70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

料理の腕

2017-10-31 08:00:00 | 愛すべき子どもたち

さんあいでは新任職員に「毎月の振り返り」という入職後のフォローアップと育成を実施している。 先日は6ヶ月の振り返りとして少しスパンを広くとっての自己評価とアドバイスの時を持ったが、自己評価の成長したことで殆どの新任職員が挙げていたのが、料理の腕が上がったということだった。

家庭的養護を目指すさんあいでは、保育士がユニットのキッチンで子どもの食事を作るが、新任の中には料理の経験の少ない者もいる。最初は不安でレシピを見ながら必死で作っていたが、今ではずいぶん慣れてきて、「自分でもこんな料理が作れるようになった!」と成長を実感しているようだ。

「エコの日」や「子どもの誕生会」などで独自のメニューで食事を作る時は、職員の料理の腕の見せ所である。それぞれユニットにあるもので工夫して、美味しく楽しい食事作りをしてくれている。美味して楽しい食卓を提供すことは、子育ての中心と言ってもいいかもしれない。 職員の成長にありがとう!

シチューとパン。 あるの食材で栄養のバランスをよく考えています。

 

 

こちらはガッツリ系のスパゲッティ―&うどん。お野菜が少ないが、たまには、子どもたちの好きな物を中心で行こう!

 

こちらは、和洋折衷で楽しげな食事です。栄養のバランスもいいね。

 

こちらも子どもが大好きなグラタンだ。具だくさんの味噌汁も良いね。 

 

こちらも子どもの大好きなチャーハンとスパゲッティだ。 食べ物の十分でない子を想い、あまり物を出さないように始めた「エコの日」だが、今ではすっかり職員と子どもたちに定着している。

 

 


雨の日はしょうがない

2017-10-29 19:22:48 | 愛すべき子どもたち

台風22号の影響で、本日は朝から雨だった。でも朝早く出かけた子の中には、まだ降ったりやんだりの状態だったので傘を持って自転車で出かけていった子もいる。高3女児のMちゃんもその一人だった。でも丁度帰園する頃が土砂降りの大雨になってしまい助けを求めて電話をしてきた。

慌てて職員がMちゃんを迎えに行ったその帰り道、高1男児のHくんがカッパを着て降り注ぐ大粒の雨の中を必死に自転車のペダルをこいでいるのを目撃。「申し訳ねぇ」と車中のMちゃんポツリ。

雨や雪がふるとさんあいの高校生は大変だ。最寄り駅まで片道4キロを基本カッパを着て自転車で通学しなければならない。まぁー、雨の日はしょうがないとあきらめるしかない。でもそれが彼らを強くするのも確かだ、前向きに考えよう。 必死でペダルを漕ぐHくん頑張れ!

雨の日はしょうがないが、晴れる日は必ずくる。雨の後の太陽の恵みは格別だ。

 


台風の後

2017-10-26 17:38:22 | 愛すべき子どもたち

今日は、お天気で気温も上がり洗濯物を干すのには最高の日でした。職員は台風の後の片づけをしながら久しぶりの日差しを満喫いたしました。

 

久しぶりに布団を干せました。子どもたちは、今日の夜はフカフカの布団で眠ります。

 

冠水して荒れたユニットの庭を綺麗にするのも大切な仕事。 常に気持ちの良い環境を子どもたちに整えることで、子どもたちの心は安定する。

 

収穫を待つばかりに立派に育ったさんあいの大根と株。 日曜日にはさつま芋と一緒に収穫します。

庭のプランターで育てているHくんの大根もだいぶ大きくなりました。

 

子どもたちはハロウィンを楽しみにしています。

 


職員確保

2017-10-25 07:00:00 | 愛すべき子どもたち

保育園や児童養護施設の現場の最大の課題は、職員確保と言っても過言ではない。 日本の産業全体が人手不足の中で、保育士養成校を卒業した若者ですら魅力的な給与や就業条件に引かれて一般企業に就職する時代になった。 福祉業界は、昔と比べるとかなり向上したとは言え就業条件では一般企業に勝ち目はないのが現状だ。 人生お金や余暇は大切なことだが、それよりもまして自分の好きな職場で働けることや、具体的に自分が誰かの役に立っていると思えることの方がもっと大切だと思う。

「人は、誰かの貢献しているときに真の人生の意味や喜びを感じる。」と心理学者のアドラーは言っている。いわば人の「生き甲斐」とは、お金や自分本位の遊びでは満たされないということだ。その意味で児童養護を含む福祉の仕事は、人生を掛けてもいい仕事と胸を張ってお薦めできる。

「食べていけない」、「休みが取れない」、「プライベートがない」それは、一昔前の児童福祉の現場だ。今は政府の補助もあり、そこそこの就業条件を整えている。 仕事は大変だが、感動ややりがいも多い職場だ。そこをもっとアピールしないと、一般企業への人材流失は止らないだろう。 

 

昨年のハロゥインのカボチャ作りの様子。 児童福祉は大変な仕事だが、子どもたちと楽しことを共有できることが沢山ある。


浸水

2017-10-23 14:46:04 | 愛すべき子どもたち

台風21号がさんあいのある深谷市を直撃した。子どもたちの憩いの場である中庭は長雨で排水できる状況を超え一晩で湖状態になってしまった。そしてその水は子どもたちの生活棟のユニットの玄関2-3センチ下まで押し寄せてきた。宿直職員はハラハラしたが、幸い水はそれ以上には上がらずに止まってくれた。が、ホッとしたのも束の間だった。中庭に溜まった水は強風に煽られ事務所棟へ流れ込んでメイン玄関、交流ホール、事務所、トイレなどを浸水させた。

出勤する職員は、田んぼ脇の道路がいたるところ冠水状態で迂回通行を余儀なくされたが何とか到着し、早速水をかき出し掃除に当たってくれた。被害はあったが、幸い最小限で抑えることができ感謝だ。子どもたちの生活に影響が無かったのが何よりだ。 今後、同じような台風による長雨や集中豪雨があるかも知れない。防災と言う視点で改善しなければならない点は話し合って早急に進めて行きたいと思う。

 

湖状態になった中庭。 これでも水は少し引いた状態だ。

 

浸水したメイン玄関の状態。水位は0~1センチ程度か。

 

浸水した事務所内。 幸いコンセントの高さまで水は来ず、漏電することはなかった。 PCも無事だった。

 

 

お隣の畑も冠水状態だ。

 

午後3時、中庭の水は完全に引いた。あと1時間もすれば小学生たちが帰って来て、また賑やかな中庭に戻る。 被害はあったが、前向きに行こう!

 

 

 

 

 


お手伝い

2017-10-20 08:00:00 | 愛すべき子どもたち

さんあいでは子どものお手伝いをどうするかについて職員間で長い論争があった。 積極的にお手伝いをさせる派とその必要はない派の静かな論争だ。前者は、子どもが将来1人暮らしを始めても不自由することがないよう積極的に家事のお手伝いをさせると言う考えからきている。後者は、家庭的に恵まれない子どもたちは大切にされた経験が乏しく、施設で大切にされることで自分自身を大切にすることができるようになり、将来の精神的な自立に繋がるという考えからだ。 どちらの考えも間違いではなく子どもたちの自立には必要な要素だ。 

一泊の職員研修の際に、さんあいの子どもたちの生い立ちや特性の違いを共有する機会があった。ある子どもは、お手伝いをすることが大好きで、お手伝いをすることで職員とのコミュニケーションをとり大切にされているということを感じる。 一方ある子は、その特性から簡単なお手伝いはできるが、それ以上の負荷だとパニックになってしまう。 またある子は、甘やかすことでかえって無視されていると感じてしまう。 

そのような職員の現場の声を共有してみると、「その子の特性や状況に合わせてお手伝いしてもらう」という結論になり、長い論争は終結を見たのである。

 

食事のお手伝いは、施設の中で「家庭とはこんなもの」を子どもながらに学習する良い機会だ。

 

普段は動かない男の子たちは、畑のお手伝いは積極的にしてくれる。(ポップコーンの収穫)

 


怖がり

2017-10-18 08:00:00 | 愛すべき子どもたち

ハロウィンが近づいている。魔女や死神のメイクや衣装を着て無邪気に喜ぶ子どもたちだが、実は施設で暮らす子たちは概して怖がりだ。小学校低学年ぐらいなら怖がりも理解できるが、中学生・高校生になってもお、風呂で一人になる事を怖がったり、電気をつけたままでないと寝られないという子が多い。

どうもそれは、彼らの小さい時の育ちが影響しているのではと感じる。 乳幼児期に特定の養育者との愛着形成が不完全な子は、安全基地(養育者)を持たないまま成長する。すると、未知の物の接触に対して逃げこめる安全基地なしで対応しなければならず、それが大きな恐怖となって心を覆ってしまうのではないかと推察する。

兎に角、子どもたちを脅かすような事をしたり、子どもたちが怖いテレビ番組を見たりすることに配慮が必要なのだ。そして怖がる子どもがいたら、年齢に関係なく、放置せずに傍に寄り沿って、「大丈夫だよ、ここにいるよ。」と声を掛けることが必要だ。

 

 

暗闇でも光があれば大丈夫! 

 

 


18歳選挙権

2017-10-16 09:26:27 | 愛すべき子どもたち

法改正により昨年から選挙権が18歳に下げられた。児童養護施設で生活する高校生の中には、今回の総選挙で一票を投じる権利がある子どもたちがいる。さんあいにも対象となる子どもたちに投票所入場券が届いた。

さて、ここからである。施設の職員は自立援助の一環として、この大切な権利の重要性を教え投票を促す。正直に子どもたちの反応を記すと、「めんどくさいよ」、「だれに投票しらいいか、わかんないもん」というところだ。職員は、国民の権利であり将来の自分の生活に影響がでるかもしれないので、絶対に投票すべき」と諭す。それでも積極的になれない子どもたちに、職員は付き添って投票所まで行くことも検討している。

職員は特定の政党や候補者を応援するような言動を子どもたちにしてはならない。一方で誰でもいいよと言うこともできないので、「テレビとかネットでいろいろ出ているから調べてみなさい」とアドバイスはする。どれだけ理解して投票するか不安は残るが、とにかく投票は重要な権利であり、絶対に放棄してはならないことはしっかりと教えている。

 

2歳児から選挙権を有する高校生まで、児童養護施設職員の心配の種は尽きない。


マクロの視点

2017-10-13 16:56:43 | 愛すべき子どもたち

さんあいでは、状況が日本より困難なタイの児童養護施設を支援している。 そのことで、子どもたちに「受けるより与えることの幸い」を体験してほしいと願うからである。

一方、先進国の社会的養護の必要な子どもたちの状況に目を向けてみると、実は日本には、乳児院や児童養護施設や里親に養護してもらうべき子どもが、そのままの状態になっていることがわかる。

欧米先進国の社会的養護の必要な子どもの数は、1万人あたり50人から100人程度であるのに比べて、日本では僅か17人である。これは日本ではそのような子どもが少ないという訳ではなく、そこまで行政や福祉が対応しきれていないという現実を物語っている。 

また先進諸国の児童虐待通告数が全人口の約1%であるのに対し、日本は毎年増加しているとはいえ、まだ12万人強で全人口の0.1%だ。 これは日本では児童虐待が少ないという訳でなく、虐待の認識や認定条件が甘いということだろう。 日本では数字に表れない保護の必要な子どもたちが13.9%の貧困家庭の子どもとたちの中に放置されている状態と推察する。

里親や施設に預ける事を強調しているのではない。現状の生活の中で行政や地域の支援が受けられれば、それがベストだ。 ただマクロの視点で日本の子どもたちの状況を見てみると、苦しみの中で声を上げても聞かれない子どもたちが、さんあいのような児童養護施設の外に沢山いることが分かる。そして社会資源として児童養護施設は何をすべきか問われている。

 

さんあいの子どもたちが通う地域の小学校にも、社会的養護の必要な子どもたちがいるのかもしれない。

 

 

 

 

 


止り木

2017-10-11 08:00:00 | 愛すべき子どもたち

さんあいに併設されている緊急一時保護ユニット「オリーブ」で生活している子どもたちは、家庭のある地域から離れて一時的に保護されているので、さんあい近くの学校や保育園には行っていない。 だから元教師のボランティアさんたちの支援で園内に学習クラスを開いたりして勉強に遅れないような配慮をしている。 また、保護している子どもの状況により遠足に連れて行ったりもしている。 先日は、中庭で職員と共にバーベキューを楽しんだ。

短い期間であるが、なるべく一般家庭にあるような楽しい生活、時間や衛生面できはちっとした生活を体験できるよう配慮している。 聖書ではオリーブは鳩の止り木として、そしてノアたちの箱舟生活から安定した陸地での生活ができる印として記されている。 さんあいのオリーブも子どもたちのとまり木になれるような養育を目指して行く。 そしてオリーブから退所した子どもたちが、家庭復帰しようが他の施設入所になろうが、「止り木」以上の安定した生活が送れるよう願って止まない。

 

事務所の職員も一緒にBBQの時を持ちました。先ずは、食事の感謝のお祈りからスタートです。

 

最初は火を怖がっていましたが、だんだん慣れてきて一緒にお肉を焼きました。

 

BBQの最後は、栄養士さんが用意してくれたゼリーを頂きました。沢山食べた後だけど、デザートは別腹みたいです。