70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

子どもの貧困

2016-10-19 16:40:56 | 愛すべき子どもたち

本日、さんあいが主催してセミナーを開いた。 今回は、貧困家庭の子どもたちで不登校や引きこもりの中高生に対して、学習支援を実施しているNPO法人の代表理事である、元高校教師の白鳥勲先生をお招きし、「子どもの貧困と居場所づくり」と題して講演していただいた。セミナーには、さんあい職員の他に近隣の施設職員や小中学校の先生、民生委員や里親さん等が参加してくれた。

埼玉県は、全国に先駆けて貧困家庭の子どもの学習支援のために予算を確保し、NPOと連携して支援を行っている。この教室は、「アスポート学習教室」と言う名称で県内全域で40カ所に設置してある。教師は、有給のフルタイムとパートタイムを合せて80名とその何倍もの学生ボランティアが荷っている。 

この活動の優れている点は、教室を設置して不登校の子どもを待つのではなく、行政と連携して不登校の家庭(多くの場合は母子家庭や生活保護世帯)を訪問して、親や子どもを説得して教室にくるように促している点である。 ケースによっては3か月以上掛かけて何度も訪問を行い、参加する子もいるという。

講演全体で印象的だったのは、子どもの貧困は、不適切な家庭生活(食事、宿題、衣服、入浴等)、学習困難、いじめなどの経過をたどり不登校や引きこもりの袋小路に行きつく。そこから子どもたちを外に出すのは、1人ひとりに時間をかけること、寄り添うこと以外にないと言う。

児童養護施設という貧困の子どもたちのセーフティーネットに救われる子どもは、ある意味幸運かもしれない。しかし、様々な理由でそのネットに漏れている子どもたちに対して、児童養護施設は何をすべきか? どんな連携をして施設を役立てるべきか? いろんなことを考えさせられたセミナーであった。

兎に角、1人ひとりに寄りそう時間を長くとる。それが最高の養育でもある。


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