札幌映画サークルがたどって来た道

The Historical Journal of Sapporocinema Circle

『ジョニーは戦場へ行った』の上映会を開催します。 【終了しました】

2010-07-03 09:08:15 | 札幌映画サークル イベント告知
              

札幌映画サークルでは、毎年8月に開催している“反戦映画”の上映会を今年も開催することになりました。

2010年は、戦場で両手、両足、耳、眼、口を失い、第1次世界大戦が終わってから15年近くも生き続けたイギリス人将校が実在したという事実をヒントに、ダルトン・トランボが1939年に発表した小説「ジョニーは銃をとった」を、D・トランボ自らが脚本・監督した反戦映画『ジョニーは戦場へ行った/Johnny Got His Gun』(1971年制作・1973年日本公開/1971年カンヌ国際映画祭審査員特別賞、1972年度芸術祭大賞)を上映します。


『 ジ ョ ニ ー は 戦 場 へ 行 っ た 』

もしも人間が一挙に五つの感性を失ったのちも、生き続けていくとしたら、その世界はどのようなものなのだろう。

第一次世界大戦が終わってから、15年近くそうした状況の下に、生き続けたイギリス人将校が実在したという事実をヒントに、ダルトン・トランボは、1939年に小説「ジョニーは銃をとった」を書きました。
この作品は、レマルクの「西部戦線異状なし」、ヘミングウェイの「武器よさらば」と並ぶ反戦小説の傑作として大きな反響を呼びました。
それから30数年後、D・トランボ自身が監督して完成させたのがこの作品『ジョニーは戦場へ行った』です。


『 ジ ョ ニ ー は 戦 場 へ 行 っ た / Johnny Got His Gun 』

1971年 / アメリカ映画 / ダルトン・トランボ監督作品 / 111分 / パートカラー / ビスタサイズ

製作・・・ブルース・キャンベル / 原作・脚本・監督・・・ダルトン・トランボ / 撮影・・・ジュールス・ブレンナー / 編集・・・ミリー・ムーア

出演・・・ティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ドナルド・サザーランド、ジェイソン・ロバーズ、マーシャ・ハント、ダイアン・ヴァーシ、エドワード・フランツ、他

* 1971年第24回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞
* 1971年国際映画評論家連盟賞受賞
* 1971年国際エヴァンジェリ映画委員会賞受賞
* 1972年度芸術祭大賞受賞
* 1973年第47回キネマ旬報ベスト10外国映画部門第2位(読者選出ベスト10外国映画第1位/読者選出外国映画監督賞)
* 1973年外国映画興行収入ベスト10第8位

【この作品は、1973年4月7日に日本で公開されました】


“美しく、瑞々しい人間の素晴らしさ!”

あれほど青春の輝きに満ち、恋人と愛情を確かめ合った肉体は、戦場で引き裂かれてしまった。

両手、両足、耳も眼も失った。
名前も失った。
それでも青年の意識は、心は、生き続けている。

肌に感じる陽のぬくもり。
文字のなつかしさ。
意志や心情を伝えるなにげない接触が重要な意味を持つことの発見。
そうしたすべてが青年の心を動かす。

これは、まるっきり“物体化”した人間が、人間そのものに復活していくさまを見つめた驚異的な感動作である。

現実と過去の思い出と幻想とを交錯させ、人間の意識の底にまで食い込んでいくこの映像美。

その中で青春の輝きを対峙される青春の現実の痛ましさは、人間が人間として生きることを奪い去る戦争を痛烈に告発し、反戦の訴えとなって、しみじみと私たちに迫ってくる。


“赤狩りと戦い抜いたダルトン・トランボ”

人間の意志の強さが、テーマに寄り添って、より強烈な印象を与えていくこの作品は、ダルトン・トランボが、65歳の処女作です。
そこに込められた反戦の精神は、人々の心に留まり続けるだろう。今も、そしてこれからも、永く続いていく。

アカデミー賞を受賞した『黒い牡牛』、『ローマの休日』など、変名によるシナリオを含め、『栄光への脱出』、『スパルタカス』、『フィクサー』に至るまで“赤狩り”に耐え抜きながら、多くの傑作シナリオを書き続けたこのシナリオ・ライターは、自作小説の映画化で初めて監督になりました。