【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

ALLION【345】本人が望む幸せを

2010-05-16 | 4-1 ALLION




 ALLION【345】 


その日の夕方、エヴァにアリオンから電話があった。

しかし、その電話にはリッツが出た。

「アリオンか?悪いな俺で。クリスティーナは...SP持たずと言うか
 SP持てない所に外出中。アリオンから電話あったら...留守電じゃ
 なくて出ろと言われてる。出なかったら俺が電話中。どこに?や
 誰と?いつ戻る?まで立ち入らんから知らん。仕事のことじゃ?
 とアリオンが質問するだろうことにとっとと応えました」

『あ...今夜食事に誘おうと掛けたが』

「戻ってきたら伝えとくよ」

『ありがとう。あの、今になったが、よろしく頼む』

「いいえ、俺も妹がいると仕事に助かる」

詐欺師の上に低俗なヤツだなッ。と思うも何も返せない。

アリオンは悔しい思いをして電話を切った。

リッツは後ろに居たエヴァに、これでいい?と言った。

リッツの部屋でソファに座っていたエヴァは、うん。と言ってそのSPを受け取り、立ち上がってキャビネットの上に置いた。

「SPは持って行かないときはここよ」

「持って行かないときって何だよ?」

「ラギ出来るからいいでしょ?」

「俺たちは構わないけど」

「リッツの餌場は?まさかマリアに住んでマリアじゃ」

「久しぶりに羽振りのいいスワニー島にでも行くかな」

「サ・ナールご令嬢を詐欺?無理でしょ」

「ああ、そういうのは後が怖い、スワニー島の標的は男」

「男お?」

「ゲイで金余って誰と付き合っても愛に飢えてるおっさん多い
 そう言うヤツはどれだけ貢いでも訴えない。死ぬまで食える」

「あ―そう。じゃ結婚詐欺じゃくてジゴロ?」

「そっちは見栄華美の大きいマイアツ活動」

「両方海じゃない。常夏に行きたいだけ?」

「冷凍は沢山だ、欲求が反転するよ、脳が体が」

「悪かったわねっ寒冷地は腐食に時間掛かると思ったの、体が」

「あ...そうい、え、本気で自殺?」

「もういい、言わないで?ギーガのように記憶力ゼロにして
 ところで、知ってるわ?鍵のとき私にエーナを掛けたこと」

「あ... 」

「そろそろ解いてくれない?これからも一緒にサジする気?」

「わかったよ」

リッツはそれをすっかり忘れていて―今解いた。

「 ...と言うことは私とシンクロしてたでしょ」

「あう、それはいい、もう」

「 ...うん。ごめんなさい」

「あ、や、なかなかタメになったぞ。オンナの気持ち
 そんなの愚。真面目に筋道立てて考えるほどバカ見」

「むっ、」

「いやいや、オンナの瞬発突然の衝撃は酷いが、それはこっちの
 都合の歓喜か悲哀かの解釈であって本人には歓喜。そうだろ?
 不幸哀しむのは愉しいからやってる...んだろ?」

「むううううっ、そうよ、当たりよっ、」

「頭痛い男は付き合ってらんねえやな、そんなの」

「でしょ?だからイラナイのよ、本当の意味で男も女も」

「あはは、そらそうだが、アリオンに言うもんじゃないな」

「だから言ってるでしょ?こんな私でヨロシケレバ よ」

「本気で好き?アリオンのこと。ちった涅槃思考は伏せないと」

「いやよう、私は私を隠さない。アリオンは勿論好き、好きだから
 本人が望む幸せを得て欲しい。アリオンの望む幸せなイメージの
 そのカタチになれない厄介な私に、いいよ?面白い楽しもうって
 そうなってくれたら...その結論出すなら戻るの」

そんなの、最初からわかってることだ!アリオンの気持ちなんて。お前みたいなのが楽しい と思わなかったら結婚なんかしねえよ、フツウ。と思ったが、リッツはエヴァを離すのが惜しくなっていたのか何を思ったのか―話を逸らす。

「はは、幸せのイメージ、そのカタチね、それで食うのが俺だ」

「詐欺師ってそこよね...結婚や恋愛の中に入る、じゃなくて結婚や
 恋愛の、メディア洗脳で作られた幸せのイメージに食いつかせ...
 哀しいわね。餌撒いて魚を釣るって言うのと同じ。だから渇いて
 飢えてる人だけが釣られるのね、ああ、それで陸釣りと言うの?
 ああそうかっ!?あはは!」

「あのな、そう言うこと、横で言われると
 悲哀して仕事出来なくなるから、ヤメレ」






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