ALLION【345】
その日の夕方、エヴァにアリオンから電話があった。
しかし、その電話にはリッツが出た。
「アリオンか?悪いな俺で。クリスティーナは...SP持たずと言うか
SP持てない所に外出中。アリオンから電話あったら...留守電じゃ
なくて出ろと言われてる。出なかったら俺が電話中。どこに?や
誰と?いつ戻る?まで立ち入らんから知らん。仕事のことじゃ?
とアリオンが質問するだろうことにとっとと応えました」
『あ...今夜食事に誘おうと掛けたが』
「戻ってきたら伝えとくよ」
『ありがとう。あの、今になったが、よろしく頼む』
「いいえ、俺も妹がいると仕事に助かる」
詐欺師の上に低俗なヤツだなッ。と思うも何も返せない。
アリオンは悔しい思いをして電話を切った。
リッツは後ろに居たエヴァに、これでいい?と言った。
リッツの部屋でソファに座っていたエヴァは、うん。と言ってそのSPを受け取り、立ち上がってキャビネットの上に置いた。
「SPは持って行かないときはここよ」
「持って行かないときって何だよ?」
「ラギ出来るからいいでしょ?」
「俺たちは構わないけど」
「リッツの餌場は?まさかマリアに住んでマリアじゃ」
「久しぶりに羽振りのいいスワニー島にでも行くかな」
「サ・ナールご令嬢を詐欺?無理でしょ」
「ああ、そういうのは後が怖い、スワニー島の標的は男」
「男お?」
「ゲイで金余って誰と付き合っても愛に飢えてるおっさん多い
そう言うヤツはどれだけ貢いでも訴えない。死ぬまで食える」
「あ―そう。じゃ結婚詐欺じゃくてジゴロ?」
「そっちは見栄華美の大きいマイアツ活動」
「両方海じゃない。常夏に行きたいだけ?」
「冷凍は沢山だ、欲求が反転するよ、脳が体が」
「悪かったわねっ寒冷地は腐食に時間掛かると思ったの、体が」
「あ...そうい、え、本気で自殺?」
「もういい、言わないで?ギーガのように記憶力ゼロにして
ところで、知ってるわ?鍵のとき私にエーナを掛けたこと」
「あ... 」
「そろそろ解いてくれない?これからも一緒にサジする気?」
「わかったよ」
リッツはそれをすっかり忘れていて―今解いた。
「 ...と言うことは私とシンクロしてたでしょ」
「あう、それはいい、もう」
「 ...うん。ごめんなさい」
「あ、や、なかなかタメになったぞ。オンナの気持ち
そんなの愚。真面目に筋道立てて考えるほどバカ見」
「むっ、」
「いやいや、オンナの瞬発突然の衝撃は酷いが、それはこっちの
都合の歓喜か悲哀かの解釈であって本人には歓喜。そうだろ?
不幸哀しむのは愉しいからやってる...んだろ?」
「むううううっ、そうよ、当たりよっ、」
「頭痛い男は付き合ってらんねえやな、そんなの」
「でしょ?だからイラナイのよ、本当の意味で男も女も」
「あはは、そらそうだが、アリオンに言うもんじゃないな」
「だから言ってるでしょ?こんな私でヨロシケレバ よ」
「本気で好き?アリオンのこと。ちった涅槃思考は伏せないと」
「いやよう、私は私を隠さない。アリオンは勿論好き、好きだから
本人が望む幸せを得て欲しい。アリオンの望む幸せなイメージの
そのカタチになれない厄介な私に、いいよ?面白い楽しもうって
そうなってくれたら...その結論出すなら戻るの」
そんなの、最初からわかってることだ!アリオンの気持ちなんて。お前みたいなのが楽しい と思わなかったら結婚なんかしねえよ、フツウ。と思ったが、リッツはエヴァを離すのが惜しくなっていたのか何を思ったのか―話を逸らす。
「はは、幸せのイメージ、そのカタチね、それで食うのが俺だ」
「詐欺師ってそこよね...結婚や恋愛の中に入る、じゃなくて結婚や
恋愛の、メディア洗脳で作られた幸せのイメージに食いつかせ...
哀しいわね。餌撒いて魚を釣るって言うのと同じ。だから渇いて
飢えてる人だけが釣られるのね、ああ、それで陸釣りと言うの?
ああそうかっ!?あはは!」
「あのな、そう言うこと、横で言われると
悲哀して仕事出来なくなるから、ヤメレ」
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