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「月20万円でカビだらけのシェアハウス住まい」起業を夢みる若者を狙う洗脳の実態

2021-04-08 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

50人以上が暮らす一軒家のシェアハウス
引っ越しの手伝いで訪れたシェアハウス。玄関脇の靴入れには外観からは想像できない量の靴が入れられ、収まりきらない靴が床に散らばっていた。傘入れにもおびただしい量の傘が差し込まれ、昼間にもかかわらず室内は薄暗かった。
これは私が悪徳商法集団「環境」を辞めたという会員に誘われ、引っ越しの手伝いをした際に見た実情だ。
「『環境』を脱退したためにシェアハウスから引っ越します。話は付けておきますので、手伝いに来てみませんか」
Bさんに誘われた私は、都内某所にある彼らの「シェアハウス」に向かった。私がそこで見たものは、「シェアハウス」というイメージとは全く異なる光景だった。
私が最初に驚いたのは、冒頭にも書いた玄関の状態である。物件は一軒家で、インターネット上に掲載されていた間取りと面積から考えられる居住人数は多くても10人程度だった。ところが、Bさんに人数を聞いた私は、返事に耳を疑った。
「今は50人弱ですね。あまりにも多いので正確な人数は把握できていません」
この家に50人もの人間を、どうやって住まわせているのか。引っ越しの手伝いをしながら建物内を見て回った私は、その異様な住環境に恐怖を覚えながら納得することになった。
すべての部屋に配置された三段ベッド
荷物を運びながら見た部屋には、例外なく三段ベッドが複数押し込まれており、収納しきれないのか床には荷物が散乱していた。また、晴れた日の昼間にもかかわらずカーテンが締め切られ薄暗かった。これは外からその異常な空間を見られ、奇異に思われるのを防ぐためと考えられる。
私は内部の様子を窺いながらもBさんに従って手伝いを進めていたが、一通りの作業が終わったところである違和感に気づいた。
シェアハウスならば通常見られる交流スペースが見当たらないのだ。見た部屋の全てに三段ベッドが押し込まれ、食事をするスペースが見当たらなかった。脱会者によれば、私が見ていない部屋は雑魚寝状態の居室か、収納に利用されているという。
特に収納に関しては、各自の荷物のほか、「環境」で取り扱っている商品のダンボールが積まれているそうだ。毎月15万円もの買い込みを行っているため、1カ月では使い切れない商品がたまっていくのである。
シェアハウスに住んでいた脱会者のAさんから、使いきれずにあまった商品の写真を提供していただいた。これは「環境」のドリンク商品で、1本918円で販売されている。約150本ほどあり、これだけで約14万円分になる。このように、会員が大量に買い込んだ15万円分の商品の多くが、部屋のいたるところにたまっていくという。
劣悪な環境にもかかわらず家賃は4万5000円
こうした実態について、一般的に想像される「シェアハウス」とのギャップに驚く方が多いのではないだろうか。私の感覚では、シェアハウスというよりはタコ部屋という表現がふさわしかった。
ここに限らず、「環境」の物件では総じて通常では考えられない人数を住まわせている。私の取材では6畳ワンルームに3人、20畳1Kに5人、シェアハウスの15畳の部屋に5人という例があった。20畳1Kに5人のケースでは、3段ベッドと布団2組で生活しており、布団を敷くと足の踏み場がなかったという。
毎日のように勧誘を行っている住民が帰ってくるのは深夜23時過ぎで、ほぼ寝るだけの部屋である。Bさんによれば、入会後に「師匠」と呼ばれる幹部から住む場所を指定されるため、断ることはできないそうだ。
床に散乱する大量の衣服。タンスの上にはバッグなどが積み重なっており、明らかに収納スペースが足りていない(写真=筆者提供)
これは脱会者のBさんから提供していただいた、シェアハウス内の写真だ。「環境」からの脱会者へのいやがらせが多発しているため、画像には加工を施している。多数の会員が生活しているため、一人あたりの自由なスペースは3畳ほどしかないという。収納スペースなども存在せず、写真提供者は約3畳しかない自分のスペースのほとんどを、持ち込んだタンスと荷物に使っていたそうだ。
前述の物件の場合、家賃は4万5000円ほど。師匠から「自己投資の15万円を捻出するため、安く住める物件がある」と勧められる。確かに都内の家賃としては安いかもしれないが、その住環境はあまりにも過酷である。
そして、物件のオーナーも師匠であるため、15万円の自己投資と合わせて毎月20万円近くを上納することになる。通常考えられる賃貸条件とはかけ離れており、物件を所有しているのでなければこのような貸し方はできないだろう。
共用の浴室はカビだらけ
脱会者への取材を進める中では、上記の他にもさまざまな証言が得られた。
・大人数で住んでいるためとにかく汚い。信じられない程汚れた浴室を利用していた。
・掃除が満足にされていないためダニが湧く。跡が残るほど刺され、かゆみで睡眠不足になった。
・深夜や早朝に電気をつけて作業をしている住民がいるため、落ち着かず眠れない。
・洗濯物や小物がよくなくなり、金銭の盗難も発生した。
・若い男女が集団生活しているため、夜になると隣の部屋から性行為の音が聞こえることがある。
特に衛生面に関しては問題がある。シェアハウスに住んでいた脱会者によると、浴室はバスタブや床部分がカビで真っ黒になっていたという。深夜まで勧誘にいそしんだ住民は、カビだらけの浴室で短時間のシャワーを浴びていたようだ。あまりに不衛生だ。
また、彼らはコロナ禍にもかかわらず、依然として密な状態で生活しているため、クラスターとなる恐れが高い。しかも「環境」では現在も変わらず路上での声掛けや勧誘目的の食事を行い、不特定多数と顔を合わせているのだ。
冒頭の物件での手伝いが終わり、私が部屋の様子を思い返していると、道路の先から見たこともないロゴを付けたバンがやってきた。引っ越し業者だった。Bさんによると、これは「環境」関連の業者のようだ。普通の引っ越し業者に頼んでしまうと、物件の異様さに驚かれてしまうためだという。
業者と共に引っ越し先へ向かったBさんと別れた私は、念のため帰路の途中で電車を降り、街中を歩き回った後に普段とは違うルートで帰宅した。
生活を勧誘漬けにし、いままでの人間関係を断絶させる
ここまで読んでいただければわかると思うが、「環境」を既存のマルチ商法などとは大きく異なる。
彼らは長い時間をかけて、こんなセリフで会員を洗脳する。
「起業すれば夢がかなう、そのためには『絶対に起業が成功する』方法を知っている師匠に服従し、ハードな勧誘を行うとともに『自己投資』を行わなければならない。自分たちこそ外界にはない成功法則を知っている」
その過程では、生活を勧誘漬けにする。また「活動を否定するものはドリームキラー(夢を邪魔する者)」「ネットの批判は負け犬の遠ぼえ」といった思想で、批判を受け付けず、人間関係を断絶させる。
「意識の高い特別な仲間と生活でき、さらに家賃も安く済ませられる」と言ってシェアハウスに住まわせれば、起きてから寝るまで「環境」漬けの生活の出来上がりである。「この生活には意義がある」と強力に刷り込まなければ、前述のような住環境で生活させることはできないだろう。
刷り込みを行うという面では、まだ記載していない手法がある。「自己啓発セミナー」である。これは洗脳セミナーとも呼ばれ、数十〜数百人を密室に隔離し、強烈な精神的ストレスを与えるワークを繰り返し行って、「人生で起こることの全ては自分が源である」「物事には積極的に全力で取り組むのが重要」といった価値観を植え付けるものだ。
「自己投資」を続けるために借金を重ねる人も…
この形態のセミナーは、強烈なストレスによる精神的なダメージが残ってしまうことや、参加者に強引な勧誘を行わせることから、さまざまな団体が過去に何度も社会問題を引き起こしている。
「環境」ではこうした危険なセミナーへの参加を奨励しており、その際のスタッフはほとんどが「環境」の先輩構成員である。本来の自己啓発セミナーは人生の目標を前向きに考え直すものだが、彼らの洗脳セミナーは、これまでの価値観を破壊し、そこに勧誘活動の成功という目標を植え付けるものだ。
毎月15万円の「自己投資」が払えなくなった場合、穴埋めの方法は「ダブルワーク」と「借金」の2つだ。
ダブルワークでは、本業とは別に深夜まで居酒屋で働いていたり、女性の場合は性風俗業で収入を穴埋めしているケースもあった。借金では、筆者が取材したある脱会者は、借金と共にクレジットカードの支払い延滞でブラックリスト入りしてしまい、今もカードを作れないという。
ダブルワークや借金でも穴埋めができなくなった会員は脱落していく。ただ、「環境」の会員には高収入でフリーランスのシステムエンジニアが多い。この場合、長く自己投資を続けられてしまうため、多くの時間と財産を奪われることになる。
実態は起業サークルではなく悪質なカルト
私の取材では、起業を目的に「環境」の会員を続けているのに、起業に至らないまま10年以上も在籍している例が聞かれた。勧誘に成功していれば負担額は減るものの、自己投資を1年間で最大180万円、5年間で900万円、10年間で1800万円を失うことになる。
在籍期間はプライベートの時間をほとんど「環境」の勧誘に使ってしまうため、本来友人と過ごしたり、自己研鑽けんさんに励んだりする時間を組織に奪われることになる。
さらに、「環境」では勧誘の時間を捻出させるためにフリーランスや派遣への転職を勧めることが多く、その派遣会社が「環境」関連の会社というケースがある。ここまで来ると、生活の全てを「環境」にささげてしまっていることになる。
人間関係の切断や集団生活、疲労による思考力低下を狙った激しい勧誘への誘導といった手法は、カルト集団が利用してきたマインドコントロールの技術に酷似している。「環境」は、宗教団体や政治団体ほどは警戒されない「起業サークル」を自称するが、その実態はカルトであり、深みにはまり込んでしまった場合に抜け出すのは難しい。被害に遭わないよう、十分に気をつけてもらいたい。



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