らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

1416.“THE BEATLES MONO BOX”を聴いての所感

2009-09-21 | 12.THE BEATLES
 2009年 9月 9日に表題の音源が発売されました。わたしは、とある
ルートで予約をし、“MONO BOX”と““BOX ”(いわゆる「ステレオ
ボックス)を入手しました。その反響は至るところで目にすることが
できます。「モノラルとステレオの違い」として、音源の違いやフェ
イド・アウトの長さの差など、ディテールの相違についてのコメント
も相変わらず活発に展開されています。

 それらの相違は、過去に多くの方々が分析され「ビートルズ学」と
いえるような「知的財産」に昇華している感があります。そのような
机上の情報をわたしは実際に耳で確かめるためにこの音源を手にした
次第です。

 ビートルズを「1970年代」になって初めて知り、その音源を頻繁に
聴くようになった頃、「ステレオこそ価値がある」「モノラルは所詮
ステレオを単にモノラル化しただけのものだ」と勘ぐっていました。
とんでもない誤解です。リカバリの機会はありました。1980年代初頭
に発売された「モノラルLPシリーズ」です。しかし、それらを買い
そびれ、後悔したものです。そして、チャンスは巡ってきました。

 “HELP! ”、“REVOLVER”、“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB
BAND”そして、“THE BEATLES ”のモノラル音源についてはただただ
驚愕するばかりです。初めて聴く“BEATLES FOR SALE”についても、
然りです。‘Rock And Roll Music ’のあの音。分厚い音の塊が耳を
直撃します。ステレオが「空間の広がり」を体感できるものであると
すれば、モノラルは「奥行きの深さ」を感じ取ることができるもので
あると言えるのではないでしょうか。音の塊が飛んで来る迫力の中で
今まで聞こえなかったひとつひとつの音が聞こえてくるのです。実に
不思議な感覚です。

 ‘Kansas City~Hey,Hey,Hey,Hey’のピアノの3連符の音も、そう
です。よく「抱きしめたいはアナログのモノラルだ!」とおっしゃる
方がいらっしゃいましたが、まったく同感ですね。ビートルズ初期の
ビート感のあふれる曲は、これに尽きるのかもしれません。もっとも
現在の技術的英知を集約したデジタルのCDの音と、進行形の時代の
アナログLPの音は、また異なるでしょう。「その手のかた」に言わ
せれば、「アナログ時代のモノラルの音こそビートルズ!」なのかも
しれません。わたしが仮に、その音源を手に入れて当時の機材環境で
聴いたとしても、進行形の熱い時代のそれと同じ感覚を感じることは
できないでしょう。



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4 Comments

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モノラルの音こそビートルズ! (mino)
2009-09-21 22:55:48
今回のリマスターですが実は“MONO BOX”の方がメインでした。
現に“BOX ”の方はまだ手元に届いていません。

「トゥイン・トラック録音時代(初期LP2枚とシングル4枚)何故ジョージマーティンが立体音響での録音を捨ててボーカルと演奏をそれぞれのトラックに振り分けたのか」。
それは楽曲の左右の広がりよりボーカルをサウンドに埋もれさせないよう、上下の深みを優先したからです。
それ以降の“THE BEATLES ”迄のステレオ盤はどうでしょう。セッションテープは4から8トラック使っているにも拘わらず左右の個々の音の分離を優先したためぎこちない立体感でのミックスになっていました。当時のステレオ感とはそんな程度だったのです。

“BOX ”(ステレオボックス)の方でですが某大手オンライン通販のコメントでこんな投稿がありました。
「"Please Please Me","With The Beatles"がボーカル右、オケ左の”擬・似・ス・テ・レ・オ”でがっかりした。赤盤の‘All My Loving’みたいなtrue stereoを期待してました」。
我々と擬似の意味が違うんですよね、今は。彼らが“MONO BOX”の'Nowhere Man'(ステレオ)なんか聞いたら「擬似!」って言うんでしょうね。
若年世代はやはりボーカルはセンター寄りが当たり前なのでしょう。ジョージマーティンは判っているから“HELP! ”とか新しいファンの為前CD化の際、リミックスし直したのだと思います。
(‘All My Loving’は赤盤CD化時に個別にセンター寄りにリミックス)
このようなコメントを見てやはり「今回の両ボックスは40代後半以上のコレクターアイテムなのかな」って実感しました。

EMIさん、次回のリミックスはトゥイン・トラック録音時代の楽曲はテクノロジーを駆使してボーカルをセンターに、演奏を分離して作らないと現世代は不満を持つかもしれませんよ。
返信する
臨場感 (らば~そうる)
2009-09-22 14:54:20
to:minoさん

>セッションテープは4から8トラック使っているにも拘わらず左右の個々の音の分離を優先したためぎこちない立体感でのミックスになっていました。当時のステレオ感とはそんな程度だったのです。

この内容につき、うなづいてしまいました。
私もホームレコーディングで演奏&録音していますが
初期の頃は音源を単純に単一のトラックに割り当て
ミックスダウン時にパンで振り分けているだけでした。
従って、思うようなステレオ感を得ることができず、悩んでいた次第です。

「擬似」については「あ~、なるほどなぁ」と
感じ入っています。
左右・上下・前後と「点」から「線」へ
「線」から「面」へ
「左右」「上下」「前後」の立体的な音づくりが必要なのですね。
返信する
空きトラックが不足 (mino)
2009-09-23 23:01:06
ステレオミックスの限界を推測してみました。

・"Please Please Me","With The Beatles"
トゥイン・トラック録音時代にてボーカルをセンタにすることが当時不可能。

・"A Hard Day's Night","For Sale"
フォーイン・トラック録音時代になりボーカルと演奏を多トラックに記録することが可能となった。原則一発とりの為複雑な多重録音ではなかった。(多重録音といえばボーカルのダブルトラッキングくらい)ボーカルはセンタでステレオミックスの定位も良く、あらゆる世代にとって今回のステレオ盤ラインナップ化は良かったと思う。

・“HELP! ”から“THE BEATLES ”
リハーサルテイクからベーシックトラックを録音しそれに個々の楽器、ボーカルを録音するようになる。”Rubber Soul ”ごろからはコーラスにも多トラックを使う様になり空きトラックが不足することとなった。
フォーイン・トラック録音の限界によりボーカルトラックにも楽器、サイドボーカル、コーラスを録音したため当時ステレオミックスは技術的に楽曲によってはセンタにボーカルをもってこれなっかたのではないかと推測します。

“THE BEATLES ”の頃までは曲はラジオ、ポータブルレコードプレーヤで聞く事が前提であったため立体音響の定位なんて気にせず録音したのでしょうね。実際ジャズ、クラッシックユーザしか高価なステレオセットを持っていませんでしたから。
当時うちにもステレオがありましたがSP盤も聞けました(笑)

“MONO BOX”を聞きながら連休最後を楽しんでいます。


to:らば~そうるさん

唯一昔から疑問に思っていたのですがフォーイン・トラック録音で一発とりの'This Boy'のステレオミックスが何故右チャンネルにボーカルをまとめたのでしょうか。
"Oldies"時に'Bad Boy'と間違えて作ったミックスですがあえてセンタにボーカルをもってこなかった理由が不明です。
返信する
完成品からその製作意図を辿る!? (らば~そうる)
2009-09-27 00:17:33
to:minoさん

ビートルズの現役の時代は最大で
エイトイン・トラック(という表記で正しいですか?)でしたっけ?

現在の機材と比べるとはるかに少ないですよね。
それでいてこのような音を創り出すのですから
スタッフの創意工夫には敬意を表します。

‘This Boy’につきましては、わかりませんよね。
様々な音源を聴きながら原因を推測してみたいと
思います。
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