皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

小6女子いじめ自殺」校長はいじめを否定し、両親は"お騒がせしてすみません"と頭を下げた

2021-09-27 13:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。

昨年11月、東京都町田市の小学校で、小6の女の子がいじめを苦に自殺した。遺族は同級生から「どうして学校に来ないの?」と聞かれたが、校長から「子供たちに影響がある」とクギを刺され、亡くなったことを伝えられずにいた。遺族は学校の対応を待っていたが、徐々に校長は「いじめはなかった」という態度を示すようになる。告発スクープ第3弾――。
「絶縁ドッキリ」「彼氏ドッキリ」「自殺ドッキリ」
12月25日(金)の夕方、週一回の恒例である「聴き取り調査の結果報告」を聞きに、山根夫妻(仮名)は校長室を訪れた。
その席で、前日にA校長から電話で説明があったとおり、「ハングアウトでA子とB子が詩織さん(仮名)の悪口を書いていたことは事実だが、なぜか履歴が消えていた」と説明を受けた。さらに「“○○ドッキリ”が、A子とB子によってたびたび行われていた」という報告を受ける。
“○○ドッキリ”とは、A子とB子が計画した詩織さんへの悪質ないたずらだ。
仲良くしているなかで突然、絶縁を伝えて無視をする「絶縁ドッキリ」。詩織さんには好きな男の子がいたが、その人は自分と付き合っているから近づくな、周りの友達にもみんな彼がいて、彼がいないのは詩織さんだけだという嘘を伝える「彼氏ドッキリ」。A子が学校では禁止のエクステ(髪につける付け毛のアクセサリー)を持ってきて、詩織さんに「大切なものだから預かって」と渡したあと、A子がそれをこっそり取り出して隠したうえで「詩織がなくした」と責める「エクステドッキリ」。いずれも嘘で、数日~数週間時間を空けてから「ドッキリでした」と伝えるという悪趣味なものだ。
筆者がとりわけ残酷だと感じたのは、B子による「自殺ドッキリ」だ。これは遺族が同級生から聞いたもので、給食中にB子が詩織さんに「自殺したい」「自殺するほどつらいことがあるから、自殺の方法を考えてほしい」と相談を持ち掛けるというもの。同じ班で給食を食べていた同級生の男の子がその話を聞いていた。詩織さんは、相談を真に受けて心を痛めていたという。
「いじめ防止対策推進法」の重大事態に該当
24日の電話や25日の校長室での報告で、A校長が繰り返し伝えていたのは「チャットよりも○○ドッキリが自殺の原因になっているのではないか」ということだった。
「私たちもいじめのすべてが端末上で起こったとは思っていません。ただ、チャット上で誹謗中傷を受けていたことがわかっているのに、その履歴が消えていたり、自殺を公表したいと伝えても拒否されることに隠蔽を疑うようになりました。私の調査でははっきり出ているC子、D子からのいじめについても、学校側は把握できていませんでした。『第三者委員会を立ち上げてください』と伝えました」(弘美さん)
「第三者委員会」とは、客観的な第三者の視点で調査する調査機関のことだ。いじめの場合には学校からの要請で市の教育委員会が立ち上げる。委員の人選においては、調査に関する専門性に加え、公平性・中立性が求められる。
実は、A校長の行動には重大な法律違反という疑義がある。
2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」では、第28条第1項に「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める」事態(自殺等重大事態と呼ばれる)を「重大事態」と定義。重大事態が起こった際には「速やか」に教育委員会などに報告し、第三者委員会を立ち上げて調査することが求められている。
山根夫妻の代理人で、2013年1月から2016年7月まで国会議員の政策秘書として「いじめ防止対策推進法」の制定にも携わった金子春菜弁護士は次のように語る。
「A校長は、学校長としてこの法律の存在を知っていたにもかかわらず、重大事態としてすぐに報告していませんでした。今回の自殺事件が、重大事態に当てはまるのは誰の目にも明らかです。たとえ、遺族に『子供には自殺を伝えないで調査してほしい』と言われたとしても、町田市教育委員会に報告のうえ、第三者委員会を立ち上げることはできます。それをしていなかったということは法律に違反していると言わざるを得ません」
「遺族の意向で詮索しないでください」
年明けから山根夫妻は「一日も早く全校生徒と保護者に詩織が亡くなったことを伝えてください」と何度も依頼した。A校長は「後追いが怖いので、待ってください」と断りつづけていたが、ようやく1月13日の朝に「14日に6年生の親向けに臨時保護者会を開いて、子供たちに詩織さんが亡くなったことを伝えます」と連絡があった。ただし、「学校が混乱するので、山根さんご夫婦は来ないでください」と言われた。
詩織さんと同級生の娘を持つ加藤和江さん(仮名)は、この日の臨時保護者会のことを次のように話す。
開催日の前日に送られた、臨時保護者会を知らせるメール。開催時間は15分程度と書かれている(保護者提供)
「1月13日の午前中に、メールで臨時保護者会開催のお知らせが届きました。緊急事態宣言が延長された最中で、何があったのかと思いました。14日夕方、体育館に行くと『子どものストレス反応と対応について』という1枚のプリントを渡され、先生たちが皆、黒い服を着ているので胸騒ぎがしました。そして、A校長が短く、一方的に詩織さんが亡くなったことを伝えて、終わってしまったんです」
A校長が伝えたのは、次のような言葉だった。
「悲しいお知らせがあります。6年生の山根詩織さんが亡くなられました。明日、児童には私から話をしますし、担任の先生からも話してもらいます。ご家族の意向で、これまで発表は控えてくださいと言われていたので、今日、発表することになりました。なぜ亡くなったのかは遺族の意向で伝えられません。なお、すでにご葬儀は済まされていますので、いきなり弔問に行くようなことはなさらずに、伺う際には必ず事前にご家族へ連絡のうえ訪問するようにしてください」
明らかな嘘がいくつも混ざっていた。
コロナで死亡? 臆測が飛び交った
詩織さんが亡くなった事実だけを伝えた1月14日の臨時保護者会の帰り道、保護者たちの間では臆測が飛び交った。
「学校があるのは、学年の半分くらいが中学受験をする受験率が高いエリアです。1月14日は、1月受験が始まる3日前。なぜ、こんな時期に発表するのか、受験生の親子を動揺させたいのかと怒っている保護者もたくさんいました」(加藤さん)
別の保護者も言う。
「理由が話されなかったので、コロナで亡くなったのでないか、いや、詩織ちゃんはいじめられていたから、自殺ではないか、交通事故なのか、といろんな臆測が飛び交っていました」(鈴木さん/仮名)
翌日には学校で全校児童に伝えられた。6年生にはA校長から、それ以外の学年はクラス担任が、14日と同じ内容を伝えた。つまり、「遺族の意向で、亡くなった理由は伝えられない」ということだ。このため子供たちが学校で詩織さんの話をすると先生に「シーっ」と注意された。
「理由を言わなかったので、子供たちは余計に混乱状態に陥っていました。詩織の友達だった低学年の男の子がうちに来て『なんで詩織ちゃん死んじゃったの?』って聞きにくるし、問い合わせの電話がたくさんかかってくるし、誰にも聞けずに家で泣いているとお母さんたちから話を聞くお友達もいるし、子供たちが本当にかわいそうでした」(母・弘美さん/仮名)
空手を習っていて、大会では上位入賞をしていた詩織さん(仮名/写真右側)。いろんな課外活動に参加していて、同級生以外にも友達は多かった(写真=母親提供)
翌日、臨時保護者会が開催されたという話を聞いて驚いたのはPTA会長だ。
「A校長から臨時保護者会を開くことや、子供たちに伝えることは何にも聞かされていませんでした。保護者の皆さんからPTAに問い合わせがたくさん来ていたので、16日に校長室を訪ねて、『いじめで亡くなったという噂があるけど本当ですか?』とA校長に聞きました。すると、『いじめはあった。だけど、9月に解決していて、亡くなったことは関係ないんです』、そして、『本当のことを伝えたいけど、遺族の方の意向で伝えられなかった』と説明を受けました。私が、問い合わせがたくさん来ていると伝えたら、『では、1月19日に代表委員会があって各学年の代表の方が来ているから、伝えましょうかね』と提案いただいたんです」(PTA会長)

遺族は「代表委員会」への出席も止められた
1月19日、クラス委員とPTA役員の保護者が集まる「代表委員会」の席で、詩織さんが亡くなったことを伝えることになった。それを聞いた山根夫妻は、「今度は自分たちも出席したい」と申し出たが、A校長は「来ないでください、なんで来るんですか!?」と出席を止めたという。
「ひと言、あいさつをさせていただくだけなので、参加させてくださいと頼んでも、『いやいや大丈夫です。混乱するだけですし、そもそも代表委員会は詩織さんが亡くなった話をするための場所ではありませんし』と大変なけんまくでした」(弘美さん)
18日の夜、A校長はPTA会長を呼び出した。
「A校長に呼ばれて、夜7時に学校に行きました。そして、『山根さんが代表委員会に出ると言っています。困りますよね、そんなことをされたら』と聞かれました。『いえいえ、別に何も困らないです』と伝えたら、『まだ本当に出席するかわからないので、山根さんにこのあと連絡を入れますね』と言われました」(PTA会長)
実際にはA校長から山根夫妻への連絡はなかった。翌朝、山根夫妻が改めて出席の意向を伝えると、A校長は「来ないでください」の一点張り。それでも山根夫妻は、代表委員会に強行突破で出席することを決めた。
「どうか子どもたちを気にかけてください」
代表委員会が開かれる前に、PTA会長はA校長から「事前の打ち合わせ」を頼まれた。
「私が改めて『いま、いじめで亡くなったという噂がどんどん広がっているので、そのことについてきちんと伝えてほしい』と言いました。すると、校長先生は『あなたから質問をもらう形でなら話す』と言ってくださいました。でも、この時も細かいオーダーが入って、『いじめで亡くなったのは本当ですか?』と聞こうとしたら、『いじめで亡くなったとは言わないでください。いじめと亡くなった理由は別なので、いじめがあったのは本当ですか? と聞いてください』と言われて、そのように言いました」(PTA会長)
代表委員会では、このような流れで質問が出て、A校長が「あったけれども、9月に解決している」と回答。山根夫妻は、それを同じ教室の一番後ろの席で聞いていた。
代表委員会が終わって、山根夫妻が保護者に向けて話をしようと立ち上がると、A校長は席を立ち、そのまま教室を出ていってしまった。山根夫妻は驚いたが、A校長以外は教室に残っていたので、父の達彦さん(仮名)があいさつをした。
「山根詩織の両親です。娘は昨年の暮れに、いじめを書きつづった遺書を残して、自殺をしました。恥ずかしいけれども、私たちは何も、知りませんでした。皆さんの身近なところで、いろいろなことが起きています。うちはもう手遅れで、私がいうのを僭越ですが、どうかお子さんたちをしっかりみてあげてください。お騒がせをして、すみません」
教室のあちこちから、保護者のすすり泣く声が聞こえてきた。

森下 和海(もりした・かずみ)
プレジデントオンライン編集部 



コメントを投稿