1151．‘LOVE ME DO’の謎

　ビートルズのデビュー曲‘Love Me Do’について、かつてこの記事
でご紹介いたしました。その記事で「使用されたアコースティック・
ギターは何か？」という点について推論を展開しましたが、謎です。
　
　“J-160E”がビートルズのアコギとして定常的に利用される前に、
「なんらかのアコギ」が公式のレコーディングにおいて使用されまし
た。特に過渡期にあった‘Love Me Do’ではJ-160Eの製造日、入手日
そして、宣伝用の写真撮影日とともに、その特定が困難になっていま
す。

　上記でご紹介した過去記事の中で、ラッシュワーズ楽器店でJ-160E
を手渡す宣伝用写真をご紹介しました。この写真の公開が1962年10月
であることがわかっていますが撮影日は・・・。いずれにせよ撮影の
時点でJ-160Eには既にストラップが装着されており、かなり使用感が
あったため、1962年 9月 4日のレコーディングでも使用されていたの
ではないかとの説もあります。その一方で、デゾ・ホフマンが撮影し
た 9月 4日のセッションの写真にはJ-160Eがいっさい写っていません。
従って、少なくともリンゴのドラムヴァージョンでは、J-160Eで演奏
されなかったのではないかとする説もあります。

　1962年 9月 4日（リンゴ・ヴァージョン）と1962年 9月11日（アン
ディ・ホワイト・ヴァージョン）における真相は依然として不明です。
しかし、ひとつだけ言えることがあります。それは1962年 6月 6日の
レコーディングではJ-160Eが絶対使用されなかったということです。
その理由は、問題としているJ-160Eの工場（ギブソン社の）出荷日が
1962年 6月27日だからです。

　それでは 6月 6日で使用されたアコギはいったい・・・。ヘフナー
プレジデントでないことは前回言及いたしました。どうやらそれは、
「ヘフナー・セネター」の可能性があるようです。但しそれは、購入
したものではなく、ジョンが、クオリーメンのメンバーだったケン・
ブラウンから借りたものではないかという説です。

　謎が多いデビュー曲ですね。謎がまだまだたくさん・・・。だから
こそ、ビートルズを継続的に取り上げているのかもしれません。

　来年も引き続き、ビートルズにフォーカスをあてていきたいと思い
ます。



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