【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

FIND【301】ピナットに恋人申請

2009-10-14 | 3-3 FIND




 FIND【301】 


「俺たちは容姿端麗が規則鉄則だ」

「あ...外見、なんかそんなこと言ってたような... 」

「時代が過ぎたらそんなもんいらないんだけど。今は要る
 イラナイモノサシだね。来いよ。朝飯、珈琲も淹れてる」

言ってロータスはキッチンに戻っていった。

それを、ピナットが追って訊いた。

「じゃあ女の人も外見見目麗しく?...要るの?」

「俺たちの話だ。女が見目麗しくったってセックスアピールしか
 なんねえ。んなのせっくす以外使えない。だから あ、ごめん
 朝からやな話だな」

「ふふ。リオンで慣れたわ。でも女の人の話はしなかった」

「あんたが訊かなかったからだ?俺も訊かれたから応えた」

「それだけみんな美しいから女の人が寄ってきて
 離さないのね?女性遍歴の密度濃そう。ふふふ」

「そうではない。俺たちは女性に声を掛けても騙されてる
 んじゃ?と猜疑心。引かれてなかなか恋愛はありません」

「ふふ、それ、自慢なの?悩みなの?」

「悩み」

「え― 」

「声掛けてまんま信じるのって自分に自信ある女だけ。でも、その
 自信は容姿だけ。さて、いい恋愛に発展かと思いきや付き合って
 みれば中身空洞。頭の中は美貌とお金とせっくすと同性友へ自慢
 と噂話。カックイイ仕事と浮気の心配だけ。始末悪いのが、俺が
 どんなやつか俺の中身内容はどうでもいいということ。声掛けて
 猜疑心持って引く女は自発的に行動しなくて実につまらん。俺が
 女性を外見で見ないってことは誰もわかってくれない。な?結構
 悩みだろ?」

「あ―ええ―じゃあ、何の話ならいいの?それ以外が判らない」

「だろ?何の話もしなくていいの。そんな我欲望話するくらいなら
 黙ってろて...わざわざ口にしなくてもそういうのは見ていて判る
 恋人になったら信用同士、用事以外の話はいらん」

「あふふ、贅沢な注文ねそれ」

「贅沢?外見美醜判定思想なけりゃ自然体だ?誰だって」

「ああ、そうね」

「そこでだ。」

「え」

「訊かれた序に誤解の無いように俺の話をしたわけで、」

「うん。」

「俺は君を恋人として扱う」

「! ...あはは!悪いけど恋人がどういうことかわかんない」

「そんなのはいい。君と付き合うことは君がサギロン街に居る限り
 俺の終身任務だ。その間にピナットに結婚したいと思う人が現れ
 ても結婚してもBGは続く。そのときは2人を守る」

「大袈裟ね。」

「大袈裟でも何でも!俺は楽しくやりたいんだよ」

「うふふ。」

「俺はリオンやユリウスのように紳士じゃない。正直
 俺は向いてない、つか、やり難いんだよ。BGなんて」

「そんなの不思議よ?初めて会ったのにそこまで
 言えるもの?私がやな女だったらどうするの?」

「だいじょうぶっ。文句言うから!文句は用事だ」

ピナットはロータスを見つめて―ぷっと噴出した。






ロータスはピナットを連れて『森と田園』裏口からピナットと
入って、ピナットを置いて店に進み―ひとりで一周見て回った。

「いいインテリアだ。服もいいね」

「あらそう?男の人にわかるの?」

ピナットの作る服は男性に評価頂くことは珍しいので少し疑い混じりに言ってみた。

「俺は好きだよ。大地の色と海の色、草の色。余計なものが
 何も必要なくて丸だ。インテリアも凝ってる。業者依頼?」

「そんなお金持ってないわ。自分でしたの」

ピナットは開店の準備をしながらロータスに応えていた。

「そう。わざと雑でも綺麗なのは手作り主のセンスだナ」

ロータスはとびきりの被写体を探し当てたように嬉しがる。

ふうん...宝玉は宝玉に寄る...か。俺たちと縁あったから それなりひととなりとは思っていたが、本当に気持ちのいいコだ。

見目のインテリアも素晴らしいが、それに留まらず、ここに流れる涼しい空気とピナットと接した感触で―全部そう感じられた。






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