Sagami タイムズ 社説・時代への半鐘

潮流の本質を見極める

ノルマ超えで得た禁断のキャッシュバック

2023-12-10 12:10:15 | 日記
ー 「えっー、そんなに頑張ってくれたの、ノルマ超えたんだってね。超過分返すから後は自由に使ってよ、領収証いらないからさぁ」。こんな甘い言葉にそそのかされた所属議員らによる自由民主党を揺るがすほどの政治資金規正法違反の疑いが明るみとなった ー

 政党や政治団体の活動費を得るために開催される政治資金パーティー。議員らが支援者たちにパーティー券を購入してもらい、議員らの決意を示しながら参加者たちと酒を酌み交わしながら親睦を深めるといった、ある意味、集票を目的として従前から行なわれているものだ。パーティー券を購入した支援者たちは、後の確定申告時において支払った金額を寄付金として取り扱われるためその分の税額控除を受けられる仕組みとなっている。

 今回、最大派閥・旧安倍派のパーティーにおける収支報告が自民党を揺るがすほどの政治資金規正法違反の疑いと指摘されている理由は、支出であるパーティー開催費と収入である支援者たちからのパーティー券購入費総額に差異があるもののその差額分を各議員へと還流させていたことが判明したからだ(民間報道機関の報道より)。

 支出と収入をありのままに記載したならば、本来なら、超過分を翌年度に繰り越し翌年度の活動費に充てることができたはず。それをせずに領収証のいらないお金として議員側が処理したことは裏金づくりの色合いが強い。

 しかし、ことの本質は単なる政治資金規正法違反容疑にとどまらない、旧安倍派経理部はこのお金の流れのすべてを覚書として書面に記録していた(NHKの報道より)、誰がいくら集め、誰にいくらキャッシュバックしたのかを・・・。

 つまり、表向きは慰労金としてキャッシュバックしたお金なのだが、実はそうではなく、実は、その後のそれぞれの議員らの行動や言動を観て、「安倍派の考えに背く者ならいつでもこのことをリークするよ」と、あえて法律違反と知りながら禁断の果実を食べさせたかのように見受けられてしまうほどの要素を含む。

 甘い果実はそう簡単には手に入らない。政治の世界は「一寸先は闇」とも言われている。議員たちにはキャッシュバック・キャンペーンにはうかつに参加しないことをお勧めする。

星は夜空に抱かれてこそ、その輝きを増す

2023-11-19 13:05:46 | 日記
 ハマスの突然の襲撃によりイスラエル側は、およそ1200名の市民の命が奪われ200名余りの人々が連れ去られ人質とされたという。この残酷非道な殺戮に対し深い悲しみ感じ、その反動として、激しい怒りを覚えるに至ったことは致し方のないことなのかもしれない。
だからこそ、イスラエルは、「市民を残酷な方法で殺害した殺人犯たちを捕まえ厳罰に処す、人質となった人たちを一刻も早く救済する」、いわゆる「ハマスを掃討する」という大義を掲げ、軍をガザ地区に進攻させたのだろう。

 だが、その怒りの矛先を手当たり次第に辺りかまわずぶつけてしまっては大義が歪む。

 イスラエル側は、食料や飲料水、燃料の補給路を断った後、住民に南部への速やかな退避勧告を出しガザ北部に対し(映像から見る限り)徹底的な爆撃や銃撃を加え破壊の限りを尽くした。その過程では、地下にハマスの拠点があるからだという理屈で病院なども攻撃の対象とされ多くの一般市民が犠牲になったという(NHKの報道より)。病院への攻撃は、軍事拠点のカモフラージュとして使用されている場合のみ1000歩譲って許されるものだが、今回の捜索(軍事行動)ではその証拠が明らかにされていないどころか一般市民を多数巻き添えにしている、人道法上許されない。

 また、イスラエル側は、ガザ北部だけでは病院をカモフラージュとして使用していたという証拠が足りなかった、人質の救出に至らなかった、ハマス幹部らを掃討しきれなかった、という名目で元からの南部住民と南部に避難してきた人たちに対し退避勧告を行なった後、爆撃を加えた。

 北部にハマス拠点があるという理屈からその掃討のために一般市民を南部に退避させておきながら、目的を達成できなかったからと今度は南部にも攻撃を加える、破壊の限りを尽くす。このことは、ただでさえ閉ざされたガザという収容所に住まわされているパレスチナ人にとっては、行き場や逃げ場のない場所に追い詰められた上にいわれもない爆撃を加えられているということになる。

 この状況は、第2次世界大戦中にナチスがユダヤの人々に行なったホロコーストというジェノサイドに酷似している。
 
 今回のイスラエルのガザ地区への進攻は、ホロコーストとは違い大義は許容できるものであったもののその手段はホロコーストと類似し許されない。ユダヤ人の2世代、3世代前の人々の受けた苦しみと悲しみをその子孫たちが、今度は自らの手を汚すという形で現生に呼び戻したといえるものだ。

 国連でもNATO、SCOでも良い、BRICsやG7でも良い、どこかしこの国々の指導者が集う会議体がイスラエルとパレスチナの間に入らなければ当事国にとって取り返しのつかないことになることは明白だが動きは見られない。

 惨憺たる状況の中、世界で暮らす多くの一般市民は、アラビアン・ナイトスカイに抱かれた輝くダビデの星を夢見ながらこの争いを嘆いている。

鶴が繰り広げる湖上のダンス

2023-10-06 13:14:34 | 日記
 これぞ国会議員の仕事と思わせるような偉業を成し遂げた鈴木宗男参議院議員。この電撃的な訪ロに対し与野党内では「政府の方針に反しG7との連帯を乱し国益を損ねる行ない」「選挙に向けた単なるパフォーマンス」などという批判が飛び交っている。

 確かに、ロシアによるウクライナ侵攻は国際法の下の世界秩序を乱している。しかし、どうだろう、北方領土共有化を含め相互交流のため歴代政権それぞれが長らく培ってきた関係を一つの事案だけで断ち切って良いものだろうか?

 所属する維新の会も処分を検討しているというが、批判や処分を検討する者たちは、これまで、誠心誠意、ロシアとの向き合い方を模索してきたのだろうか、その様子は一切見受けられない。
侵攻終結のための日本の採り得る立場を議論する立法府としての役割を果たしてきたのか、制裁一辺倒の(行)政府頼みではなかったのか。培ってきた交流を何とかつなぎ止めようとする鈴木議員の方が、よっぽど、国会議員らしいし信用できる。

 最近の氏の発言をネットで観ていて、「なんか、プーチン大統領のことばっかりやたら褒めるなぁ」と思っていたが、この訪ロへの布石だったのか。氏は「あくまでも個人的な訪問」というが十分国会議員としての役割を果たしている、やはり、国会議員には確固たる信念が必要だ。日本国会に飛来した一羽の鶴というべきかもしれない。

 ロシアによるウクライナへの侵攻は長期化する様相を呈している。国会には、日本政府が指導するロシアへの急激な川の流れ的な外交政策を緩和する湖みたいな役割を担っていただきたい。国際連合が機能不全に陥っている中、制裁の応酬だけでは人類はおろか地球そのものが疲弊するからだ。

屍の上を行く未来へのレール・ウェイ

2023-08-04 20:51:53 | 旅行
 ーロシア外務省のザハロワ情報局長が2023年8月2日の記者会見で、1945年8月9日の第2次世界大戦終戦間近における対日参戦を「日本の主要領土で何百万人もの日本人の命を救った」として、改めて正当化した(NHKの報道より)ー

 日本にとって1945年8月9日と言えば阿鼻叫喚たる惨状となった連合国による8月6日の広島への原爆投下に続き、その矛先が長崎にも向けられ驚天動地的な苦しみを味わった日。敗戦というかたちでの終戦を迎え入れざるを得ないきっかけとなった祈念日といえる。

 また、旧ソ連が日ソ不可侵条約というものがあるにもかかわらず連合国による広島、長崎への原爆投下計画を知り、不可侵条約を一方的に破棄し日本へ忽然と宣戦布告し侵攻を始めた日でもある。

 旧ソ連はその後、武器を捨てた日本兵やその家族を極寒の地「シベリア」へと連行し長年にわたり抑留、食べ物や着るものをろくに与えずシベリア鉄道の敷設労働を強制した。連行された数は約58万人、そのうち1割が過酷な労働状況と飢えや寒さに苦しみながらツンドラの地に命を落としていったという。

 広島や長崎に原爆が投下されることを知りながら阻止しなかった、丸腰の日本兵や家族を連行し食料や暖を与えず強制労働をさせた、そんな国の情報局長が「日本の主要領土で何百万人もの日本人の命を救った」と言えるのか。逆に、旧ソ連、現ロシアの経済的発展、社会的インフラの基盤を担うシベリア鉄道を築いたのは旧日本兵だ。その屍が今でもシベリ鉄道を支えているはずだ。

 (このように、一つの事象を採ってみても取り巻く環境や考え方、教育の違いから互いに相いれない見解が生じてしまう)

 世界には様々な人種や民族が存在しそれぞれの社会を形成している。考え方も違えば文化や風習、教育、食生活に至っても違いはある。だからこそ、かけがいのない唯一の地球においては、ほろ苦い連鎖の中で話し合い共通する目的や意義を見出すべきではないのか。

 時間という列車は、今日も、過去から継いだ線路の上を未来に向かって走り続ける。我々現世を生きるものは次世代へと継なぐ線路の指針、そして、その上を走り続ける列車には何を積み込めば良いのかを常に考えていかなくてはならない。


いつかはきっと、悲しみ尽きてたのしみ来たる日に

2023-06-22 14:32:40 | うんちく・小ネタ
 ― 日本国民の多くから敬意をもって親しまれてきたロシアのプーチン大統領。愛くるしい仕草と一所懸命柔道に取り組む姿勢が高い評価に値し平和条約の締結というものが現実味を増したかのように見受けられてきたが、ロシアのウクライナへの侵攻でオホーツク海から日本沿岸に寄せては返る波の泡のごとくと帰してしまった ―

 さて、北京オリンピックの成功により世界中が人類の叡智や能力の進化に感動する中、続いて行われたパラリンピックの意義を蔑ろにしてまでロシアはウクライナに軍事による侵攻を開始した。それは、2022年2月24日のことである。

 その後の戦況は惨憺たるものだ。ロシアは無差別的な攻撃を繰り返し、民間人を殺戮した上に田畑や公共インフラを破壊し地球環境までも壊滅させ気候変動をも増長させている。

 そんな中、ロシア上下院は、9月3日のロシア記念日を「第2次世界大戦が終結した日」から「軍国主義日本に対する勝利と第2次世界大戦終結の日」とする法案を可決した。非友好的なキャンペーンを繰り返す日本に対し報復措置を講じたものとしている(NHKの報道)。

 確かに、日本は欧米に倣いながらロシアに制裁を加えている(欧米化)。

 先の世界大戦においても悔やみきれないほどの過ちを犯してしまったことも事実だ。だからこそ、(実際には接収されたものだが)武力を放棄したし人道主義を掲げている。このことは、国連をはじめ全世界からも広く認知されているものだ。

 今回、9月3日のロシア記念日を「軍国主義日本・・・」としたことは死者に鞭打つ二重処罰と言えるもので鎮まった魂を現世に呼び戻すものとも言わざるを得ない。

 ロシアがこのように日本国民の人心を侮辱するようなことをするならば、日本もこれからの毎年2月24日を(ちょっと長くなるが)「親愛なるロシア国・プーチン大統領が無辜のウクライナに忽然と進攻し民間人を虐殺するなど破壊の限りを尽くしたことで自らの評価を下げ、地政学的に北方領土共有化へと歩むことになるきっかけをつくった日」と、記念日にすることにしよう。いつかはきっと「日ロ平和条約締結のきっかけとなった日」へ変えられるようにと祈りながら・・・。