ALLION【82】
サファイアの思わせぶりかと思ったイーギンは気力の果てたような疲れを感じて来たので、寝る。と言った。
「お父さん、寝るの?」
「お前と一緒に昼寝だ。来い」
イーギンは抱きついてきたソウシを連れて出て行った。
サファイアはリツコに向いた。
「私に関係ないわってフリもいいけど関係大有りなんだけど」
「そんな...わかってる」
「午後から何するの?」
「え?...社長室の掃除を」
「そう、俺は工場手伝ってくるからソウシ起きたら呼んでね」
「 ...わかった」
少し俯いたリツコにサファイアは何となく、可愛い。と思った。
結局ソウシと遊んで午後の3時にお昼寝―イーギンが目覚めたのは夜に近かった。
時計を見て撥ねるように起きると作業服に着替た。
PCをつけて連絡事項に目を通し、船のヴィーとカメリアと連絡を取って【エルメス】シゴト―それは今も変わっていない。
それらを終えると工場で納期シゴト―クルーたちの加勢に行く。
終わった、工場に行こう。と気づけば、既に夜中2時。
そのとき、昼間のことを思い出してサファイアにラギした。
ソウシと一緒に眠っていたとしても脳に直通するラギは目が覚める―のに反応なし。
...ああ?無視かよ?
その後もサファイアにラギしたが、鹿十され続けた。
部屋を出ると、リビングの灯が点いていた。
サファイアは俺が今から工場を知っていて無視したのだからこれはサファイアじゃないよな...リツコ?こんな時間に?
リビングに入るとテーブルの上に夕飯が置いてあった。
夕飯を見て、腹減った。と思い出されて夜中2時にひとり飯。
ひとりだあ...と感じるとエヴァを思い出し、SPを取り出して見たが、エヴァから着信ひとつない。
お前は今日は何してたんだ...?
食べながらこの暇にエヴァに電話でもするかと思ったが、リツコのことを訊かれたら何の進展も話せないので―やめた。
そして、イーギンは工場へ出て行った。
ディノウヴォウは妃の喪明けて―日常を始めていた。
数日は、誰からもエヴァに電話はなかったが、5日過ぎた頃、昼夜なくアリオンから、戻られましたか?があったらしい。
エヴァは、食事は会社が始まってからその帰りにして?と思っていて―家主には、縁がないわね?と言って貰っていた。
それにしてもけっこうな回数を電話をしてくる。
急用?いえ、そんなはずはない。手を引くって言ったんだし。
そうやって気が乗らないそれを引き伸ばしているうちあの日から1ヶ月経とうとしていた。
ので、それはちょっとやばい?と思ったエヴァは、明日の電話はちゃんと出るわ?と自分に言い聞かせた。
その日、エヴァは会社の終業時刻を過ぎて同僚とお喋り中―突然、あ―っ!と叫んで早々退社した。
ヴァイオリンのレッスン日だった―慌てて家に戻った。
船に居た頃のエヴァはギーガを師にヴァイオリンを続けていて船を降りてからも師を求めて続けていた―唯一の贅沢時間。
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