猫と音楽、ときどき脳腫瘍

病気発症から22年、記憶のモンキーマジック。

#0-7 Fの壁 / TOO MUCH PAIN

2019-08-06 17:52:31 | 日記

少年時代の記憶。
 
北関東の山間の街で育った僕。
 
1991年裏庭の蔵の中でボロボロのギターを見つけた。

ギターを手にした14歳の僕は
その瞬間大きく変わった。

「何かが始まる」そう思いドキドキした。
 
ギターを始めた誰もがぶつかる「F」の壁。
 
「F」の壁を超えられず、
ギターはやめたという声をたまに聞く。

そいつらは超える必要が無かっただけでで、
14歳の僕は、
それを超えずには何も始まらなかった。
 
ロックスターになりたい!
音楽で世界を変えたい!
そんな事は一切思っていなかった。
 
ただただ僕はモテたかっただけ。
 
小学生の頃はキン消しが流行っていた。
バッファローマンを持っていなかった僕は、
それだけで女の子にモテないと思っていた。
 
夏の楽しみの一つ昆虫採集。
それぞれのカブトムシの大きさを競う。
僕の見つけたそれは一番小さかった。
しかもメスだった。
モテないと思った。
 
近所のスーパーで母親と買い物をしているところを、
クラスの女子達に見られた。
絶望的だった。
モテないと思った。
 
給食をおかわりする奴はダサいと思っていた。
どんなにおかわりをしたくてもクールを気取っていた。
でも太ってた。
モテなかった。
 
勉強すればモテるだろうと思った。
必死で教科書の暗記。
クラス委員をやった。
学級新聞を作り目立とうとした。
ソフトボールチームに入りピッチャーをやった。
モテなかった。
 
ギターを持った僕は次第に曲を書くようになった。
始めて作った歌のタイトルは「グッバイキス」
もちろんキスなどした事無かった。
モテるはずが無かった。
 
ハイロウズに14歳いう名曲がある。
 
僕が強くなりたいと思うものに僕は必ずなれる。
僕が好きな事をただただ追求しろ。
 
いつでもスイッチを入れろ。
お前を14歳にしてやると。
リアルよりリアリティ。
 
自分がそこに戻れる曲や映画、景色。
それこそロックンロールだと思う。
ピュアな初期衝動、魂そのもの。
 
いつでも僕はそこに居る。
そしていつでもそれらに守られている。
 
今日も明日も何十年後の僕も。
 

#0-6 結婚 / LoveGrows

2019-08-05 17:31:30 | 病気のこと
 
2004年会社の上司に誘われ、
葉山で行われた渋さ知らずのライブに行く。
 
逗子駅でバスを待っていた時に
偶然大学時代の友人に遭遇。
 
今の妻である。

自分にはない笑顔と愛嬌に惚れる。
 
2年程付き合い結婚。
 
この病気を打ち明けても
一緒になってくれた妻には感謝しかない。
 
心から愛している。

#0-5 就職 / 青春狂騒曲

2019-08-05 15:15:45 | 病気のこと

2000年、
アートスクールに通う。
 
デザインを考え作る楽しさを知った僕は、
音楽は趣味と割り切る。

バンド脱退、
本気でデザイナーを志す。
 
もちろん定期的に脳の検査は続けていた。

数ヶ月に一度のMRIと
発作予防のための薬の処方。
 
その後は何事もなく、
無事アートスクールを卒業した僕は
憧れのデザイナーになる。
 
激務の日々、
当時は徹夜なんて当たり前だった。
 
自分の携わった広告や色々なデザインが
世界に拡がることが嬉しく、
どんどん仕事に打ち込む日々だった。
 
丁度その頃、
在籍していたバンドがCDデビュー。
 
素直に喜べない僕が居た。
 
rockinonのインタビュー、
ラジオやフェス出演など当時僕が夢見ていた事を
やっていく友人達が羨ましかった。



#0-4 退院 / MorningGlory

2019-08-04 11:18:35 | 病気のこと

退院後は、
大学を中退した。
 
でもバンドは続けた。
その頃は月に2回程、
下北沢Shelterのステージに
立つのが生きがいだった。
 
 
自分の将来に向き合えたのもその頃からだと思う。
 
絵を描くのが得意だった僕。
 
大学入学時に買ったmacで
自分達のバンドの
カセットテープやTシャツのデザインを始めた。
 
いつしかデザイナーと言う職業に憧れを持つようになった。


#0-3 1998-1回目の手術 / Another Day , Another Night

2019-08-03 11:18:35 | 病気のこと

親からの説得もあり
実家近くの大学病院に入院、
腫瘍の摘出手術を行う。
 
診断としてはグレード2。
 
それでも僕は他人事だった。

病気と向き合うのが怖かっただけだと
今なら分かる。
 
20代前半の頃の時間は
脆くて儚いと思う。

一瞬でも気を抜いてしまえば、
自分はどこかに
取り残されるのではないかと、
不安を抱いていた。
 
だからこそ、
その時間を奪っていきそうな
悪魔の存在をただ隠し、
必死に暗闇から手を伸ばしていた。