
【写真:HOFNER 500/1'63 COPY MODEL 2005年11月05日16時02分撮影】
邦題「ひとりぼっちのあいつ」。
もしもビートルズで好きな曲を1つ選べと言われたら、私はこの曲
を選択する。
Nowhere Man,Nowhere Land,Nowhere Plans,For Nobody・・・
と「ないないづくし」のネガティブな単語が並び、さらに
自分の考えも持たず
生きる目的もなく
誰のためでもない机上の計画を描いている
と、たたみかけてくる。
しかし現在の身の回りの社会状況を勘案すると、このメッセージの
深さにあらためて驚くばかりである。
この曲を最初に聴いたのは12歳の時。『赤盤』だった。その時は詩
(英語)も曲のよさもわかるはずもなく、友人のS君が「これ、びー
とるずっていうんだぜ」と得意げに勧めてくれた。思えばこれがビー
トルズとの長いなが~いお付き合いのきっかけになるのだから、人生
の分岐点は複雑である。あらためてその友人に感謝である。
その後、ビートルズについてだんだんわかってきて、中学1年の夏
"RUBBER SOUL"(AP-8156)を購入。ジャケットの中には対訳付きの歌詞
カードが入っていた。しかし中学生ごときに、そのメッセージの意図
するところがわかるはずもなく、その時はひたすらギターで弾き語り
ができるように何度もレコードを聴いたものである。
卓越したベースライン
なぜ'Nowhere Man 'なのか。イントロの、あの圧倒的なアカペラの
素晴らしい響き、間奏でジョージ・ハリソンとジョン・レノンが展開
するドライブ感ある切れ味鋭い、ストラトのユニゾンによるサステナ
ブルなフレーズ、そして内省的で深みのあるメッセージ・・・。
いろいろある中で今回は「卓越したベースライン」をあげたい。
この曲のベースはもちろんポール・マッカートニーが担当している。
発表当時'You Won't See Me'とともに「繰り返しが多く退屈な曲」と
酷評されていた'Nowhere Man 'であるが、実はなかなかベースライン
が複雑である。この曲は「A(イントロ)-A-B-A’(間奏)-
A-B-A-B-A-A''(エンディング)」と80小節から構成され
ている。一般的に販売されている「バンド・スコア」では、このA・
B部分は繰り返しと見做され、ベースラインを忠実に採譜していない。
もちろん紙面上の制約もあるが、ビートルズの深さのひとつはこの点
にあるのかと思う。一見、単調な繰り返しのようで、実は微妙に変化
をつけているのである。彼らはスコアを見ながらレコーディングしな
かっただろうから、これは「計算的ではないセンスによる産物」なの
である。同様の事例は、"RUBBER SOUL "と同時期にレコーディングさ
れた'Day Tripper 'でも確認できる。興味のある方はこのような視点
でCDを聴かれると、新たな真実に出会えるかもしれない。
彼らのOUTPUTは、ミックス違いやバージョン違いが多いので
有名である。これらが単なる「機械的な仕事」として遂行されたので
あれば、決してそのような成果は産み出されなかったであろう。
「Nowhere Man」や「ノルウェーの森」の考察、素晴らしいです。
またお邪魔しますね。
コメント、ありがとうございました。
>ビートルズの"RUBBER SOUL "が一番のお気に入りでしょうか?
はい。"REVOLVER"とならび
彼らの1966年前後の活動にたいへん興味をもっています。
>「Nowhere Man」や「ノルウェーの森」の考察、素晴らしいです。
ありがとうございます。
話題が広がり、意見が交換できればと存じます。
どうぞ、お立ち寄りください。
あの時代にあのメロディー!!
伝説でありつずけますよね
レノンズ・ザ・ビートルズ!!
Nowhere Manのベースライン
実際にCD通りに弾いてみると
その違いがわかるんですよね。
しかし、ギターソロがストラト
2本によるユニゾンとは知りません
でした。凄い考察です。また
来ます!