最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

釈然としない 優性保護法判決2 争点と結論

2024-07-17 11:51:05 | 日記
4 所論は、最高裁昭和59年(オ)第1477号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2209頁(以下「平成元年判決」という。)その他の判例によれば、本件請求権は、改正前民法724条後段の期間の経過により消滅したというべきであり、原審の判断には同条後段の解釈の誤り及び判例違反があるというものである。
5 平成元年判決は、改正前民法724条後段の規定は、不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えが除斥期間の経過後に提起された場合には、裁判所は、当事者からの主張がなくても、除斥期間の経過により同請求権が消滅したものと判断すべきであって、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用であるという主張は、主張自体失当である旨を判示している。
しかしながら、本件の事実関係の下において、除斥期間の経過により本件請求権が消滅したものとして上告人が損害賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない。


損害は生殖機能の排除という形で確かに出ています。ですが、法をゆがめて正義を言うのは司法の判断の範囲を超えています。やるべきは政治で解決しなさいと意見を出すべきです。これが恣意的にできるとなると、何のための法律なのでしょうか?

6 ア 本件訴訟において、被上告人らは、本件規定は憲法13条14条1項等に違反しており、本件規定に係る国会議員の立法行為は国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと主張して、本件規定に基づいて不妊手術が行われたことにより第1審原告らに生じた損害の賠償を求めている。

イ 憲法13条は、人格的生存に関わる重要な権利として、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を保障しているところ(最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月25日大法廷決定・民集77巻7号1792頁参照)、不妊手術は、
生殖能力の喪失という重大な結果をもたらす身体への侵襲であるから、不妊手術を受けることを強制することは、上記自由に対する重大な制約に当たる。したがって、正当な理由に基づかずに不妊手術を受けることを強制することは、同条に反し許されないというべきである。


また出ましたね、この「令和2年(ク)第993号」判決。これが、男性が女性に性転換するときに生殖腺を切除することが条件でしたが、これを違法と判断したものです。全くこの判決のせいで、どんどん訳の分からない方向に解釈が進んでいます。

ウ 以上によれば、本件規定は、憲法13条及び14条1項に違反するものであったというべきである。そして、以上に述べたところからすれば、本件規定の内容は、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であったというべきであるから、本件規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けると解するのが相当である(最高裁平成13年(行ツ)第82号、第83号、同年(行ヒ)第76号、第77号同17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁参照)。

私も憲法違反だとは思いますが、だからといって時効成立しないというのは理屈に合いません。しかも、立法しなかったのは不法行為であるというのも司法の傲慢ではないですか?

結論
上記請求権が除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができると解するのが相当である。

大法廷 裁判官全員一致の意見でした。
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守 裁判官
草野耕一 裁判官
宇賀克也 裁判官
林 道晴 裁判官
岡村和美 裁判官
安浪亮介 裁判官
渡 惠理子 裁判官
岡 正晶 裁判官
堺 徹 裁判官
今崎幸彦 裁判官
尾島 明 裁判官
宮川美津子 裁判官
石兼公博 裁判官

全員無茶苦茶。明らかに司法の領域を越えて立法府に対して懲罰を加えており、小学校でも習う三権分立の範囲を超えています。

釈然としない 優性保護法判決1 事実認定

2024-07-15 11:19:23 | 日記
令和5(受)1319  国家賠償請求事件
令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

 1 優生保護法中のいわゆる優生規定(同法3条1項1号から3号まで、10条及び13条2項)は、憲法13条及び14条1項に違反する
2 上記優生規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける
3 不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる
4 同条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例


あまりにも有名な法律なので、ご存知の方もいるとは思いますが。
NHKの報道です
“旧優生保護法下で不妊手術強制” 最高裁大法廷で29日弁論

「旧優生保護法」は戦後の出産ブームによる急激な人口増加などを背景に1948年に施行された法律です。
法律では精神障害や知的障害などを理由に本人の同意がなくても強制的に不妊手術を行うことを認めていました。
当時は親の障害や疾患がそのまま子どもに遺伝すると考えられていたことが背景にあり、条文には「不良な子孫の出生を防止する」と明記されていました。
旧優生保護法は1996年に母体保護法に改正されるまで48年間にわたって存続し、この間に本人の同意なしに不妊手術が行われた人はおよそ1万6500人に、本人が同意したケースを含めると不妊手術を受けた人はあわせて2万5000人にのぼるとされています。


優性保護法の全文です
優生保護法2章 第二章 優生手術 (任意の優生手術)とあります。

NHKの報道は偏向報道そのものです。なので、NHKの報道はじめ「強制手術」という言葉が出てきたら、その報道はかなり恣意性が高い偏向報道だと思ってください。もし強制で同意なしでやった場合には、傷害罪ですから、個別に医師が処罰される案件です。

第五条 2項 前項の優生手術を受くべき旨の決定を受けた者の配偶者、親権者、後見人又は保佐人もまた、その再審査を申請することができる。

まずはこの条文を抑えた上で議論を見ていきましょう。

1 原告は優生保護法で不妊手術を受けた人です。
事実確認は次の通りです。

(1) ア 優生保護法は・・・優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする旨を定め、同法2条1項は、この法律で優生手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で命令をもって定めるものをいう旨を定めていた。そして、優生保護法施行規則(昭和24年厚生省令第3号)1条は、優生手術の術式として、精管切除結さつ法、精管離断変位法、卵管圧挫結さつ法及び卵管間質部けい状切除法を定めていた。

2条と14条で命令という言葉を使っていますが、(1)の文章だとその辺にいる不良品を見つけてしょっ引けみたいな印象になっていますね。これは申請があって、命令で本人の意志に関係なく手術実行ですから。

①本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの(1号)、②本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有しているもの(2号)とされたほか、同法中「都道府県優生保護委員会」が「都道府県優生保護審査会」に、同法4条中「申請することができる。」が「申請しなければならない。」に改められ、同法別表に掲げる疾病や障害の分類、名称等が改められるなどした。

都道府県優生保護委員会はどういう団体かというと18条で、以下のように定められています。
第十八条 中央構生保護委員会は委員三十人以内で、都道府県優生保護委員会は委員十人以内で、地区優生保護委員会は委員五人以内で、これを組織する。
2 各優生保護委員会において、特に必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 委員及び臨時委員は、医師、民生委員、裁判官、検察官、関係行政庁の官吏又は吏員その他学識経験ある者の中から、中央優生保護委員会にあつては厚生大臣が、都道府県優生保護委員会及び地区優生保護委員会にあつては都道府県知事が、それぞれ、これを命ずる。

都道府県優生保護審査会は、厚生省ができたときに名称が変わっただけのようです。問題はそこではなく、この判決文でも法令でも誰が申請するのかが明確ではないのです。診察した医者なのか、親権者なのか。

(2)昭和28年次官通知には、審査を要件とする優生手術について、本人の意見に反しても行うことができるものである旨、この場合に許される強制の方法は、手術に当たって必要な最小限度のものでなければならないので、なるべく有形力の行使は慎まなければならないが、それぞれの具体的な場合に応じては、真にやむを得ない限度において身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合があると解しても差し支えない旨等が記載されていた。

それは手術に抵抗する場合ですよね、申請はどうなんですか?

イ 日本弁護士連合会は、平成19年12月、上記報告につき、国は、過去に発生した障害を持つ女性に対する強制不妊措置について、政府としての包括的な調査と補償を実施する計画を早急に明らかにすべきである旨の意見を公表した。

日弁連は関係ないですから。意見を言うのは勝手ですが、それを参考資料として扱うのはどうかと。

(6)平成30年9月28日、被上告人X1、a、b及び被上告人X2が本件訴えを提起し、平成31年2月27日、被上告人X3が本件訴えを提起した。
上告人は、本件訴訟において、本件請求権は改正前民法724条後段の期間の経過により消滅した旨を主張した。


この判断は完全におかしいですね。文字通り読めば時効は成立していたはずです。政策的な意図を感じます。

(7)平成31年4月24日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」(以下「一時金支給法」という。)が成立し、一部の規定を除いて施行された。

あまりにも長いので、ここでいったん切ります。

酒気帯び運転で物損事故 悪質なので懲戒免職退職金なしは妥当 ただし岡裁判官はおかしい

2024-07-14 06:36:24 | 日記
令和4(行ヒ)319  懲戒処分等取消請求事件
令和6年6月27日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所
 飲酒運転等を理由とする懲戒免職処分を受けて地方公共団体の職員を退職した者に対してされた大津市職員退職手当支給条例(昭和37年大津市条例第7号。令和元年大津市条例第25号による改正前のもの)11条1項1号の規定による一般の退職手当の全部を支給しないこととする処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断に違法があるとされた事例

報道がないので、事実確認から見ていきます。

1 普通地方公共団体である上告人の職員であった被上告人が、飲酒運転等を理由とする懲戒免職処分(以下「本件懲戒免職処分」という。)を受けた

市役所職員が酔っ払い運転で逮捕、懲戒免職です。

退職手当管理機関である大津市長から、大津市職員退職手当支給条例(昭和37年大津市条例第7号。令和元年大津市条例第25号による改正前のもの)11条1項1号の規定により一般の退職手当の全部を支給しないこととする処分(以下「本件全部支給制限処分」という。)を受けたため、上告人を相手に、上記各処分の取消しを求める事案である。

改定後の大津市職員退職手当支給条例はあるのですが、前のものは見つかりませんでした。懲戒免職で全額退職金なしは厳しすぎるという訴えのようです。これって条例で決まっていますよね。就業規則と同じはずです。

(2)被上告人は、平成3年4月に上告人の職員に採用され、平成29年4月以降、総務部a課長の職にあった者である。被上告人には、本件懲戒免職処分を除き、懲戒処分歴はない。

おいおい、管理職ですか?そりゃ話になりませんがな。

(3)被上告人は、平成30年8月7日午後5時頃から午後10時30分頃まで自宅からの転居を予定していたマンションの一室において、同僚らを招いて飲食し、ビール及び酎ハイ各1本並びに発泡酒5本程度(いずれも350mL)を飲んだ。

これは人によって酩酊状態じゃないですか。

本件自動車の前部を駐車中の他の自動車(以下「被害自動車」という。)の前部に接触させてそのフロントバンパーを脱落させる事故(以下「第1事故」という。)を起こした。被上告人は、第1事故につき直ちに本件マンションの管理人や上司等の関係者に連絡することなく本件自動車の運転を続けたところ、さらに、本件自動車を道路の縁石に接触させ、縁石に設置された反射板をはがして本件自動車にオイル漏れを生じさせる事故(以下「第2事故」といい、第1事故と併せて「本件各事故」という。)を起こしたが、そのまま本件自動車を運転して帰宅した。

これはひき逃げに近いものがありますね。

(4)被上告人は、翌8日朝、本件マンションに赴き、管理人に第1事故を起こした旨を伝えるなどした後、警察に通報した。被上告人は、臨場した警察官に対し、当初、同日の朝に第1事故を起こした旨の虚偽の説明をしたが、警察官から前夜の事故ではないかと指摘を受け、その旨を認めた。

自首が成立するかは別として、きちんと警察に届けたと。しかし、自分でやったという自覚はあった訳ですね。これ直ぐに届けなければならない義務違反でしょう。

被上告人は、上司に電話して第1事故を起こしたこと等について報告し、後日、本件各事故に係る物的損害について被害弁償を行った。

人として最低限のことはやったということですね。

(4)市長は、被上告人に対し、平成30年10月12日付けで、被上告人が同年8月7日に飲酒した上で本件自動車を運転し、本件駐車場内で被害自動車に接触し、その後必要な措置をとることなく、公道を走行して帰宅したこと(以下「本件非違行為」という。)を理由として、本件懲戒免職処分をした上で、一般の退職手当(1620万4488円)の全部を支給しないこととする本件全部支給制限処分をした。

規則もあるし、こういうアホなことをする人を役所においておけないでしょう。当然の判断です。そして。こいつだけではなく防止策でもあるわけで当然の判断だと思います。

ところが最高裁判所はとんでもないことを言い出します。
(1)懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当について、退職手当支給制限処分をするか否か、これをするとした場合にどの程度支給しないこととするかの判断を退職手当管理機関の裁量に委ねているものと解され、その判断は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に、違法となるものというべきである(最高裁令和4年(行ヒ)第274号同5年6月27日第三小法廷判決・民集77巻5号1049頁参照)。

こういうトンデモな事件と判例があった場合は、当然このブログで書ているはずなのですが。と探してみたら、ありました。

酒気帯び物損事故の先生、退職金0は権利の濫用ではない

実にとんでもない裁判でした。この理屈なら、逮捕歴もないこのブログ主が缶酎ハイ飲んで裁判官の実家に突入してみましょうか。物損で済めば大したことはないということになりますよ。これは明らかに犯罪を誘発する判断結果で、今回の判断もその匂いがしてきました。

(2)前記事実関係等によれば、被上告人は、長時間にわたり相当量の飲酒をした直後、帰宅するために本件自動車を運転したものであって、2回の事故を起こしていることからも、上記の運転は、重大な危険を伴うものであったということができる。・・・、本件非違行為の態様は悪質であって、物的損害が生ずるにとどまったことを考慮しても、非違の程度は重いといわざるを得ない。また、被上告人は、本件非違行為の翌朝、臨場した警察官に対し、当初、第1事故の発生日時について虚偽の説明をしていたものであり、このような非違後の言動も、不誠実なものというべきである。

あれだけ飲めば、悪質だと言われトンヅラこいたわけですから、そりゃ不誠実の評価で当然でしょう。

これらの事情に照らせば、本件各事故につき被害弁償が行われていることや、被上告人が27年余りにわたり懲戒処分歴なく勤続し、上告人の施策に貢献してきたこと等をしんしゃくしても、本件全部支給制限処分に係る市長の判断が、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできない。

お!今回は全額不支給を認めるんですね。


裁判官岡正晶の反対意見
1本件全部支給制限処分が、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできないとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄するとの多数意見には賛同することができない。

いきなり対決姿勢ですね。

2 個々の事案ごとに、退職者の功績の度合いや非違行為の内容及び程度等に関する諸般の事情を総合的に勘案し、給与の後払的な性格や生活保障的な性格を踏まえても、当該退職者の勤続の功を抹消するに足りる事情があったと評価することができる場合に、一般の退職手当の全部を支給しないこととする処分を行うことができる旨を規定したものと解される(前掲最高裁令和5年6月27日第三小法廷判決参照)。

先のクソ判決を悪用した意見が出てきましたよ。

3 地方公務員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならず(憲法15条2項、地方公務員法30条)、また、その職の信用を傷つけたり、地方公務員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない義務がある(同法33条)など、地方公務員の地位の特殊性や職務の公共性が重視されることは当然であるが、地方公務員も勤労者であり生活者であることも軽視されるべきではない。

分かってませんね、田舎の公務員は特権階級なんですよ。民間ではこういう事故を起こせば懲戒免職は普通にあります。もっと現場を調べなさい。

4 一般の退職手当に給与の後払的な性格や生活保障的な性格があることに着目し、この観点から、被上告人の過去の勤続の功をみると、被上告人は平成3年4月1日以降本件懲戒免職処分時まで27年余りの長期にわたって上告人に勤続し、同処分以前には懲戒処分歴はなく、平成29年4月1日以降は総務部a課長という管理職を務めていた。同処分時点で退職した場合の一般の退職手当の金額は1620万4488円であった。被上告人のこの過去の実績ないし功績は相応のものであって重視されるべきものと考えられる。

決してはした金じゃないですよ。じゃあ働き始めて5年目で退職金が100万円だったら召し上げでいいんですか?そもそも退職金を道楽に使ってすってんてんになるような人もいますし、そんなもん貰わなくってもやって行けるように貯めている人もいます。こんな理屈にもならんことを言うな!

その根絶が社会全体の課題とされて久しい飲酒運転を行ったものであり、これ自体到底許されることではない。態様は悪質であって非違の程度も重いと評価でき、翌朝の対応も不誠実であり、被上告人が管理職である課長の職にあったことから、上告人の公務の遂行に相応の支障を及ぼし、上告人の公務に対する住民の信頼を大きく損なったと認められる。これらの事情は、勤続報償の対象となるだけの公務への貢献を行わなかったものと評価することができるものであり、

そもそも酔っ払い運転をしなければいいだけの話です。そんなに難しい話ですか?

裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶  トンデモクソ意見
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子

岡裁判官だけがトンデモで後は妥当な判断だと思います。

公聴会を開くべきだ 工事なしの性転換を認めた裁判官が最高裁裁判所長官に

2024-07-13 06:46:33 | 日記
このブログではかねてから主張していますように、最高裁の裁判官に任命されるときに公聴会を開くべきであります。なぜならば、私生活からこれまでの判決まで、きちんとした仕事をしてきたのかを判断する最後のチャンスだからです。今の制度では、お上が決めたことにモノ申すな!の方針が露骨で、国民審査制度が事実上機能していないことを考えると、とんでもないのが入ってくることを防止できないからです。

例えばこの人。

最高裁長官に今崎幸彦氏指名へ 経産省トイレ制限訴訟で裁判長
政府は9日の閣議で、8月10日に定年退官する戸倉三郎・最高裁長官(69)の後任となる第21代長官に、今崎幸彦(ゆきひこ)・最高裁判事(66)を指名することを決めた。発令は同月11日以降で、任期は2027年11月まで。長官交代は22年以来となり、裁判官出身の長官は13代連続。
 今崎氏は刑事裁判の経験が長く、司法行政の中枢ポストも歴任。最高裁ではトランスジェンダー女性の経済産業省職員が起こした訴訟で、最高裁第3小法廷の裁判長として23年7月に女性トイレの利用制限を認めない判決を言い渡した。


しかも、一度国民審査で落とされないと信任を得られたとして、そのあと何回衆議院選挙があっても審査の対象外になります。おかしいでしょう?そもそも、最高裁の裁判官になる時点で国民の審査を受けない訳ですから、訳の分からない判決がどんどん出てきます。そしてこの人はいまや最高裁判所の長官です。

今崎幸彦氏の裁判官情報ですこのリンク先には主な裁判と恣意的に選ばれていますが、このブログで取り上げたのは以下の通りです。

児童ポルノが強制性交にも該当するケース、但し判決が雑
論理に飛躍判決:青色申告の承認の取消処分は憲法31条に反しない
被疑者を勾留するのに事件を言わなくてよい:事例なら事実認定しろよ
技能実習生の指導員の残業代支払え、みなし残業代は駄目よ
医療法人の臨時総会については一般法人の基準を類推適用しません
同性愛カップルも事実婚を認め犯罪給付金を言支給せよ
死んで10年経って相続が完了してようが、遺言書が出てきたらやり直せ
 消費者裁判手続特例法の適用がおかしくないか?
トンデモ判決 無灯火でも見張りが不十分なのが悪いんだもん
トンデモ判決 自動取引FXのDVDの返金要求
トンデモ判決、夜間無灯火の船と慣例に反して大回りした船の衝突:何故か両成敗
名張毒ぶどう酒事件は再審不可
トンデモ 選挙違反で当選無効、でも政務活動費は返納する義務なし
わけ分からん死刑判決
トンデモ判決:工事済みでもないのに女扱いしろ 2
トンデモ判決:工事済みでもないのに女扱いしろ 4
土地の時効取得、一筆丸ごとは駄目よ
公訴提起が権限がないから裁判は無効
臨時国会開催要求が遅れたのは国家賠償の対象ではない
酒気帯び物損事故の先生、退職金0は権利の濫用ではない
妥当判決:非上場だから値引き、譲渡制限があるからさらに値引きは駄目
大阪市条例により住宅から300m以内に墓場を作るな
意味不明判決 でんさいの仮差押えが債権額を超過したので取り消す
金沢市役所の隣の公園は市の施設と一体化しているのでデモをするな
給料のファクタリングは貸金業扱い
破産手続き中に期限がきたからといって根抵当の設定の時効にならない
当然判決 一票の格差 ただ宇賀地裁判官の意見が酷すぎる
手抜き判決文:子供の引渡し判決、子ども本人の拒否に間接強制はできない

トンデモ判決 高裁 工事なし戸籍上の性別変更

2024-07-10 18:07:50 | 日記
読売新聞の報道です。

男性から女性への戸籍上の性別変更、手術なしでも認める高裁決定…申立人「願いがやっとかなった」
 性器の外観を変える手術をせず、戸籍の変更に必要な性同一性障害特例法の要件のうち「変更後の性別と近い性器の外観を持つ」(外観要件)とする規定を満たさないとされた当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた家事審判で、広島高裁は10日、性別の変更を認める決定をした。
広島高等裁判所
 最高裁大法廷は昨年10月、性同一性障害特例法で生殖能力をなくす手術を事実上の要件とする規定について、「手術を受けるか性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫るもので、制約の程度は重大だ」とし、違憲とする決定を出した。その上で、外観要件については「2審で判断されていない」とし、審理を高裁に差し戻していた。
 代理人弁護士によると、申立人は西日本在住で50歳未満の社会人。2009年に性同一性障害の診断を受け、戸籍上は男性で、女性として社会生活を送っている。
性別適合手術は受けていない。

続いてNHKの報道です
男性から女性 戸籍上の性別変更 手術なしで認める決定 高裁
このうち生殖機能の手術については、この当事者の申し立てを受けて最高裁判所が去年10月、体を傷つけられない権利を保障する憲法に違反して無効だという判断を示しました。
一方、外観の手術については最高裁が審理をやり直すよう命じ、広島高等裁判所で審理が続いていました。
10日の決定で、広島高等裁判所の倉地真寿美裁判長は外観の要件について「公衆浴場での混乱の回避などが目的だ」などとして正当性を認めましたが、「手術が常に必要ならば、当事者に対して手術を受けるか、性別変更を断念するかの二者択一を迫る過剰な制約を課すことになり、憲法違反の疑いがあると言わざるをえない」と指摘しました。
そして「他者の目に触れたときに特段の疑問を感じない状態で足りると解釈するのが相当だ」と指摘し、手術なしでも外観の要件は満たされるという考え方を示しました。
その上で、当事者がホルモン治療で女性的な体になっていることなどから性別変更を認めました。


どうしてこれが憲法違反になるのか全く分かりません。とんでもないのを最高裁判事に選んだものです。さらに外見がと言いますが、何センチ以下とか、機能不全になっているとか、客観的基準がありませんよね。これではどんどん拡大されますよ。本当に最高裁の司法の傲慢さが招いた結果です。

トンデモ判決論理無茶苦茶 住宅供給公社の家賃は借地借家法に従え

2024-07-07 09:09:05 | 日記
令和4(受)1744  賃料減額等請求事件
令和6年6月24日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
 地方住宅供給公社が賃貸する住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用がある。

毎日新聞の報道です
住宅供給公社の一方的な家賃値上げ「入居者争える」…最高裁が初判断
地方住宅供給公社が管理する住宅の家賃を巡り、入居者が金額を争うことができるかが争点となった訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は24日、入居者が賃料を争うことができると定めた借地借家法が適用されるとの初判断を示した。公社による賃料の一方的な値上げに対し、入居者が争えるようになる。
 原告は、神奈川県住宅供給公社(横浜市)が管理する共同住宅の入居者ら8人。同公社が2004~18年、月額約3万~5万円の家賃を一方的に約6万~8万円に引き上げたとして、増額分の返還を求めて提訴した。


事実確認を見ましょう。
(1)被上告人は、地方住宅供給公社法にいう地方住宅供給公社である。

神奈川県の住宅供給公社です。

(2)平成16年4月から平成30年4月までの間、おおむね3年ごとに、上告人らに対し、前記の各室の家賃を改定する旨を通知した。その結果、月額3万9530円ないし5万6350円であった家賃は、最終的に月額6万1950円ないし8万6910円になるものとされた。

15年の間に倍近い値段になったということですね。場所にもよりますけど、4万円から6万円で横浜市に住めること自体優遇されてますね。住宅供給公社と使命ですから、そうなんでしょう。

家賃の額の確認を求めるとともに、変更後の家賃を支払ってきたことを理由に不当利得返還請求権に基づいて過払家賃の返還等を求めるものである。

この値上げが異常に急すぎるということで、払い過ぎているんだから返せと訴訟になりました。いやいや、払えているんですよね?既に払っているんですよね?この法律は福祉目的でやっていることで、金儲けじゃないんです。ということは周辺の不動産に大きく影響を与えるんですよ。


最高裁は
地方公社は、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に居住環境の良好な集団住宅を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することなどを目的とする法人であり(公社法1条、2条)、その目的を達成するため、住宅の賃貸を含む所定の業務を行うことができるものとされている(公社法21条1項、3項)。

今の横浜に必要なんですかね、という政策的な観点はおいといて、法の目的がこういう事情なので安く提供しろという趣旨のようです。

地方公社の上記業務として賃借人との間に設定される公社住宅の使用関係は、私法上の賃貸借関係であり、法令に特別の定めがない限り、借地借家法の適用があるというべきである。

随分唐突ですね。先の文章との間に何もなくいきなりこの文章です。なぜ借地借家法が妥当であると考えるのか、その理由が分かりません。借地借家法は、基本的には民間の大家さんが一般人に貸すときのトラブル防止を目的としています。一方、住宅供給公社法は福祉を目的としています。一緒にします?秋からかにおかしいですよね。

公社住宅の使用関係について借地借家法32条1項に対する特別の定めがあるかをみるに、公社法は、地方公社において住宅の賃貸等に関する業務を行うには、住宅を必要とする勤労者の適正な利用が確保され、かつ、家賃が適正なものとなるように努めなければならないことなどを規定した上(22条)、上記業務を行うときの基準について、「他の法令により特に定められた基準がある場合においてその基準に従うほか、国土交通省令で定める基準に従つて行なわなければならない。」と規定する(24条)。

ここでいう適正金額って何でしょうか?民間と同じ金額ベース?福祉だから若干安く?であるならば、若干とは何%引き迄許すのか?そもそも、公社は県営ですから、血栓が出たら市民の税金から捻出するんですよ。財政に影響を与えるんです。ならば市営でいいでしょう。

公社規則16条2項は、公社法24条の委任を受けて、「地方公社は、賃貸住宅の家賃を変更しようとする場合においては、近傍同種の住宅の家賃、変更前の家賃、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めるものとする。この場合において、変更後の家賃は、近傍同種の住宅の家賃を上回らないように定めるものとする。」と定める。

ですよね。半径500mの家賃の平均値としましょうか。その平均を越えないようにしなさいという上限がついています。一方下限はついていません。これは民業圧迫の法律ですよね。市営住宅ではなくあくまでも公社の住宅ですからね。

公社法の上記各規定の文言に加え、地方公社の上記目的に照らせば、公社法24条の趣旨は、地方公社の公共的な性格に鑑み、地方公社が住宅の賃貸等に関する業務を行う上での規律として、他の法令に特に定められた基準に加え、補完的、加重的な基準に従うべきものとし、これが業務の内容に応じた専門的、技術的事項にわたることから、その内容を国土交通省令に委ねることにあると解される。

この裁判官は不動産投資をそたことないのでしょう。不動産鑑定士なる職業もありますけど、彼らが設定する金額と実勢価格、賃貸相場はかなり乖離があります。結局のところは貸せるか貸せないかで決まってくるんですよ。

そうすると、当該省令において、公社住宅の使用関係について、私法上の権利義務関係の変動を規律する借地借家法32条1項の適用を排除し、地方公社に対し、同項所定の賃料増減請求権とは別の家賃の変更に係る形成権を付与する旨の定めをすることが、公社法24条の委任の範囲に含まれるとは解されない。

また無茶苦茶なことを言い出しますね。そもそもこの法律の所管省庁ってのがあるでしょう。そこの所管だと言えば済むはずなのに、論理展開がどうなの?レベルです。

結論
公社住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用があると解するのが相当である。

裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子

反対意見も補足意見もないようです。論理展開が無茶苦茶です。
何かここ最近の判決を見ると、日本が共産主義なのか資本主義なのか分からない、福祉の範囲を拡大解釈しすぎる傾向があります。その費用は国民が負担することをお忘れなく。本来は行政が決めることを、こうやって司法が事実上支配していることもお忘れなく。

釈然としない判決 性転換後凍結精子で生まれた子は嫡出子

2024-06-29 08:08:07 | 日記
令和5(受)287  認知請求事件
令和6年6月21日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
 嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法令の規定の適用の前提となる性別にかかわらず、認知を求めることができる

時事通信の報道です
子の認知請求、6月判決=親が性別変更後に誕生―最高裁
 性同一性障害で男性から性別変更した40代女性が、変更前の凍結精子を用いて女性パートナーとの間にもうけた次女から親子関係の認知を求められた訴訟の上告審弁論が31日、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)で開かれた。女性、次女側双方が意見を述べ結審。判決期日は6月21日に指定された。
 弁論は二審の結論変更に必要な手続きで、親子関係を否定した東京高裁の判断が見直される可能性がある。生物学上の父が性別変更後に子をもうけたケースで、最高裁が親子関係の成否を判断するのは初めて。
 次女の代理人弁護士は「認められなければ、子(次女)は親に対して扶養請求権、相続権などさまざまな権利を行使できないことになる」と主張。女性も「(次女側の請求を)認めることを求める」と述べた。


NHKの報道です
性別変更後に凍結精子で生まれた子と親子関係認める 最高裁
21日の判決で最高裁判所第2小法廷の尾島明裁判長は「親子に関する法制度は血縁上の関係を基礎に置き、法的な関係があるかどうかは子どもの福祉に深く関わる。仮に血縁上の関係があるのに親権者となれないならば、子どもは養育を受けたり相続人となったりすることができない」と指摘しました。
その上で、裁判官4人全員の意見として「戸籍上の性別にかかわらず父親としての認知を求めることができる」という初めての判断を示し、性別変更後に生まれた次女との親子関係を認めました。
今後の親子関係や性別に関する議論に影響を与える可能性があります。


これは法の不備というところでしょうか。こういう問題を起こさせないためにも、性別変更したら直ちに凍結精子はは生きずべきですし、性自認だけで性別変更も認めるべきではありませんでした。最高裁判決令和2(ク)993  性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件の判決が招いた結果です。トンデモ判決工事なしで性別変更可1で詳しく書きました。

では事実認定から見ていきます
1(1)被上告人は自己の精子を凍結保存した。
(2)被上告人は、平成▲年、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項に基づく性別の取扱いの変更の審判を受け、法令の規定の適用の前提となる性別を男性から女性へと変更した。
(3)上告人の母は、被上告人の同意の下で上記精子を用いた生殖補助医療により懐胎し、令和▲年▲月▲日に上告人を出産した。上告人は、上告人の母の嫡出でない子である。


分かりにくいので解説します。上告人は元男、上告人は元男の子供です。子どもは婚外子です。

(4)被上告人は、▲年▲月、Aに上告人に係る胎児認知の届出をしたが、被上告人の法的性別が女性であることなどを理由に当該届出は不受理とされた。

同性婚は認められておりませんので、私生児ということになります。なので、元男に親として登録したいと役所に行ったところ、書類受付を拒否されました。

最高裁の判断は
民法その他の法令には、認知の訴えに基づき子との間に法律上の父子関係が形成されることとなる父の法的性別についての規定はないところ、平成16年に特例法が施行されるまで、法律上の父となり得る者の性別が例外なく男性であることにつき疑義が生ずる状況にはなかった。・・・上告人との間に血縁上の父子関係を有しているものの、その法的性別が女性である被上告人に対し、上告人が認知を求めることができるか否かが問題となっている。

それはそうです。訴えられた内容だけ判断していますけど、極端な話自分のクローンを作った場合、親は誰になるのかのこともかかわってきますよ。その辺は充分に考慮入れてます?判決がその後の判断に大きく影響しますからね。

生物学的な男性が生物学的な女性に自己の精子で子を懐胎させることによって血縁上の父子関係が生ずるという点は、当該男性の法的性別が男性であるか女性であるかということによって異なるものではない。

早速でたらめ論法が出ました。だとしたら、預かっている冷凍精子を誰かのものと間違えた場合、勝手に売り飛ばした場合、これが考慮されていません。

実親子関係の存否は子の福祉に深く関わるものであり、父に対する認知の訴えは、子の福祉及び利益等のため、強制的に法律上の父子関係を形成するものであると解される。

心理的な親と生物的な親をごっちゃにしてませんか?法的親子関係、つまり扶養義務を果たさせるだけの親子関係ですか?
これまで子の認知について、生物学的要するに近親婚を避ける目的は議論された試しがありません。今回もそんな感じです。

特例法3条1項3号は、性別の取扱いの変更の審判をするための要件として「現に未成年の子がいないこと。」と規定しているが、特例法制定時の「現に子がいないこと。」という規定を平成20年法律第70号により改正したものであり、改正後の同号は、主として未成年の子の福祉に対する配慮に基づくものということができる。

確かに胎児でも厚生労働省の通知によって、妊娠満22週未満は人間として扱われませんので、精子は受精すらしていない状態なのでこの条件はクリアします。ですが、釈然としませんね。元男が女であるという自認するようになった。でも自分の子供が欲しい。これはあり得ますが、だからといって自分の精子で人工授精でというのは釈然としません。

その者の法的性別が女性であることを理由に妨げられると解すると、かえって、当該子の福祉に反し、看過し難い結果となることは上記のとおりである。

あれ?法的手続きで養子になることは可能なはずですよ。生物学的に親と認めるかどうかはこれまで最高裁では判断していません。この福祉を重視するのであれば、養子であることは何の不利があるのでしょうか?

結論
嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法的性別にかかわらず、認知を求めることができると解するのが相当である。

論理に飛躍がありますね。

裁判官三浦守の補足意見
特例法3条1項4号は、性別の取扱いの変更の審判の要件として「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」と規定している。この規定は、最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月25日大法廷決定・民集77巻7号1792頁により違憲無効であるとの判断が示されたものであるが、もともと、性別変更審判を受けた者について変更前の性別の生殖機能により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じさせかねないこと等の配慮に基づくものと解される。・・・同号は、性別変更審判前に凍結保存した精子の使用を含め、性別変更審判後に生殖補助医療の利用により子が生まれる可能性を否定していないことが明らかであり、上記大法廷決定にかかわらず、同号の存在が、法的性別が女性であることを理由として認知の訴えに基づく法律上の父子関係の形成を妨げる根拠となるものとは解されない。

ならば生物学的に証明されていることが絶対条件だとすべきじゃないですかね。今後の判決もこれに倣うべきです。

他方で、実親子関係に関する法制が身分法秩序の根幹に関わるものであって、生命倫理、子の利益、家族の在り方等について様々な議論があることから、上記法整備には一定の時間を要することもやむを得ない面がある。しかし、法整備の必要性が認識される状況にありながら20年を超える年月が経過する中で既に現実が先行するに至っている。具体的な事件における事実関係を踏まえ、現行法の適切な解釈に基づく法律判断を行って事件を解決することは、裁判所の責務である。

ということは、そもそも立法府がやってこなかったのが責任だし、今回は暫定提起に判断しておくっていう言い訳ですね。

裁判官尾島明の補足意見
特例法の制定時から、
①特例法の施行前に生まれた嫡出でない子について、男性から女性に性別の取扱いの変更をした者が認知をし、又は上記の子がその者に認知を請求する可能性、
②本件がそうであるように、性別の取扱いの変更前に精子を凍結保存した者が同変更後にその精子を用いた生殖補助医療により子をもうけた場合にその子の認知が問題になる可能性があったのであり、
特例法の立案に関与した者もごく例外的にはそのような事態があり得ることは認識していたことがうかがわれる。

この意見はすっきりしますね。男のときにあっちこっちで子供を作っておいて、やっぱり女だったわと性転換を認められたとします。その申請が通った後に、子ども認知することもあり得ますよね。そうすると法律がし分科する可能性があります。この危険性を言ってます。

残存する生殖能力により生物学的な父として子をもうける可能性も、極めてまれなことであると考えられるが、生じてきている。

希な事じゃないと思いますよ。むしろ、性自認によって性別変更可能と判断が出たわけですから、ますますこの可能性が高くなります。

1 民法の実親子に関する法制は、血縁上の親子関係を基礎に置いているというのが、当審の判例(最高裁平成16年(受)第1748号同18年9月4日第二小法廷判決・民集60巻7号2563頁、最高裁平成18年(許)第47号同19年3月23日第二小法廷決定・民集61巻2号619頁参照)であって、本判決の法廷意見がその民法の基本法制の原則に反するということはない。

上告人のような子による認知の訴えが認められると子の成長や発達に特段の問題が生ずるということを具体的に示す報告等が存在することはうかがわれず、その認知を認めることによって子の福祉に対する弊害が生ずるということは困難である。

子供の将来のことなんぞ分かりませんから、それはその通りでしょう。ただ子の福祉とはどこまでを考えるべきなのか、この議論がないのが気になりますね。

 その訴えを認めないこととし、法的性別の取扱いを男性から女性へと変更した血縁上の父が親権者・監護者となる可能性、その父又は父方の親族から扶養を受けられる可能性及びその父又は父方の親族の財産を相続する可能性を子から一律に奪うことが子の福祉に反することは明らかである。

これはおかしくないですか?元男も自分の子として認めろと言ってるわけで、養子縁組でも可能ですよ。

3 未成年の子がいないことを性別の取扱いの変更の審判をするための要件としているのであるが、これは飽くまでも同審判時における要件であって、同審判確定後に未成年の子との間で親子関係が生ずることが3号規定ないし3号規定の趣旨・目的によって直ちに制限されるものとは解されない。

なぜ「解すされない」とするのか説明がありません。

「現に子がいないこと。」を要件としていた平成20年法律第70号による改正前の3号規定は、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」を要件とする4号規定と共に、「法的性別が女性である法律上の父」や「法的性別が男性である法律上の母」が生じて法律上の父母という属性と男性、女性という法的性別との間に不一致が生ずると家族秩序に混乱を生じさせるおそれがあるとして、上記不一致の発生を抑止することをその趣旨・目的としていたものと解される。

逆読みすると、今は子供がいないけど将来子供ができることを排除しないということですよね。これって死文化って言いませんか?

4 本件は、被上告人と上告人の母とが子をもうけることを目的として生殖補助医療を受けたという事案であって、本判決は、上記の問題について一定の結論をとることを前提にするものではない。

これは意見じゃ駄目ですよ、判決文に載らなきゃ。

裁判長裁判官 尾島 明
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美

なんかパッとしませんね。本当の論点は子の福祉だというのであれば、嫡出非嫡出の区別をしてはならないという判決は出ています。なので、その点は全く論点違いでしょう。生物学的つながりを根拠にするのであればまだマシですが、思いっきり条文を死文化します。何かすっきりしませんね。仮に、これが元男が嫌がっていたのに勝手に子供を産んだとなると、これはどうなりますの?それでも嫡出子にするんですか?この判断だとそうなりますよ。

不当判決 刑務所に入りたいからトラックで2人ひき殺すが死刑にならない

2024-06-25 08:33:20 | 日記
令和5(あ)292  窃盗、道路交通法違反、殺人被告事件
令和6年5月27日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  仙台高等裁判所
 被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例

ひき逃げ殺人、無期懲役確定へ=検察の上告棄却、一審死刑―最高裁
福島県三春町で2020年5月、男女2人を故意にトラックではねて殺害したとして、殺人罪などに問われた無職、盛藤吉高被告(54)について、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は27日付で、検察側の上告を退ける決定をした。一審の死刑判決を破棄して無期懲役とした二審仙台高裁判決が確定する。裁判官5人全員一致の意見。

「ただただ悔しい…」“ひき逃げ殺人事件”被告の「無期懲役」が確定へ【福島】
はねられて亡くなった遺族の1人は、中テレの取材に対し「ただただ悔しい」と述べています。
裁判員裁判の死刑判決を破棄し、無期懲役とした高裁判決が確定するのは8件目です。


事実認定から見ていきます。

服役を終えたばかりの被告人が、新しい人間関係、なじみのない土地及び未経験の仕事等への不安から、罪を犯して刑務所に戻りたいと考えるうちに、長く刑務所にいるためにトラックを2名くらいに衝突させて逃げようと考えるに至り、準中型貨物自動車を窃取してこれを無免許運転し、その際、殺意をもって、対向歩行中の被害者A及びBに同車を衝突させ、Aをはね飛ばし、Bを転倒させ轢過して、両名を殺害した上、負傷者の救護も警察官に対する事故の報告もしなかった、という事案である。

無免許運転で故意に殺害したわけですね。

罪を犯して刑務所に戻りたいなどという動機は極めて身勝手かつ自己中心的であり、また、その手段として他人の生命を侵害する犯罪を選んだのは、生命軽視の度合いが大きく、厳しい非難が向けられるべきである。

しかも動機が刑務所に戻りたいと。この時点で、本人に殺意があったかどうかは別として、外形的に中型トラックで人を追い回して轢いたとなれば、これは殺人の意志があったと見えられて当然です。しかも2名殺害したとなると、永山基準でも死刑相当になりますね。

ところがです
被告人は、長い期間刑務所に入ろうと考えて、トラックを盗み出し2名くらいの歩行者に衝突させて逃げようとの漠然とした計画は立てていたものの、それ以上に確実な殺害を企図して具体的な犯行を想定し準備をしていたとは認められず、また、実際の犯行も、トラックを運転し、対向して歩いてきた被害者らを一度にはねた後、そのまま走り去るというものであった。そうすると、本件は、被告人が、被害者らの殺害それ自体を目的としてこれを意欲し、人の生命を奪うための綿密な計画や周到な準備に基づき、殺害を確実に遂げるべく実行した犯行とはいえず、被告人の生命軽視の度合いが甚だしく顕著であったとまではいうことができない。

どうやったらこの裁判官たちはこういう思考になるのでしょうか?しかも、補足意見も反対意見もなし。

第1審の死刑判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した原判決が、刑の量定において甚だしく不当であってこれを破棄しなければ著しく正義に反するものということはできない。

無期懲役とは言え20年もすれば出て来るんですよ。54歳ですから74歳ぐらいで出てきます。この年齢でこの行動ですがから、一生変わらないでしょう。今度は強盗か放火でもやるでしょうね。その頃にはこの裁判官は全員あの世でしょう。実に無責任な判断をしたもんです。
しかも裁判員裁判をひっくり返すって、司法の傲慢さ以外ありえません。これなら最高裁に裁判員を入れるべきです。

裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 宮川美津子

全員ふざけるな。

意見:少年法は不要である

2024-06-22 09:28:31 | 日記
産経新聞の報道です
高校で休み時間中に同級生を刺した疑い、16歳の男子生徒を逮捕 背中から出血 埼玉・本庄
21日午前9時55分ごろ、埼玉県本庄市の高校で休み時間中に男子生徒(16)が背中と腰を刺された。約1週間の軽傷で命に別条はない。本庄署は、この生徒をはさみで刺したとして、殺人未遂容疑で同じクラスの男子生徒(16)=同県桶川市=を逮捕した。署は2人の間に何らかのトラブルがあったとみて捜査する。

読売新聞の報道です
はさみで同級生の背中刺した高校生を殺人未遂容疑で逮捕…埼玉県警
男子生徒は背中に軽傷。調べに対し、「はさみで刺したが、殺すつもりはなかった」などと容疑を一部否認しているという。

はさみで背中を刺す、充分に殺傷能力がありますよ。少年法では18歳未満は非公開の裁判で少年院送りになります。大人の犯罪者と一緒に収監するのはどうかとは思いますが、少なくとも殺人未遂レベルの凶悪な粗暴犯を行ったというのは、少年法で守る必要はないと思います。

中学校卒業すればすれば、少なくともやっていいこと刑事事件上の悪いことの善悪が判断できます。にもかかわらず、精神的に未発達であるからと別扱いするのは問題があります。いつまでも子ども扱いするから子供のままであるのです。少なくとも江戸期には16歳では元服していました。
精神は未発達だとしても、肉体は立派に大人です。衝動的にやったとするならば、ますます自己制御ができない人間ですので、厳罰に処するべきじゃないでしょうか。

児童ポルノが強制性交にも該当するケース、但し判決が雑

2024-06-21 19:56:49 | 日記
令和5(あ)1032  強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制性交等未遂、強制性交等被告事件
令和6年5月21日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

児童に児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造したという事実について、当該行為が同法7条4項の児童ポルノ製造罪にも該当するときに、同条5項を適用することの可否

今回は気持ち悪いというか吐き気がする内容です。

弁護人奥村徹の上告趣意のうち、大阪高等裁判所令和4年(う)第758号同5年1月24日判決・判例タイムズ1512号136頁を引用して判例違反をいう点について

よく判例タイムズが出てきますが、これってよく分かりません。判決文でもないものがなんで引用されるのか。しかも、どういう趣旨の内容なのかもわかりません。何なんですかね。

原判決は、就寝中の被害児童(当時10歳)に対する強制わいせつ、強制性交等未遂及び強制性交等の各犯行の機会に同児童に児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造したという各児童ポルノ製造の事実について同法7条5項を適用した第1審判決を是認した。
この判断は、児童に対する強制わいせつ、準強制わいせつ及び強制性交等の各犯行の機会に同児童に姿態をとらせ、これを撮影するなどして児童ポルノを製造した場合には、児童が就寝中等の事情により撮影の事実を認識していなくても、児童ポルノ法7条4項の児童ポルノ製造罪が成立し、同条5項は適用されないとした所論引用の判例と相反する判断をしたものというべきである。


法令通り違反しているわけで、15歳未満は同意がとれていても強制性交になりますので、当然の判断です。

裁判官全員一致
裁判長裁判官 今崎幸彦
裁判官 宇賀克也
裁判官 林道晴
裁判官 渡 惠理子

うーん、何が論点なのかさっぱりわかりません。判例タイムズの記事をもう少し引用する成り、主張をまとめるなりするべきでしょう。相変わらず雑ですね。

これは国家賠償ではなく個人賠償にして欲しい

2024-06-18 18:26:31 | 日記
無罪確定の元社長に検事からの謝罪なし 証人尋問を終えて元社長「被疑者に本当のことを話せと言うのに、なぜ彼らは本当のことをしゃべらないのか」

冤罪だった元社長に検事からの“謝罪”は最後までありませんでした。
 「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん(61)は、学校法人の土地取引などをめぐる巨額横領事件に関与したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、3年前の2021年に無罪が確定。国に賠償を求める裁判を起こしています。
 裁判では当時取り調べをした特捜部検事らが出廷。6月18日、主任検事は山岸さんの無罪判決についてこう述べました。
 (当時の主任検事)「証拠や事実関係に照らして有罪判決が得られると判断して(山岸さんを)起訴したが、結果として無罪判決が出たことは真摯に受け止めています」
 真摯に受け止めるとは述べたものの、山岸さんへの謝罪は最後までありませんでした。



この冤罪事件は実に酷いものがありました。


負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部

この本に担当検事の名前が実名で晒されています。敢えてニュースサイトで名前を伏せるのは意味が分かりません。この内容であれば国家はこんな奴をかばう必要はあるのだろうか?と思えてきます。国家賠償ではなく個人で全て賠償し、司法関係者として二度と出てこれないように制裁を加えるべきです。

論理に飛躍判決:青色申告の承認の取消処分は憲法31条に反しない

2024-06-16 08:42:46 | 日記
令和5(行ツ)334  法人税青色申告承認取消処分取消請求事件
令和6年5月7日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  福岡高等裁判所
法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反しない

また事実認定がありません。
行橋税務署長が令和元年12月10日付けで上告人に対してした、上告人の平成30年7月1日から令和元年6月30日までの事業年度以後の法人税に係る青色申告の承認の取消処分につき、事前に防御の機会が与えられなかったことをもって、本件処分が違憲である旨をいう。

どういう行為が防御なのか、何の定義もなくこれですか。相変わらず最高裁の判決文は雑ですね。

そしていきなり結論です。
法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとはいえない。このことは、最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁の趣旨に徴して明らかである。本件処分に所論の違憲はなく、論旨は、採用することができない。

しかしなんで成田空港の事件を?類推適用には無理がありませんか?あまりにも論理に飛躍があります。行政処分は御上のいうことに黙って聞けという傲慢な態度がそのまま出てますね。ちゃんと手続き採って行政側のミスもあるんだから話を聞けよと思います。しかも、成田空港の事件の事例と税務申告を一緒に扱いますか?

裁判官渡 惠理子の補足意見
多数意見が言及する平成4年大法廷判決は、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内令和5年(行ツ)第334号 法人税青色申告承認取消処分取消請求事件令和6年5月7日 第三小法廷判決容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない

その通りですね。さもなければ何度でも屁理屈を持ってきてごねるのがいますから、それを防止するためにも必要だと思います。

法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、専門性を有する第三者的機関ともいい得る国税不服審判所における充実した審査請求手続が設けられている。もとより、単に事後手続が設けられていることのみをもって、事前手続が憲法上必要でないと断ずることはできないが、上記審査請求手続の内容等は、上記の総合較量において考慮されるべき要素の一つとなるものと考える。

別の異議申し立てがあるではないかと言っているようです。

多数意見と同旨を判示した最高裁平成3年(行ツ)第93号同4年9月10日第一小法廷判決・判例集不登載が出されて以降、不利益処分に係る事前手続の保障の原則を内容とする行政手続法の制定などの事情の変化もみられるところであるが、多数意見は、関係規定の制定経緯等に鑑み、こうした事情の変化も念頭に置いた上で、憲法判断の変更は要しないと判断したものである。多数意見と同旨を判示した最高裁平成3年(行ツ)第93号同4年9月10日第一小法廷判決・判例集不登載が出されて以降、不利益処分に係る事前手続の保障の原則を内容とする行政手続法の制定などの事情の変化もみられるところであるが、多数意見は、関係規定の制定経緯等に鑑み、こうした事情の変化も念頭に置いた上で、憲法判断の変更は要しないと判断したものである。

ここはどうもわかりません。問題の性格が違うじゃないですか。類推適用するにしてもかなり飛躍がありますよ。

裁判官宇賀克也の反対意見
処分庁が不利益処分を行う場合には、誤った不利益処分による権利侵害が行われないように事前にその根拠法条とそれに該当する事実を通知し、相手方に事前に意見陳述の機会を保障することが、憲法上の適正手続として要請されるのが原則であり、法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分(以下、本反対意見においては「青色申告承認取消処分」という。)について、その例外を認めるべき合理的理由は見いだし難い。

はじめてこの裁判官と意見が一致する気がします。

裁判長裁判官 渡 惠理子 論理に飛躍
裁判官 宇賀克也 マトモ
裁判官 林 道晴 論理に飛躍
裁判官 長嶺安政 論理に飛躍
裁判官 今崎幸彦 論理に飛躍

採用時に仕事内容が決まっているのに、同意なしに変更は駄目よ

2024-06-15 07:39:49 | 日記
令和5(受)604  損害賠償等請求事件
令和6年4月26日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  大阪高等裁判所
労働者と使用者との間に当該労働者の職種等を特定のものに限定する旨の合意がある場合において、使用者が当該労働者に対してした異なる職種等への配置転換命令につき、配置転換命令権の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

毎日新聞の報道です
職種限定の配置転換訴訟 「同意なしで命令できない」最高裁が初判断
勤務する職種を限定する労使合意があった場合に、雇用者が労働者を配置転換できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は26日、「労働者の同意なしに、配置転換は命令できない」との初判断を示した。原告の労働者側の主張を退けた2審・大阪高裁判決(2022年11月)を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

一方的な配置転換は違法 最高裁、働き方の労使合意重視
最高裁が前提としたのが08年施行の労働契約法だ。同法は労働者と使用者は対等な立場と強調し、労働契約の締結や変更には合意が必要と定める。労働基準法が守られるべき労働条件を示しているのに対し、個別契約を巡る基本的なルールとされる。
労働契約法が制定された背景には、就業形態の多様化や労働紛争の増加があった。労使の同意を重視したのは立場の弱い労働者の保護を図りつつ、トラブルを未然に防ぎ労働環境を安定させる狙いがある。
最高裁はこの日の判決で、労働契約で職種限定の合意があった場合、使用者には労働者の同意なしで配置転換する権限がないと明確に示した。ベテラン裁判官は「職種だけでなく勤務地などを限定した場合にも同じ考え方が当てはまる」とみる。


事実認定を見ていきます。
(1)公の施設で、福祉用具について、その展示及び普及、利用者からの相談に基づく改造及び製作並びに技術の開発等の業務を行うものとされており、福祉用具センターが開設されてから平成15年3月までは財団法人が、同年4月以降は上記財団法人の権利義務を承継した被上告人が、指定管理者等として上記業務を行っていた。

別に公務員という訳ではないようです。施設運営の指定管理者の従業員みたいです。

(2)上告人は、平成13年3月、上記財団法人に、福祉用具センターにおける上記の改造及び製作並びに技術の開発に係る技術職として雇用されて以降、上記技術職として勤務していた。上告人と被上告人令和5年(受)第604号 損害賠償等請求事件令和6年4月26日 第二小法廷判決との間には、上告人の職種及び業務内容を上記技術職に限定する旨の合意があった。

どういう仕事をするのか、事前に取り決めがあったようですね。

(3)被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく、平成31年4月1日付けでの総務課施設管理担当への配置転換を命じた。

雇い主が労働者に、(2)の約束を無視して同意なしに他の業務を愛じたようです。これは職務記述がしっかりした会社であれば、こういうことは起きえません。諸外国であれば即裁判です。日本はこの点があまりにもいい加減で問題があるところです。なので従業員がいる事業所は本当に注意したほうがいいですよ。
二審は「そんな細かいこと言うなよ」という判断だったようですが、最高裁は違いました。

労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、その個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しないと解される。上記事実関係等によれば、上告人と被上告人との間には、上告人の職種及び業務内容を本件業務に係る技術職に限定する旨の本件合意があったというのであるから、被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかったものというほかない。

その通りだと思います。慣習的には融通を聞かせて雇用を守るという風に言われますが、事業所は雇用を守る目的ではありません。

裁判長裁判官 草野耕一  当然
裁判官 三浦 守  当然
裁判官 岡村和美  当然
裁判官 尾島 明 当然

ただね、どうしても気になることがあります。労働者は契約通り自分の仕事をするのでOKです。ただその仕事がなくなった、あるいはその仕事を十分にやれないというのであれば、解雇ももっと自由にできるようにすべきです。

被疑者を勾留するのに事件を言わなくてよい:事例なら事実認定しろよ

2024-06-13 20:11:59 | 日記
令和6(し)262  勾留の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和6年4月24日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  神戸地方裁判所
 刑訴法207条の2の規定について、被疑者を勾留するに当たり、その理由を被疑事件を特定して告げるものとはいえず、また、被疑者が弁護人に依頼する権利を侵害するから憲法34条に違反するとの主張が、欠前提処理された事例

また一枚判決です。事例とありながら、事実認定も一切なしです。しかも、本文は半ページ。
法律と判決文は当事者のためだけにあるのではありません。後から検証できるように書きなさいよ。

本件抗告の趣意は、刑訴法207条の2の規定について、被疑者を勾留するに当たり、その理由を被疑事件を特定して告げるものとはいえず、また、被疑者が弁護人に依頼する権利を侵害するとして、憲法34条違反をいうが、勾留を請求された被疑者に裁判官が被疑事件を告げるに当たり、刑訴法207条の2第2項の規定する、個人特定事項を明らかにしない方法によったとしても、その余の事項から当該
被疑事件を特定することができ、また、同条は、被疑者が弁護人に依頼する権利を行使することを妨げるものでもないから、前提を欠き、同法433条の抗告理由に当たらない。


以上です。訳分からんでしょう?

裁判長裁判官 渡惠理子
裁 判官 宇賀克也
裁判官 林道晴
裁判官 今崎幸彦

全員訳分からん

株券不発行の会社について株券発行請求権を代位行使することができる

2024-06-02 09:39:11 | 日記
令和4(受)1266  各株券引渡請求及び独立当事者参加事件
令和6年4月19日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
 1 株券発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはない
2 株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができる


報道がないようなので、事実確認から見ていきます。
(1)被上告人株式会社Aは、平成16年1月、株式会社植宗Bの設立に当たり、その株式200株を引き受け、本件株式1の株主となった。同社は、公開会社でない株券発行会社である。被上告人植宗は、平成24年4月、Aに対し、本件株式1を譲渡し、植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡について承認した。

他にも譲渡の案件があったようですが、割愛します。

(2)植宗エクステリアは、設立以来、株券を発行したことはなかった。Aは、平成29年10月、本件株式1につき、債権者代位権に基づき被上告人植宗の植宗エクステリアに対する株券発行請求権を行使するとして、同社に対し、株券の交付を自己に対してすることを求め、同社から、株券として、原判決別紙3の目録記載の文書の交付を受けた。

非上場会社でも株券麩発行制度があるので、この会社ではそれを使っています。

(3)Aは、令和2年3月、上告人に対し、本件株式1を譲渡し、本件株券1を交付した。また、Cは、同年7月、上告人に対し、本件株式2を譲渡し、本件株券2を交付した。植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡についていずれも承認した。

株式の譲渡制限があったんでしょうか。取締役会で譲渡が認められました。どうも株券の管理をしっかりしていなかったようで、よそに所有権が移った物を譲渡を認めてしまったようです。そりゃ譲り受ける側からすれば善意の第三者になりますね。
最高裁は
(1)会社法は、株主はその有する株式を譲渡することができると規定するとともに(127条)、株式は意思表示のみによって譲渡することができることを原則とするところ、同法128条は、株券発行会社の株式の譲渡について特則を設け、同条2項は、株券の発行前にした譲渡につき、株券発行会社に対する関係に限ってその効力を否定している。

譲渡制限はあくまでも例外規定という事のようです。

同条1項は、株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないと規定しているところ、株券の発行前にした譲渡について、仮に同項が適用され、株券の交付がないことをもって、株券発行会社に対する関係のみならず、譲渡当事者間でもその効力を生じないと解すると、同項とは別に株券発行会社に対する関係に限って同条2項の規定を設けた意味が失われることとなる。

不発行制度も例外規定として認めてるよぐらいの意味のようです。

株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、当該株式に係る株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないと解するのが相当である。

株券を所持していないからといって、株主として認めないということはないと言ってます。

(2)株券発行会社の株式の譲受人は、株券の発行前に株式を譲り受けたとしても、当該株式に係る株券の交付を受けない限り、株券発行会社に対して株主として権利を行使することができないから(会社法128条2項)、当該株式を譲り受けた目的を実現するため、譲渡人に対して当該株式に係る株券の交付を請求することができると解される。そうすると、株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人に対する株券交付請求権を保全する必要があるときは、民法423条1項本文(平成29年法律第44号による改正前のもの)により、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができると解するのが相当である。

譲渡人に対して株券交付義務を履行したことになる。したがって、上記文書につき、株券発行会社に対する関係で株主である者に交付されていないことを理由に、株券としての効力を有しないと解することはできない。


当然の結論ですね。

裁判官全員一致の意見でした。

裁判長裁判官 尾島 明
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美