2012年9月7日
新潟県知事 泉田裕彦様原発からいのちとふるさとを守る県民の会
共同代表 和田 光弘
連絡先 新潟市中央区新光町6-2
TEL025-281-8100 FAX025-281-8101
(公印省略)
共同代表 和田 光弘
連絡先 新潟市中央区新光町6-2
TEL025-281-8100 FAX025-281-8101
(公印省略)
柏崎刈羽原発の当面する緊急課題についての要請書
柏崎刈羽原発に対する県民の安心、安全を図るためご尽力されていることに敬意を表します。
さて、「3・11原発事故」に対しての4事故調査委員会の報告がなされました。自画自賛を旨とした東京電力報告を除く3委員会報告は「3・11原発事故」後の事故対応のみならずそれに至る日本の原子力政策の意思決定経過・規制当局の有りよう・具体的安全対策の構築にまで踏み込みこんだ厳しく批判した報告をまとめました。とりわけ国会事故調査委員会は、7つの提言を行い「提言を一歩一歩着実に実行し、不断の改革の努力」を求めました。
しかし、「3・11」後も原子力委員会は「核燃料サイクル」の審議にあたり“原子力ムラビト„だけで構成する“裏会合„で物事を決定するかのような旧態の運営を行い、電事連をはじめとする原子力関連事業者から各種審議会委員に「多額の寄付」が行われています。
各種審議会の有りようが問われている今日、柏崎刈羽原発の安全性を審議・助言する機関である技術委員会においても例外ではなく、従来の枠組みのままで良いのか、とりわけ、安全評価に必要な専門性・公正性・透明性の三つ領域での検証が求められるのは当然です。
また、全国市民オンブズマン連絡会議の調査により、本県技術委員会委員2名が電気事業連絡会関係から研究費、寄付金を受け取っていることが明らかになり、公正性に疑念を抱かせる行為と言わざるを得ません。また、柏崎刈羽原発を含めて8原子力施設の断層再評価が求められるなど過去の断層調査が杜撰であることも判明しました。私たちはかねて中越沖地震の震源である「FB断層」の過小評価に関わり専門性に疑義のある委員の辞任を求めてきましたが、改めて、以下の委員の辞任を求めるとともに下記の対応すべき当面の課題解決を要請します。
記
1.新潟県技術委員会の専門性・公正性・透明性の確保に関すること。
(1)次の委員を直ちに解任すること
①寄付を受けた委員: 橋爪秀利委員・山崎晴雄委員
②東電と共同研究者: 香山晃委員
③活断層の過小評価者: 衣笠善博委員
(2)新たに就任した4人の委員の選任基準と経過を説明すること
(3)技術委員会に県民を入れること
2.柏崎刈羽原発周辺(海域・陸域)及び敷地直下断層の再評価に関すること。
(1)陸域、海域の連動評価について、早急に地震、地質・地盤に関する小委員会を開いて、検討・協議すること
(2)敷地直下の断層について東電が調査結果を公表前に問題点(争点)を明確化するための公開討論会を、県の主催で開催すること
3.『国会 事故調査委員会』の報告・提言の実行に関すること。
(1)県は、中越沖地震で地震動S₂の3倍以上の揺れに襲われた原発であるにもかかわらず、従来の「安全神話」に拘泥し、4基の稼働を認めたことを総括すること。また、国に「安全審査」の見直しを求めること
(2)県技術委員会に「廃炉および廃炉後の安全管理」についての議論を求めとともに、その開催された委員会で県民の意見を直接徴すること
参考資料
●橋爪秀利氏(寄付金・研究費)
日本原子力発電㈱ \500,000 (2010年度)
日立GEニュークリア・エナジー㈱ 日本原子力㈱\1,100,000(2011年度)
●山崎晴雄氏(寄付金・研究費)
(独)原子力安全基盤機構 企業名不開示 \6,226,538(2010年度)
●香山晃氏(共同研究)
東電と「軽水炉材料の照射損傷」の共同研究
●衣笠善博氏(活断層の過小評価)
①柏崎刈羽3,4号増設時(85年)の原子力発電技術顧問会地盤耐震部会委員でFB断層の過小評価
②その他
大飯3,4(破砕帯)、島根3号(宍道断層)、志賀3号(海底活断層の連動)、六ヶ所再処理工場
福島:双葉・会津盆地西縁(福島第一・第二)
福井:柳ヶ瀬・福井平野西縁(敦賀、美浜、高浜、大飯)
静岡:富士川河口(浜岡)
愛媛:中央構造線(伊方)
鹿児島:鹿児島湾西縁・出水(川内)
●断層の再評価関連
敦賀・東通、大飯・志賀に引き続き、もんじゅ・美浜・柏崎刈羽の直下断層の再調査が始まった。
活断層に関する意見聴取会で、柏崎刈羽原発の施設直下の断層の形成年代が話題になり、東電は説明のために急遽安田層の年代決定のための調査を追加実施することである。
反対運動では当初から劣悪地盤問題を石油地質論文を根拠に「西山丘陵では砂丘を切るごく新規の断層がある。活発な地殻構造運動の続いている地域に原発立地は不可能」と指摘して来たところである。
東京電力は「西山丘陵の地殻構造運動は終焉した。砂丘を切る断層は表層の地すべり」と主張し建設し続けた。
国は東電主張を認め、県も傍観を続けた。
2007新潟県中越沖地震では西山丘陵と中央丘陵が隆起し平野が沈降して、東京電力の地殻構造運動終焉の主張の誤りを事実で示した。
調査は、東京電力が建設・運転のために行なうもので、客観的事実確認のためではなかった。また、審査する国も専門家も「規制の虜」になって有効に機能しなかったことは「国会事故調」等の報告のとおりである。
1号機の設置許可(77.9.1)から30年余を経て、直下断層が問題になり、そのための調査が始まろうとしているが、従前通り東京電力が行なうもので客観的事実を求めるものでなく、運転継続のためのアリバイ造りでしかない。
調査前に、問題点を明確にする必要がある。ついては、新潟県の主催で地盤地震問題に関する公開討論会を開催することを求める。
また、東電の調査に先立ち、『地震、地質・地盤小委員会』を開催すること。