DMVとはデュアルモードビークルの略称。軌道と道路の両方を走行する車両のことで、徳島県の阿佐海岸鉄道が世界で初めて、昨年12月25日に営業運転を開始した。
赤字ローカル路線救済の切り札として登場したこのDMVは、かつてはJR北海道が開発を進めていて何度も実証試験を繰り返していたが、結局断念したという経緯がある。そして今度は阿佐海岸鉄道がその技術を継承し、車両を新たに開発して実現に漕ぎつけたのだ。
フランス国鉄が同じように赤字ローカル路線で様々なソリューションを検討しているため、このDMVに興味を持っており、何度かJR北海道や技術を開発した株式会社NICHIJOにミーティングをリクエストしたが、計画が断念したために受け入れてもらえなかった。
今回は運営元の徳島県が快諾してくれたために、私が徳島県まで出掛けた次第である。最初電車で行こうと思っていたのだが、途方もなく時間がかかるので、神戸から高速バスで行くことにした。徳島へは20数年前に一度空港周辺へ行ったことがあるだけなので、今回が事実上初めてのようなものだった。
バスだと神戸から僅か2時間ジャスト。月曜日の朝いちばんのバスなので空いていて楽だった。徳島に着いてバスの窓から道行く人々を見てまず思ったのが、マスクをしていない人が多い。もうこれだけで私の徳島に対する好感度が一気に上がった(笑)。ひょっとして徳島の人達はコロナシリーズが嘘の塊であることを知っているのか？さすが徳島大名誉教授大橋眞先生のお膝元だけある、と一瞬思ったほどだが、まあ暑いからマスクを外すという当たり前の行為をされているだけなのであろう。その当たり前の行為ができない人が大多数なのだが。
さて、まずは徳島県庁次世代交通課を訪問。
ご丁寧に詳しくDMV導入に至った経緯を教えて頂いた。DMVのメリット、デメリット、なぜ阿佐海岸鉄道に適しているのか、他の鉄道事業者には導入が難しいのか、よく理解できた。
そしていよいよDMVに乗るべくJR牟岐線で阿波海南へ向かう。これは県庁の最寄り駅の阿波富田駅。何と単線。徳島県は唯一電化されていない県らしい。つまり全てがディーゼル車。何とも懐かしくて情緒がある。
乗った列車が途中の阿南止まりだったので、待ち時間が30分ぐらい生じてしまった。恥ずかしながら阿南は阿波海南の略称かと思っていた(苦笑)。
阿南で阿波海南行きの列車に乗り換え。残念ながら電車の中では皆さんしっかりマスクをされていて、私一人素顔であった。こんなところでマスクすることなどあるまい。
いよいよ終点の阿波海南駅着。途中で乗り換えたために2時間半もかかった。ここは改札も何もない無人駅で、券売機すらない。バスと同じで乗る時に整理券を取って、降りる時に支払う方式だ。ちなみにこれはDMVも同じ。
徳島の牟岐線では、徳島駅を出るとすぐに一面田園風景が続いたのだが、こんなに稲作が盛んだとは知らなかった。田園とディーゼル列車、何ともこの組み合わせが昭和を思わせる。
さて、この阿波海南駅でDMVがバスモードから鉄道モードに切り替わるのだ。逆方向の場合はその逆の切り替わりだ。
下の写真はバスモードから鉄道モードに切り替わったところ。
道中はトンネルが多いが、鉄道の部分は専用軌道なので信号も踏切もない。月曜日ということもあって空いていた。トヨタのコースターというマイクロバスを架装したもので、座席数は18。
途中海沿いを走るので南国情緒満点。
ここは終点の道の駅宍喰温泉。この写真を見ると、南仏にでも来たような気分になる。ニースかカンヌと言っても十分通用しそうだ。姉妹都市提携してはどうだろう？
しかもDMVは3台あって、グリーン、ブルー、レッドと鮮明な色ばかり。ヨーロッパ人受けしそうなカラーで、私が最も好きな三色でもある。冬になれば私もDMVの色に合わせてコーディネートできそうだ(笑)。
道の駅宍喰温泉から阿波海南へ戻り、徳島行の列車を待つ間、すぐそばのあぜ道でしばし虫取り。徳島産キリギリスをゲット！一緒に入っているのは餌にするショウリョウバッタモドキ。最初からわかっておれば、虫取りの準備をして、その分の時間配分をしておいたのだが。
帰りの高速バスでは、柄にもなくマスク（マスクではなく和手拭いだが）。
もちろん愚かなコロナ対策などではない。駅前で王将の餃子を大量に食したので、ニンニク臭をばらまかないようにとの配慮だったのだが、途中まで私一人。そのあとも私を含めて3人しか乗客がいなかったので、その必要もなかった。
これだけ人が少ないとバスも快適だ。バスと電車の往復で8時間半も移動に費やしたが、良い気分転換になった。皆さんも機会があれば、是非DMV乗ってみて下さい。
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