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さきぽんといっしょ。

新米ままと、ちびっこさきぽんのいちにち。
そこへ、まーくんがやってきて・・・・。

静的弛緩誘導法

2014-01-16 15:48:48 | 日記
冬の集中研修会に参加してきました。

私が静的弛緩誘導法に出会うきっかけになったのは、昨年4月。
職場の分掌が変わり、「抽出自立活動」の係りになったため。
この部署、何をするかというと、
クラスの集団での自立活動の時間では、カバーしきれない課題がある児童、
個別に指導する方が効果が期待される児童に対して、
クラスから抽出して、個別に指導をする。。。。のです。


4月に出会ったA君。
多動で多弁で落ち着きがない。

まあ、はじめて会ったし、私とは学年の所属も違うし、
クラスから出されて1対1だし、落ち着かなくもなるよね。

担任から上がってきた主訴は「協調運動が苦手、ぎこちなさがある、回転運動が苦手」など
さまざまあった。

「とりあえず、体に触れてみるといいよ」とベテランの先生に言われ、
言われたとおりに、順を追って体に触れ続けた1学期。

夏の研修会に参加し、
触れることの意義について勉強した。

静的弛緩誘導法は、肢体不自由などで、体に緊張が走り、強張ってしまってる人に対して、
体に触れふわっと力を抜いて、緩めることを誘導して、正しい体の使い方を伝えていく
というもの。(←あくまで私の理解。・・・つたない


その時衝撃的だったのは、実際に私が被験者になって、ベテランの先生に触れてもらった時のこと。
わかりやすいようにと、右足だけやってもらって、左足は普段のまま。
じっくりと触れてもらった後、立った時の左右の差の違和感はすごかった。
触れてもらった右足は、とても軽くて、感覚が研ぎ澄まされたような感じ。
カーペットのでこぼこがありありと感じられ、五本の指で地球をわしづかみにしている感じ。
普段と同じはずの左足がなんと重たいことか。
ぼやけているようにも感じられる。

触れるだけでこんなにちがうのか。
1学期間、雲をつかむように子供に触れていたけれど、
こんなに気持ち良かったのね。と。

2学期に入り、その子と私もなんとなく関係ができ始め、
1週間に一度の私との時間を楽しみにしてくれていると担任の先生から聞いた。

カーテンを切り裂いたり、トイレを詰まらせたりと、クラスでは悪さをしてみせたり、
集団に入れなかったり、行事におびえたり、
いろんな不安があって、問題行動が目立ってしまうA君。
でも、私の時間の前には、(着替えをしていない日や、はだしでいることもあるみたいんだけど)
あわてて着替えをして、ズックを履いて、一生懸命シャツまで入れて、そわそわと
待っていてくれる。
「先生に、ヘンに思われないようにしなくっちゃ」と、つぶやいているらしい。

すべてをさらけ出して、弱いところも全部ひっくるめて受け止めてくれるのが担任の先生とすれば
私は、ある程度距離を置いて付き合う、週に一度の先生。

「多動で多弁」
周囲の刺激を取捨選択することができず、常にアンテナが張り巡らされ、
さまざまな情報が常に自分に刺さるように入ってくる。
集団の中で過ごすということは、彼にとってかなりしんどい。
そんな彼にとって、集団から離れ、自分の体に目をむける時間は、
プレミアムな時間だと担任の先生は言ってくれた。

実際のところ、はじめは「ふとんに横になって」、と言っても、
足を突っ張らせたり、ごろごろと寝返りをうったりと落ち着かない。
体のおさまりがつかない。
もちろんしゃべりっぱなし。
それが、触れていくにつれ、こちらに身を任せてくれるようになり、
静かに目を閉じてリラックスできるようになってきた。
「そこ、気持ちいいからもう一回やって」とリクエストされることも。

A君の変化をうれしく感じつつも、ぬぐいきれない疑問が。
「ほんとうに意味があるの?この時間に。」

「『集団から解放されて、ふとんに横になって、体を触ってもらって気持ちいい』それだけでいいの?」

弛緩誘導をし、少しだけ苦手な回転の運動をおりまぜて活動した2学期が終わった。



そして、今回の冬の研修。

触れ方の実技はもちろん、筋肉の付き方のお話。
実際に参加されたお子さんに触れながら、呼吸や嚥下や排泄などの際、
どの部分の筋肉を使うのかを力説。
頭が痛くて首が回らない先生を、触れるだけで治しちゃったり。
おどろき、発見、再確認。

「触ってもらえれば、気持ちいいし、自分の体がはっきりと意識できて動きやすい。」ということは、
自分で体感したのでよくわかる。
でも、それが直接、きちんとした座位が保てるとか、片足立ちができるようになるとか、
協調運動が上手になるとか、目にみえて上達するわけじゃない。
弛緩誘導によって、ボディーイメージを高めることはもちろん必要なことなんだけれど、
実際の生活に変化がみられるまでには、長い長い時間がかかる。
素地の素地の素地。 土台作り。。。。なんだよね。

「いつか芽が出るのを信じて、そういう目で、子どもをみる」のだと。
「『0』が『1』になるのは誰にでもわかる。
 『0』が「0.1』になった瞬間を見逃さない目をもちなさい」と。


「そういう教師になりたい」と、素直に思う自分と、
「はたから見たら、あやしい宗教みたいなことしてると思われてるんじゃ」という不安な自分と。
(弛緩誘導法は、肢体不自由の学校ではメジャーだが、知的障害の学校ではそうでもない。
 もっと成果がはっきりわかる課題を追いかけがち。)

そんな私に、先生がかけてくださったことば。
「多動で多弁なA君が、先生が触れる手に合わせて落ち着くことができたんでしょ?
 これは、周囲からの刺激を取捨選択できなかった子が、先生の手という触刺激だけに
 集中できるようになったということでもある。
 ひとつの刺激に集中できるようになったということはすばらしい成果で、
 このことは必ず般化していく。
 そういうポイントで、担任の先生と話をしてみては?」と。

なるほど。。。。。
なんか、重たかったこころが、ふっと軽くなりました。

ただ、ラクなだけの時間じゃなかった。
A君なりに、すごく成長していたんだ。
そういうことに気付けなかったなあ。。。


実のトコ、A君は、まだ手と足しか誘導に合わせられない。
おなかや背中はまだまだで。
おなかや背中がうまく合わせられるようになると、呼吸が深くできるようになり、
もっと落ち付いてラクに生きられるようになる。
夜中、深く眠れず、目をつぶったらこわいこと思い出して疲れちゃうって言ってたし。
深く眠れるようになれば、体もラクになって疲れにくくなるもんね。

私とA君は週に1度、1時間のお付き合い。
学年も違うから、普段の生活の様子は見えてこない。
でも、この時間で「0」が「0.1」になったのだとしたら、
それを「0.2」の成長につなげていかないともったいない。(気付けなかったけどね

足し算ができるとか、跳び箱がとべるとか、
そういうのは誰が見てもわかるすごい成長なんだけど、
こういうことも、成長なんだよね。
ちっとも目立たないし、やってる人にしかわからないし、
地味~。。。だけど。


抽出自立活動で、私が担当しているのは、全部で3人。
感覚統合の子と、発音指導の子と。
ほとんど知識のない部門だったけれど、
今年度、追い込まれてかなり勉強させてもらえました。
担任していたら、忙しくて、休みの日まで研修に出ようなんて思えなかったかもしれない。

地味~で、暗~い静的弛緩誘導法。
その神髄を知るのはまだまだ先になりそうだけど、
細く長く、今後も学習会に参加できたらなあと・・・・思います。


はあ。。。長くなったけど、すっきりしたあ。
ひとりごとに付き合って、
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。

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