テレビや漫画の影響からだろうか最近の子どもたちは、感情などの表現力に乏しい。正確かどうか子どもたちに確認してはいないが、気に入らないことや気分が悪いことは、すべて「ウザイ」で表し、気に入ったことやビックリするような喜びを「ヤバイ」と表すようだ。日本語的には、滅茶苦茶な使い方だ。
以前にも記したように児童養護施設で暮らす子どもたちは、自分の喜怒哀楽をコントロールすることや言語化することが苦手だ。だから職員は、怒って奇声を発している子どもに対して、落ち着かせて丁寧にどんな気持ちなのか探り出す。その時に、〝相手が許せなかったのか”、〝相手に腹が立ったのか” 自分が悲しかったのか” 様々な言葉をつかって子どもの不快な感情の言語化を助ける。同様に、嬉しくて興奮している子どもに、〝最高に楽しかったね" 〝こんなの初めてだね” 〝一生忘れないね” などと楽しい時の表現の言語化を助けてあげる。
子どもの気持ちを理解するために子どもが使う言葉の意味を理解してあげる必要はあるが、同じ言葉を使う必要はない。いやむしろ、もっと表現豊かな言葉に置き換えてあげる必要がある。ある児童養護施設でキャンプに引率した新人職員が、子どもたちとバーベキューを食べながら、「これヤッバイ!」「これヤッバイ!」を連発していたという。後で先輩職員は新人に、児童養護のプロとして、「ヤバイ」だけでなく、もっと豊かな表現力を子どもたちが身に着けられるよう専門性を高めなさいと諭したという。
これは、決して重箱の隅をつつくような指摘ではない。職員自身の表現力の向上は子どもたちを日常の生活の中で援助する上でカギとなる重要なことなのである。
一生忘れないほど、楽しかった今年の夏休み。