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新・さひょ君のらくがき帳

僕と妻と娘、3人の日常と僕の趣味を書いたブログです。

君たちは本当に好きなものを見つけてください

2013-03-08 00:51:09 | 映画


「まあだだよ」
監督 黒澤明
主演 松村達雄

戦中から戦後にかけての、作家内田百間と弟子たちの交流を描いた黒澤監督の遺作。と同時に、演出補佐で名を連ねる本多猪四郎監督の遺作ともなった作品。その意味で、僕にとっては特別な意味のある作品です。

公開当時にも映画館で見ましたけど、今回改めて見直して、ようやくこの映画の真価が分かった気がします。何も語らない、全然ドラマチックな展開にならない。淡々と日常生活を追いかけていくだけの映像から滲み出す、何とも言えないおかしみ。

ラスト近く、喜寿の祝いで体調が悪化した主人公は、出席者みんなに頭を下げながら退場しますが、その姿が黒澤監督にだぶって仕方がありませんでした。

監督は、教え子達に、更にその後に続く後進達に、頭を下げてお礼をし、された方は敬意を込めて「仰げば尊し」を歌い、送り出したのです。

記事のタイトルは、その祝いの席での挨拶の一節。この後、「見つけたら、そのために努力してください」と続きます。

若い人には退屈なだけの映画かもしれないなあ、と思いつつも、しっかり堪能させていただきました。

歳を取るのも良いものです。




人の生きる道とは…

2013-02-26 00:35:20 | 映画


「醜聞(スキャンダル)」
監督 黒澤明
主演 三船敏郎、志村喬

(物語)スケッチ旅行中の青年画家は、たまたま出会った人気女性声楽家と一緒のところを写真に撮られ、雑誌にスキャンダル記事を書かれてしまいます。憤った画家は、自ら売り込みに来た怪しげな弁護士に依頼して出版社を訴えますが、その弁護士には、実は結核で五年間寝たきりの娘がいるのでした…。

黒澤監督が、終戦後の東宝争議中に松竹で撮った一作。芸能マスコミの卑劣さ、非人間性を告発した映画であると同時に、志村喬さんと桂木洋子さん演じる弁護士父娘のドラマを通して、人の生の儚さと崇高さを描いた、気高い人間ドラマでもあります。

中盤以降は、ほとんど志村喬さんが主役。弁護士の人物設定は、後の代表作「生きる」に繋がっている感じがします。

黒澤監督の初期作品は、無名の作品でも、ほんと捨て置けません。

これも「隠れた名作」です。


人間の人間たる由縁は…?

2013-02-09 20:47:41 | 映画
「妖怪人間ベム」
監督 狩山俊輔
主演 亀梨和也

名前のない男と決別し、人間になる道が絶たれたベム、ベラ、ベロの三人は、また以前のように正体を隠して各地を転々とする生活を続けていました。そんな中、辿り着いた街で、ベロは足の不自由な少女と知り合います。その街は、30年ほど前に、誘拐された男の子を助けた三人が逆に犯人と間違われ傷つけられた、因縁の土地でもありました…。

娘から、ずっとせがまれていたのを、もう上映が終わる時期になって、やっと見られました。僕もTVシリーズからのファンなので、実は見たくてたまらなかった作品なんですが(笑)。

観月ありささん演じる、物語の鍵となる新キャラクターの最終形態が、ビオランテそっくりなのは難なんですが、期待通りの見応えある作品に仕上がっています。

シビアで哀しい物語の中で、北村一輝さん演じる夏目パパさんの純真さが、ホッとするんですよね。

人間の人間たる由縁は、心のありようの美しさにあると、改めて感じさせられました。その意味では、ベムもベラもベロも、とっくの昔に人間なんですよ。

後半ずっと涙ぐんでいたので、終了後トイレで鏡を見たら目が真っ赤。
ちょっとハズカシイ(*^_^*)。





ガレキとラジオ

2013-02-08 23:34:50 | 映画
「ガレキとラジオ」
監督 塚原一成
   梅村太郎

※ネタバレ的な書き方は、なるべく避けたつもりですが、そう感じたらご免なさいm(__)m。

地元FM局主催の上映会に行ってきました。全国先行上映らしいです。

宮城県南三陸町。震災で壊滅的な被害を受けたあの町で、町が出資して立ち上げ、2011年5月17日から2012年3月31日までの10か月間だけ放送していたローカルFM局、FMみなさんの活動を追い掛けたドキュメンタリー映画です。

メンバーは全員素人、機材もろくに無い。そんな中で放送を続ける姿を、カメラは淡々と写していきます。

お涙頂戴に陥らず、津波や震災時のショッキングな映像も使わず、密着とは言えない微妙な距離感で、描かれるのはメンバー達の何気ない日常。そこに展開するのは、等身大の人間の等身大の生活。

生きているのです。

毎日の生活があるのです。

震災は特別な出来事だったかもしれないけど、生き残った被災者には、相も変わらぬ日常生活が待っているのです。

これからも、生きて行かねばならないのです。

この映画が描きたかったのは、そういうことではないのかな、と、そのように感じた次第です。





X―MENシリーズ

2013-02-08 00:21:14 | 映画
「X―MEN」
「X―MEN2」
以上、
監督 ブライアン・シンガー
「X―MEN
 ファイナルディシジョン」
監督 ブレット・ラトナー
全て主演 ヒュー・ジャックマン

遠くない未来、遺伝子の突然変異で各地に次々と生まれるミュータントを弾圧し、排斥しようとする人類と、自らの力を用いて人類を支配しようとするマグニートー一味、そのマグニートーと対立し、人類とミュータント双方の平和を目指して闘うX―MEN達を描く、大ヒット人気シリーズ。

「レ・ミゼラブル」でヒュー・ジャックマンに興味を持ったので、シリーズ3作品を立て続けに見てみました。

感想は…思った以上に面白かったです

今までは、マーベルコミックの映画化作品に正直抵抗があって、「40過ぎてまで見るものじゃないだろう」なんて食わず嫌いになってたんですが、認識が誤っていました。反省\(__)。

考えてみれば、異能者や自分と異なる者への無理解と排斥というのは、かつて石ノ森章太郎先生が好んで取り上げたテーマですし、現実に戦争の原因ともなっている要素でもあります。

人間は、いつか互いに理解しあい、平和に共存できる世界が来ると、信じていたいものです。