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認知症高齢者の自動車運転

2021-08-15 16:00:40 | 認知症

認知症患者の運転実態について調査を行なった結果、多くの認知症患者が発症後も運転を継続し、特に初期認知症患者の場合、運転の危険性が高いにもかかわらず、運転中断に至っている例は少なく、家族が対応に苦慮している実態が明らかとなりました。
さらに、認知症の原因疾患別にみた交通事故発生率については、大きな差があることが明らかになりました。

1.自動車を運転している方に、認知症が疑われる場合には、早めに医療機関を受診し正確な診断を受けましょう。
2.認知症の患者は、安全に運転することが徐々に難しくなります。患者を含め、家族・関係者で話し合い、このことをよく理解することが重要です。
3.運転中止に拒否的である場合や、突然の運転中止によって、患者の意欲低下の恐れが強い場合は、まず、家族が同乗し、定期的に運転行動を観察するようにしましょう。また、安全に運転していると思われる場合にも、定期的な観察をして、チェックすることが大切です。

認知症の原因別による症状の違いと運転行動の特徴

【アルツハイマー病】
[記憶]
出来事記憶の障害(いつ、どこでといった記憶を思い出せない)
[場所の理解]
侵される
[普段の態度]
取り繕い・場合わせ(もっともらしい態度や反応を示す)
[運転行動]
・運転中に行き先を忘れる
・駐車や幅寄せが下手になる

【ピック病】
[記憶]
意味記憶が障害されることもある(言葉の意味、物の名前が分からず、会話が通じない)
[場所の理解]
保たれる
[普段の態度]
我が道を行く行動、常同行動・固執(同じことを繰り返す、こだわり続ける)
[運転行動]
・交通ルール無視
・運転中のわき見
・車間距離が短くなる

【血管性認知症】
[記憶]
出来事記憶の障害
[場所の理解]
侵されることもある
[普段の態度]
意欲低下
感情失禁(わずかな事で急に泣きだしたり、怒ったりする)
[運転行動]
・運転中にボーっとするなど注意散漫になる
・ハンドルやギアチェンジ、ブレーキペダルの運転操作が遅くなる

[参考資料]

認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル 通常版(PDF)
https://www.ncgg.go.jp/ri/topics/documents/cgss_5_1.pdf

国立長寿医療研究センター>高齢者が気をつけるべき運転行動のチェックリスト(PDF)
https://www.ncgg.go.jp/ri/topics/documents/cgss_6.pdf
「ウインカーを間違って出したり、出し忘れたり」「カーブをスムーズに曲がれない」「歩行者、障害物、他の車へ注意しなかった」「危険な状況でとっさの対応ができない」、どれか一つでも当てはまったら...


[出典]
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 
https://www.ncgg.go.jp/cgss/


初出:2016.2