少年時代の記憶。
北関東の山間の街で育った僕。
1991年裏庭の蔵の中でボロボロのギターを見つけた。
ギターを手にした14歳の僕は
その瞬間大きく変わった。
「何かが始まる」そう思いドキドキした。
ギターを始めた誰もがぶつかる「F」の壁。
「F」の壁を超えられず、
ギターはやめたという声をたまに聞く。
そいつらは超える必要が無かっただけでで、
14歳の僕は、
それを超えずには何も始まらなかった。
ロックスターになりたい!
音楽で世界を変えたい!
そんな事は一切思っていなかった。
ただただ僕はモテたかっただけ。
小学生の頃はキン消しが流行っていた。
バッファローマンを持っていなかった僕は、
それだけで女の子にモテないと思っていた。
夏の楽しみの一つ昆虫採集。
それぞれのカブトムシの大きさを競う。
僕の見つけたそれは一番小さかった。
しかもメスだった。
モテないと思った。
近所のスーパーで母親と買い物をしているところを、
クラスの女子達に見られた。
絶望的だった。
モテないと思った。
給食をおかわりする奴はダサいと思っていた。
どんなにおかわりをしたくてもクールを気取っていた。
でも太ってた。
モテなかった。
勉強すればモテるだろうと思った。
必死で教科書の暗記。
クラス委員をやった。
学級新聞を作り目立とうとした。
ソフトボールチームに入りピッチャーをやった。
モテなかった。
ギターを持った僕は次第に曲を書くようになった。
始めて作った歌のタイトルは「グッバイキス」
もちろんキスなどした事無かった。
モテるはずが無かった。
ハイロウズに14歳いう名曲がある。
僕が強くなりたいと思うものに僕は必ずなれる。
僕が好きな事をただただ追求しろ。
いつでもスイッチを入れろ。
お前を14歳にしてやると。
リアルよりリアリティ。
自分がそこに戻れる曲や映画、景色。
それこそロックンロールだと思う。
ピュアな初期衝動、魂そのもの。
いつでも僕はそこに居る。
そしていつでもそれらに守られている。
今日も明日も何十年後の僕も。