【PAUL McCARTNEY】
‘Michelle’。ジャジーな雰囲気で、ポールのセンスが随所に見ら
れる佳曲である。
ポール・マッカートニーは「ザ・ビートルズ」のベーシストであっ
た。しかし、ビートルズの前身のバンド時代を含め、彼は元々ギタリ
ストであった。1961年に、ベースを担当していたスチュアート・サト
クリフの脱退により、ポールがベースを担当する「はめ」になったの
である。「ベースは、バンドの後方で<ふとっちょ>がやる楽器」と
いうのが、ポールの当時のベーシスト観である。実際のコメントは、
もっと辛辣な表現だったらしい。問題ある発言ではあるが・・・。
そんな後ろ向きな姿勢でベースを担当したポールが、ビートルズで
メキメキとそのセンスを公に示し始める。‘All My Loving ’のメロ
ディアスなベース・ラインは、初期における代表曲であろう。
ヘフナーを駆使した時代からビートルズが中期に入ると、使用楽器
がリッケンバッカーに変わったり、録音技術の進歩(トラック数の増
加とカスケード手法)等の効果により、ベースの存在感が大きくなっ
てきた。わたしがビートルズの曲を最初に聴いたのは、『赤盤』であ
ったのだが、‘Love Me Do’から順に聴いていき「ベースの音が変わ
った」と感じた節目が2箇所あった。まずは‘Day Tripper ’そして
‘Paperback Writer’である。この2つの曲については「ベースの音」
という観点で、別の機会でご紹介することにしよう。
閑話休題。
“RUBBER SOUL ”から“SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”
の時代のポールのベースは「最高」だと思う。‘Michelle’はそんな
時代の曲である。ポール自身、この曲からベースの面白さを発見した
とコメントしている。なんといってもイントロのライン取りが秀逸だ。
簡易譜面をご覧いただきたい。
【簡易譜面】
小節 1 2 3 4
コード Fm Fm△7Fm7 Fm6 B♭m7 C
カウンター
・メロディ F → E → E♭→ D → D♭→ → → C
_ _
ベース C → → E F → → C F → → → C
-
多くの人が、ベースの最初の音「C」に驚いたのではないだろうか。
そして、3小節目の「F」の音である。そのプレイは、単純なルート
音を小節の頭に位置づけるのではなく、コードの構成音、複数小節の
コード進行の流れ、そしてタイミング。ベースのラインを「3次元」
にダイナミックに配置した取組みなのである。この4小節のコードの
響きは単なる響きではない。それは、「オリジナリティに富んだ独特
の広がり」を聴くものに与えているのである。
カウンター・メロディのラインで分かるように「クリシェ」と呼ば
れる手法が採用されている。「クリシェ」とは、コードの中のどれか
ひとつの音を動かして、コードに変化を与える手法だが、‘Michelle’
では、Fmにおける「ROOTから6TH 」への移動例である。余談だが、
日本のGS、ザ・タイガースのデビュー曲「僕のマリー」のイントロ
でも同じ手法が採用されている。
レコード・CDで、ライト・チャネルから聴こえてくるエピフォン
テキサンのプレイ、そしてトーンを落としたカジノによるジャジーな
間奏のプレイ・・・。これらはポールのセンスによるものであろう。
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実は僕はヘフナーのベースで、トーンを上げたものではないかと長年思ってたのですが。あの音色といい弾き方といい、いかにもポールのベースプレイという気がしてて。
カジノはポールのプレイでしょうか。
あのカジノの部分、中音域がブーストされて
いましたね。
LP時代、くたびれたオーディオシステムで
再生したら音が割れていました。
あのリード。
ジョージのカジノとする文献が多いのですが
なんとなくポールが思いつきそうな
「洒落たライン」なので、ポールかなっ・・・と。
それに粘っこいプレーですし。
ジョージ、ごめんね♪