がなくてスっと飲める。
舌に残るうま味が後味で、かなり味の濃い肴にも負けなさそう。
燗すると香りと味が立って、ますます美味しい。ぬる燗よりも熱めの方が合いそう。
どうやって作ってんだろうか。
竹鶴の杜氏さんが修行したという神亀では、製造から一二年寝かしてるらしいが、これもそうなんだろうか?
近場にあるので、来年暇が出来たら酒蔵に行ってみようか。
個人的には、こう言うタイプの日本酒が大好きだ。
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