2040．HONEY PIE

　‘Honey Pie ’。ホワイト・アルバムに収録された、ポールによる
ボードビル・スタイルの曲です。“SGT. PEPPER'S～”の‘When I'm
Sixty-Four’の流れを組む作品です。

　今回はデモ・テイクをご紹介しますが、正規版では、そのジャジー
な雰囲気に圧倒されたかたも多いことでしょう。それを決定したのは
ジョンのギターです。カジノのフロント・ピックアップを利用し、さ
らにトーンを落としジャズ・ギターの雰囲気を十二分に出しています。

　間奏の「ジャジー」なプレイは誰によるものでしょうか。やはり、
ポールでしょうか。ジョージがこのようなコメントを残しています。

　ジョンがみごとなソロをやった。
　まるでジャズのソロみたいだったね。

　とかく、ポールのこのような作風に対して当時毒づいていたジョン
ですが、この曲についてはパフォーマンス全開のようです。

　ベースはジョージが担当しました。注目すべきはサビ（ヴァースＢ）
のベース・ラインです。コード進行を確認してみましょう。「Ｅｍ／
Ｂ」→「Ｆ＃ｍ／Ｃ＃」→「Ｇ／Ｄ」→「Ｇ７」→「Ｃ」→「Ｅ／Ｂ」
→「Ａｍ」→「Ｄ７」といった流れです。ジョージのベース・ライン
は単純にコードのルート音を辿っていません。前半で「Ｂ」→「Ｃ＃」
→「Ｄ」と上昇し、後半では逆に「Ｃ」→「Ｂ」→「Ａ」と下降して
います。これは彼のアイディアでしょうか。だとしたら、ものすごい
ことなのですが、残念ながら、デモ・テイクで見られるポールのアイ
ディアを実現したもののようです。当時のスタジオでこのような会話
が交わされたのでしょうか。

　ポール　：こんな風にベースを弾いてくれないかな。ジョージ。
　ジョージ：あいよ。オレは雇われミュージシャンだからね。
　




　

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