にわか日ハムファンのブログ記念館

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〔2011夏 東北・北関東の旅〕第1部(6):那珂湊駅猫「おさむ」訪問記

2011-09-09 06:36:10 | さすらいブロガー旅情編
 阿字ヶ浦駅から折り返しの勝田行に乗り、途中の那珂湊駅で下車した。



 那珂湊駅は旧那珂湊市(現在はひたちなか市の一部)の中心に位置し、周辺には那珂湊漁港や、那珂川の対岸にある大洗海水浴場、大洗水族館等を抱えている。


 また、この駅には前述の通り湊線の車庫が置かれており、ひたちなか海浜鉄道にとっても中心的な駅となっている。



 私が訪れたとき、車庫では先ほどの「アニマルトレイン」の兄弟分が休んでいた。



 同じ形式の2号車は外で休憩中。「アニマルトレイン」と合わせて、この3両が湊線の最新鋭車両ということになる。



 一方、ローカル私鉄の常として、他の鉄道会社で使われてきた中古車両も数多い。この2両は旧国鉄の車両のように見えるが、実際には北海道の留萌鉄道(現在は廃線)で使われ、後に津軽海峡を渡ってきたものである。
 北海道からの車両はほかにもあり、先ほどの画像で車庫の奥に見えた青とクリーム色の車両(キハ222)がそうである。



 車庫にはすでに廃車となった車両も留め置かれている。こちらは旧国鉄の車両が他の私鉄を経て流れてきたものだが、すでに廃車となって数年が経過している。



 同じ形式の車両。こちらは国鉄時代の塗装に塗り直され、比較的新しいようにも見える。



 とはいえ、現在ではすでにオブジェと化しており、動かすわけにはいかない。
 他にも興味深い廃車体はあるのだが、時間の関係上、というより、今回はむしろ駅猫のおさむが目的なので、そちらを優先したい。



 さて、そのおさむである。事前にスケジュールを問い合わせたときの話では、彼は「駅構内にはいる」ということであった。
 彼の場合は他の猫駅長と違って「駅猫」である。つまり、何時にどこで何をしなければならない、という義務はないとのこと。そのため、彼がいつどこにいるかは、その日になってみないと分からないらしい。
 もっとも、人がたくさんいると気になって寄ってくるとも聞いたが、昨日の「ばす」の件もあるし、何より相手は猫という気ままな生き物、過大な期待は禁物である。
 ともあれ、せっかく那珂湊駅まで来たのだ。ダメでもともとの気分で、駅員氏に所在を訪ねてみたところ、ご丁寧にもホームを確認してくれた。はたして、彼はいたのだ。



 駅員氏の案内する先で、おさむはのんびりと寝転んでいた。警戒心などみじんも感じさせない余裕ぶりである。



 私に気がついたようだ。しかし、やはり警戒するでもなく、こちらに向かってくるでもなく、相変わらず落ち着いている。


 
 この日も暑いは暑かったが、日陰に入ると涼感もあった。さすがは猫だけあって、快適な場所を見つけるのには長けているようだ。



 すると、どこからかもう一匹の猫がやってきた。この猫もこの猫で、私に警戒する様子がみじんもない。



 おさむと並んで座りこむ猫。おたがい全く威嚇しあわない。以前からの知り合いなのだろう。



 ホームに戻ってしばらくすると、こちらの猫が私に近づいてきた。相変わらず警戒する様子はない。



 猫は私の方に来ると、わずかに身体を擦りつけてからその場に座り込んだ。人懐こいというには、まとわりついてくる感じはないし、私に無関心なら寄ってこないだろうし、解釈に苦しむ。



 もっとも、このマイペースさを見ていると、解釈も何もないというのが正しいのだろう。つまりは、「これが猫だから」。
 ちなみに、小耳にはさんだ話では、こちらの猫も駅猫ではあるそうだが、名前は分からないらしい。(2011年9月9日追記:ひたちなか海浜鉄道吉田さんより、コメントにて「ミニさむ」君という名前だとご教示いただきました。特記して謝意を表します)。



 線路に降り立つ。
 ローカル線の駅は、猫にとっては格好の生活場所なのかも知れない。列車の本数は多くないから、都会ほどの危険はないし、乗客がいればかまってくれる。
 そして、猫に理解がある駅員がいればいうことなし。居場所に加えて食事まで確保できるのだから。
 一方、猫がいることで、ともすれば乗客減で活気を失いかねない駅が賑わいを取り戻すのなら、それは人間にとっても都合がよい。
 あわよくば、猫の人気が出てくれると、そこからグッズなど新たな収益の機会が生まれるわけだし、それは地域の足を守ることにつながる。そこに生まれるのは、猫と人間との共生関係である。



 勝田から那珂湊止まりの列車がやって来た。当然乗客は全員降りるので、ホームはそれなりに人が多くなるが、駅猫2匹はおかまいなしに休憩中。たまに自分をなでてくる乗客の相手をするぐらいである。



 列車はホームを一旦出た後、折り返して車庫へ。この間駅猫2匹は相変わらず。



 乗客が去ってしまうと、駅は再び駅猫たちのものになる。時折現れる人間たちを構ってさえいれば、あとはどこで遊ぶのも自由だ。



 どういうわけか、駅猫2匹は花壇の花が気になるらしい。別に食べているわけではなく、匂いをかいでいる。



 阿字ヶ浦からの列車がやって来た。普通の猫ならエンジン音を聞いただけで驚きそうなものだが、さすがは駅猫、まったく動じずに花と戯れている。
 ちなみにこの列車、かつて三木鉄道という別の第三セクターで使われていたものだが、廃線になったために引き取られたものである。私自身も乗ったことがあるので、久々の再会、というところか。



 もう少し駅猫たちとのんびりしていたい気持ちもあったが、この後の予定もある。自分たちのペースで自分たちの時間を過ごす駅猫たちに暇を乞い、那珂湊駅をあとにした。

【本日の旅程】宇都宮→宝積寺→烏山→宇都宮→日光→東武日光→春日部→大宮→小山→水戸→勝田→阿字ヶ浦→那珂湊→勝田→水戸→友部→取手→上野


〔主筆より注記〕 湊線の車両に関する記述は、ひたちなか海浜鉄道ウェブサイト「ひたちなか海浜鉄道を走る車両たち」のページを参考にした。
 また、駅猫おさむと車両の撮影は、すべてホーム等安全が確認できた場所から行った。
 なお、駅猫おさむに関しては、下記の「お願い」があるので、那珂湊駅まで会いに行こうという方はぜひご理解いただきたい(2つ目のお願いは、「フラッシュが苦手」という旨のものである)






〔2011夏 東北・北関東の旅〕第1部 了


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2 コメント

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ありがとうございます (ひたちなか海浜鉄道)
2011-09-09 10:05:03
獣医さんによれば、ネコも性格がさまざま。
とはいえ、これだけ知らない人間に動じないのは珍しいとか。
ちなみに小さい方は「ミニさむ」と呼ばれています。
(吉田)
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ひたちなか海浜鉄道 吉田さん (ルパート・ジョーンズ)
2011-09-09 21:40:05
うちの近所にも猫は何匹かいますが、人間が近寄るとたいていは逃げますからね。
ここまで動じない猫もいるのかと驚きましたが、よほど周囲の人間に恵まれたんでしょうね。

>「ミニさむ」
ご教示ありがとうございました。本文に追記させていただきました。
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