①漫画・昭和のおらが村・

皆が貧しかったけど幸せだった昭和初期
あの頃の・おらが村・を漫画を主に描きました。

噂話・・一郎とカミさん

2015-09-21 12:57:23 | 歴史

(1)老人会々長
一郎は55歳で公務員を退職して10年間ほど警備員の仕事に再就職した。
65歳で仕事から縁を切り、地元町内会の老人会々長になった。
老人会の会長など一部の物好きが志願するもので殆どの人は尻込みする。
一郎も会長などと言う面倒なことは大嫌いだったがカミさんから強引に薦められたのだ、もともとカミさんには逆らえない空気だったので老人会会長という・名誉職・に就いた。

子供たちは既に独立して所帯をもっている
一郎は無趣味な男だが、大の酒好きだ
酒こそが心と体の栄養源と云う体質なのだ、よほど肝臓がタフなのに違いない。

一郎のカミさんは身長155センチ、体重100キロ~120キロ超。
(体重は自己申告がないため推定)のコニシキ雲竜形だ
良く喋り、良く食い、かなりの社交家で気も強い^^
一郎はといえば痩身の身長155センチ、体重50キロ、しかし至って健康そのものである。
コニシキ肥りのカミさんは完全に亭主を尻にしいている

カミさんは、酒に溺れがちな亭主が心配で、酒以外に関心を持たせる意味で町内のお世話をさせた方が良いと考えたのである、立派な考えだと言える。 

町内会館の管理、各同好会、旅行会など、様々な行事を行う老人会長はそれなりに忙しい
その会長である亭主を陰で操ったのは、かかぁ天下の総本家の如きカミさんだった
老人会はどの地区にも有るが都会の老人会は入会する人が年々減ってきている
その地域の20%程度の老人しか入会しないしていないのが実情かも知れない。
強いて言えば一部老人の「愛好会」の集まりの様なものである
一郎はカミさんに尻を叩かれて会員の新規の加入を勧誘しなければならなかった。
一郎が最も嫌いなことだが、カミさんに尻を叩かれイヤイヤながら会員増に励んだのである。

老人会とは自治会や町内会に付随する高齢者の為の福祉や娯楽を目的とした相互扶助的な組織なのである、一定の会員数が有れば地方自治体から金銭の援助があるが、その数に満たないと自治体からの援助は無くなる。
従って入会する会員の数が少ない一郎の老人会は四苦八苦して会員を増やすべく苦労しているのであった。

小さな町内会の小さな老人会だったが、いろいろなサークルがあった
華道クラブ・茶道クラブ・柔軟体操クラブ・社交ダンス・クラブ・囲碁クラブ・写経クラブ・、園芸クラブ、歩け歩けクラブ、ゲートボールクラブ、等々 

一郎は入会後、直ぐに迷わず入ったのが社交ダンス・クラブだった
水を得た魚の様に社交ダンスのレッスンに熱中した。
酒も好きだが女も好き、ハッキリ云って、何処にでもいる酒癖の悪い助平爺いなのだ

ダンスが好き、ということではなく女性を抱きかかえる・社交ダンスの^^「カタチ」^^がたまらなく好きだったのである。
好きこそモノの上手なり・・ダンスは、めきめきと上達した。

カミさんから、ただ一つ★厳重な注意があった★それは
・・呑んでも絶対に女性にHな言動を慎むべきこと・・
間違っても老人会長たる者の最低限のマナーは守らなければならない、それは彼も良く心得ていた筈であったのだが~・・

老人会の社交ダンスだから、女性とはいえ、どちらを見ても姥桜のオンパレード
平均すれば70代80代が多い、しかし稀には間違えて50代のご婦人も参加して居たらしいのである。

老人会の会長になれば酒を呑む機会も多く、一郎は呑むと理性が消滅して本性が現れる。
酒癖が悪いので、好き嫌いなどとは関係なくとにかく身近な姥桜にチョッカイがでてしまう。
女好き、と云ってもただの「喋り助平」迄が限度である、それ以上の行為はできない、万一「お触り」などの行為が有れば直ちにカミさんのきついお仕置きに合うのだ。
一郎は宴会で酒が入ると手近な女性に酒を強要する、そして直ぐに酒臭い息でシモネタ話をはじめる、それも品の悪い単刀直入な卑猥な言葉を使うから、ほとんどの女性に不快感をあたえてしまう

一郎が会長中は禁じ手のお触りに会う姥桜の被害者が続 出した。
その度に一郎はコニシキ・カミさんから、きつ~いお灸をすえられた
いくらカミさんにお灸をすえられても馬の耳に念仏・・本人に反省する気がないからどうにも止まらない。エロ喋り魔はついに老人会会員中の知ることとなり「エロ会長」のレッテルが貼られたのでした。

カミさんは、何時もダンス中は目を離さずに亭主を監視していた、飲み会では一郎の隣に座って常に挙動に注意をはらい続けた。

年月は流れた

会長在職も10年余り、一郎も老人会会長を辞め、その後5年で老人会も辞めた。

現在は、マダラボケ状態の87歳になっている
酒に侵されて脳細胞はかなり減少し衰えたが、相変わらず体は衰えを知らず健康そのものである
彼の肝臓は相変わらず元気にアルコールを要求し続け、衰えた脳細胞もH細胞だけは衰えていない。
一郎は認知症ではないが認知症のふりをするのが得意でカミさんを困らせる
そんな状態で相変わらず酒とH話以外には全く関心がないのである。   
カミさんが総理大臣兼、財務大臣だから毎月5千円の小遣いしか上げていない
ユエに、やむを得ず何も出来ないで無趣味なのだ

カミさんから晩酌には焼酎を一合限りと決められている。
若い頃は一升酒を呑んでいたから一合の焼酎は、どこにも足りない
無駄とは知りながらも「もっと酒を出せ!」と時々カミさんに空威張りをしてみせるがカミさんの権力が偉大なので毎度毎度一蹴にされて10倍もの理屈を付けて逆襲される

何で約束を守れないの、ダラしがない!大キライよ、もう寝なさい!!」
一郎はカミさんに何を言われても馬耳東風としてケロリとしている 

毎月貰う5千円の小遣いは全部、焼酎「大五郎」に化ける
買った宝物の如き「大五郎」はカミさんも「一合だけよ」とはいかず、体が心配だが有る程度自由に呑ませた。
大五郎が有るうちは朝から焼酎に漬かって至って上機嫌、我が世の春を楽しんでいる。

一郎は酒が入らない時はニコニコと好人物で、もの静か、借りてきた猫、、ただしアルコール依存症なので酒が入ると見違えるほど元気になって活き返る。

カミさんも、もう80歳を超えているから100キロ超級の体重に膝の関節が耐えきれず、かなり痛みが激しい、10年以上前から歩くのが不自由で歩けるのは家の中に限られている。
殆ど外出できない状態なので食品は宅配業者から届けてもらっている。
カミさんは一郎に買い物を頼みたいのだが現金を渡すと、その金で必ず盗み酒をするから頼まない。
「本当に役立たずなんだから!!」とカミさんが愚痴をいう

カミさんは歩くのに不自由なだけで口は相変わらず達者だ、年々口達者になっている、家事は殆ど一郎に指図をする

雨戸を開けて
掃除をして
茶碗を洗って
洗濯をして

やり方が悪いとカミさんに叱咤される
それでも一郎は飄々として鼻歌などを歌っている

一郎がカミさんを好きなのか、嫌いなのか、良く分からない
カミさんは明らかに亭主を好きだ、口でけなして心で褒める・・・それが本音だろう。
叱るのは愛情の表現なのだろうか、それにしては叱り方がきつ過ぎる。

寝室は二階が一郎、カミさんは一階に寝ている、二人が体を接している様子など勿論無い
かつての超豊満美の美肌?は消え失せて、湖面に打ち寄せるさざ波の様な顔の皺が痛々しいのである    


(2)かかぁ天下の訳

今のカミさんは後妻である。
前のカミさんは二人の幼い子供を残して32歳の若さで子宮癌の手遅れで亡くなってしまった。
癌と分かった時、6ヶ月になる赤ちゃんを身ごもっていた。

赤ちゃんを、堕しても、または生んでも、癌はもう転移していて手遅れの状態だった
前妻には癌である事は秘密だったので一郎は赤ちゃんを生ませることに決めていた。
無事に元気な赤ちゃんを出産して間もなく前妻は亡くなったのである。

夫に心配させまいと我慢したのが悪かった、出血が次第に多くなって、たまらず医者に診てもらった時はもう完全な手遅れの状態になっていたのである

前妻と後妻B子コニシキとは高校時代の親友だった
葬式の時、友人としてお別れにきた独身だった「B子」が一郎に会って一目惚れしたらしい

一郎は元々、超豊満な肉体美が好みだったらしい
なので二人の間は急接近していったのである。      

二人の子を抱え、勤めがあるので一郎には育てられない
やむを得ず遠方の母親が手伝いに来てくれていたが、老いた母親も長い間面倒をみるのが辛かった
そこに救世主として現れたのがB子こと後妻志願のカミさんだったのである

お互いに、願ったり叶ったり・・・間もなく簡単な結婚式を済ませ二人は一緒になった
一郎は産まれたばかりの赤ん坊を育ててもらった恩義を強く感じていた。

B子は32歳で体重が100キロ超級?美人でもなしだったが一郎に好意があると知り、押しかけるようにして後妻に収まったのである。
一郎も子育てはして貰えるし、好みの超弩級で豊満な白い肌は満喫できるし、ご満悦だったのである

そのカミさんに一郎は感謝した、そしてそれ以来づーっと頭が上がらない。
その後は気の強い、カミさんの意のままになったのでした。


贈る言葉
良いじゃ~ないの 幸せならば 

記入・・・2012年