【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

TELIPINU【98】どっちでもいい

2009-04-06 | 1-2 TELIPINU




 TELIPINU【98】 


「リスは?」

「リスと決まったわけじゃない。芥子からアヘンでも充分だ」

「だから正しくは芥子栽培でしょう?」

「だが、芥子栽培です。で止められて、ああ、芥子の花ねって
 バカかよ?どこまでナニ作るか口を割らないなら許可しない」

「正直に言ったら許可か?半ば脅しと言うか...共犯か」

「けど、共犯は英雄宗教の中の言葉。リスまで精製したとしても
 リュディアでは咳止にしかならない。魔薬としてなら尚 何の
 価値もないし、交易など」

「ナタはリュディア王を英雄宗教の思考回路と思ってる ならば
 芥子と言っただけでその魔薬精製に暗黙了解でにやっと笑って
 了解する。と踏んでるのか...なあ」

「有り得る...。」

「なら、どう?」

「芥子でもトリカブトでも何でもだ、地上に生れる天恵。それを
 人間の俺が否と言えない。人間がリスを精製できるまでの能力
 備わるも天恵。大地が産み出したものは否はない。てことで」

「何?」

「リュディア人が使うときと、英雄宗教が使うとき、麗しい馨か
 吐き気する毒か、激痛緩和の薬か 堕落を貪る魔薬か の違い
 英雄宗教が大地冒涜するなら酷い副作用が来る自業自得で滅び
 の自噴。英雄宗教はそういう風に子を教育してるからそこにも
 俺は口を挿まん。何度も言うが起こることは有だ」

「許可か」

「 ...うう...このまま騎士の傍観者でありたく」

「をい」

「半分...だ。どっちでもいい」

「まあ、そうだが」

「医の世界、命を司るなど俺が決めることじゃない
 俺に黙って1年暮らして好き勝手すればいいのに」

「しかし、お前は既に半分、湖の中に潜ってるだろ?」

「えっ...。」

「その顔は許可だ?」

「 ...む。まるでギルガメッシュだな。湖の底の水草が取れたら
 不老不死の草。マナが死んでヒナウィラが裏切って友人が出来
 て...最後はその水草、蛇に食われるから不老不死叶わず...って
 まるで同じじゃないか........あ!!」

「何だ」

「何で不老不死の俺が水草取りに行くんだ?」

「行くな」

「毒蛇のいる湖の底なんて俺しか行けないだろ?」

「自分の先祖の骨でも探しに?王自ら完全協力?」

「 ...。」

「待て、話を変えよう。シィアを王に仕立て上げるのか?」

「王は国内巡行にする。シィアは王子として王の代理謁見
 しかし、返事は即欲しいだろうなあ?ナタたちとしては
 今決定しなければ」

「いや、決定してる」

ギーガは決定を拒んで黙り込み―レイリィオンは続ける。

「ナタたちは鎮痛剤、睡眠剤としてアヘン、モルヒネ…リス
 は口にしないと思うが、訊いてもそうとしか応えないだろ?
 王にも鎮痛剤のための芥子栽培と言う。それで誤魔化せる」

「鎮痛剤にあんなに客が寄る?ただの医者が賊に狙われる?
 どう見てもナタとウーアは闇行商で著名。あ、そんなこと
 よりテリピヌが馬車の中でちゃんと見て訊いてきた」

「何を?」

レイリィオンはテリピヌを見た。

テリピヌは、煙草のこと?と言った。

「そうだ。水煙草。やつらがやってる水煙草はただの
 煙草だが、薬と一緒に水煙草の葉っぱも売っている」

「あんな面倒臭い水煙草...にアヘン混在か」

「まず一限客にフツウの水煙草の葉っぱとして売る またはナタ
 の薬売交渉中、ウーアが治療に当ってる最中に水煙草を勧める
 こんな美味しい葉っぱはナタしか持ってないとなってアヘン虜
 ナタの顧客になる。ナタは行商人だから出会ったとき纏め買い
 そのうちモルヒネ、リス...となってナタは見事に大富豪」

「賢いな。馬を持つ俺たちは裏に何があるのか不明のままで
 水煙草は勧めなかったのか。リュディアと知ってはびびる」

「そうだな。終身雇用の護衛がないのも水煙草の味を覚えた傭兵
 方々放ってシェア広げるためだったか使い物にならなくなった
 か...ヒナウィラの狙いをナタたちが知らなかったとしても何故
 か双方甘み合致していて今まではそこに歪み出なかった」

「双方利害は微妙に一致か。しかし、王がアヘンに反対とは」






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