豪華な 晩餐
漂っている
この 広い広い 何万光年かかるのか 先が分からない 果てのないと思われる 宇宙を 漂っている
果てしのない宇宙を 一隻の宇宙船が漂っている
昔 昔 地球そのものが 果てがなかった 無限の平地が ずっとずっと続いていた ロマンがあった
しかし 地球には限りがあった コロンブスの航海で反証されたのだ
しかし 今は 宇宙こそ 無限に広大に広がっていて 限りがない そう思う人がいる いるのだ
その限りのない宇宙を 一隻の宇宙船が漂っていた
某国の 某 殿が 企画した宇宙旅行船の 豪華な一隻だ
アメリカから参加した人もいる ロシアから参加した人もいる 草原豊かなアフリカから 参加した人もいる
無論 日本からも 参加した人がいる などなど
世界の各地から この果てしのない 無限の広がりをもつ
気宇壮大な 夢の計画に参加した人は大勢いるのだ
宇宙を漂っている船内の中は 無重力だ
船内の観光客達は ふわふわと遊泳している
ある人は漂いながら ジューシーなビフテキを頬張った夢を見ている
ある人はキャビア それもカスピ海のキャビアを 口から溢れさせた夢を見ている
また別のある人は 絞りたての牛乳を唇から たらして・・・
そのまた別のある人は さっぽろラーメンの湯気の中で・・・
もうすぐだ 明日は母なる国 地球に還るのだ
ビフテキでもキャビアでもボルシチでもラーメンでも なんでも かんでも有りの 豪華な晩餐会が予定されているはずだ
夢は現実となるのだ 目をさまさない方がよい
待ちに待った豪華な晩餐会
果てしない夢を見てきた セレブ達の期待
よだれを垂らして 夢にまで見たビフテキ、キャビア・・・
「なんと これは どうした事か これは夢だろう?」
願わずには いられなかった
豪華な席上には ありとあらゆる瓶が 山のように積み上げられていた
タンパク質100パーセント表示のサプリメントの錠剤
大麦100パーセントの錠剤 グルコサミン ローヤルゼリー コラーゲン 銀杏葉エキス サメの軟骨成分
夢のようなエキスが詰まった瓶が ところせましと積まれていた
「いかがで ございましょう 完璧な栄養を備えたサプリメント 勿論 味は最高に吟味しております」
「ご満足して頂けると存じます」
「母国 地球では より美味な食べ物の追及が 日進月歩で研究されております」
「今日のメニューは 最高級クラスでございます」
「お口を煩わしく モグモグさせることは下品なマナーとなっております」
饒舌に喋る歓迎セレモニーの司会者の口元は 気のせいか すぼんでいた 気のせいか 歯が退化したせいか