らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

258.ALL MY LOVING

2006-07-21 | 12.THE BEATLES
【SINGLE "ALL MY LOVING c/w LOVE ME DO"】
 
 ポールが先に途中まで詞を作り、後で曲を作った曲である。'I SAW
HER STANDING THERE 'と並ぶ、初期におけるポールの秀作と言われて
いる。

 レコーディングは、1963年 7月30日。"WITH THE BEATLES"の1曲と
して行われた。そのスケジュールがものすごい。10時から、'PLEASE
MISTER POSTMAN''IT WON'T BE LONG'、'MONEY''TILL THERE WAS YOU'
'ROLL OVER BEETHOVEN 'と続けて23時まで行われた。実は、その合間
(13時30分~17時)に、BBCラジオの『ノン・ストップ・ポップ』
のインタビューと『サタデイ・クラブ』の収録をこなしているのだ。
驚くべき集中力と生産性。現在では録音からミックス・ダウンまで、
せいぜい1日1曲か2曲が限界なのではないか。ましてやミックス・
ダウンには3日~4日かけている(もちろん機材の違いによる複雑性
といった影響はあるが)ことを考えると、彼らの「すごさ」が実感で
きてしまうのである。しかも、そのほとんどが「グッド・パフォーマ
ンス」なのだから。

思い入れたっぷりのギター

 この曲を語る際にはやはり、「ギター」であろうか。特にジョンの
リッケン・バッカーによる3連符のカッティングだ。ジョンはアコー
スティック・ギター(例:J-160E)の時、アーム全体でストロークし
ているが、'ALL MY LOVING 'ではリストワークでこなしている。また
コード・チェンジの時に、開放弦のストロークが1回入る。この曲の
Aメロのコード進行は、1小節ごとに「F#m」→「B」→「E」→
「C#m」→「A」→「F#m」→「D」→「B7」である。この中
の「F#m」→「B」や「F#m」→「D」→「B」→「F#m」の
進行で、各小節の最終ストローク(4分の4拍子で8分音符の3連符
だから12ストロークめ)が1弦と2弦の開放弦を弾いているため、
E音とB音になっているのだ。これはジョンのプレイの特徴と言える。
しかし、不思議と流れの中にこの開放弦の音が溶け込んでいるので、
違和感は少しも感じられない。

 もうひとつの「ギター」は、ジョージの間奏のプレイである。あの
有名な「チェット・アトキンス奏法」であるが、下のラインをピック
で、上のラインを薬指で奏でている。ただ、左手の動きが少ないこと
に気がつかれた方も多いことであろう。この曲の間奏のコード進行は
1小節ごとに「A」→「A」→「E」→「E」→「F#m」→「B7」
→「E」→「E」である。ジョージはこの中の1小節め、3小節め、
5小節め、6小節めでコードフォームを押さえながら、リードライン
を奏でている。5小節めではロー・ポジションの「F#m」を、6小
節めではハイ・ポジションの「F#m」を押さえているのだが、6小
節めのベースコードは「B7」であるので、実質的には「F#m/B」
となっている。

 ポールのベースプレイでは間奏後の4小節め「C#m」(歌詞では
'Tomorrow I'll miss you'の"miss"の部分)の1拍め、「C#」音を
弾くべき箇所が「E」音を弾いてしまっているが、「C#m」の構成
音であるため、これも違和感がまったく感じられない。計算しワザと
そうしたのかと思ってしまうくらいだ。

 'ALL MY LOVING 'は古くはGS、最近ではコピー・バンドが取り上
げることが多い。ライブで聴きたい曲のひとつである。 

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10 Comments

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CLOSE YOUR EYES (NAL)
2006-07-21 05:02:28
〜といきなりはじまるフレーズも最高です。



スケジュール、本当に凄いですね!;;

でもその凄さがアルバム全体に独特のライブ感を出している気もします。(一種のノリみたいな)



いやー、名曲っすねー。
返信する
ありったけの僕の愛ですね (レノン&マッカートニー)
2006-07-21 19:58:11
この曲すっごく好きです。

ジョンのコードストロークが滅茶苦茶格好いいですよね。一度聴いたら絶対忘れられないですよね。何とも斬新な。この曲だからこの弾き方なんでしょうけど、画期的なことだと思っていますよ。



間奏のジョージのギターもまたいいんです。「チェット・アトキンス奏法」でしたよね。



ギター弾く者としては、一度はやってみたい曲ですよね。
返信する
Unknown (NOBU)
2006-07-22 02:29:23
初めまして、リッケンで検索して辿り着きました。

開放弦のところ、なるほど・・・

参考になりました。
返信する
TB、ありがとうございます。 (Johannes)
2006-07-22 09:59:45
質問です!

ALL MY LOVINGはJ-160Eのみでレコーディングしているのでしょうか?Ricken325の音も鳴ってると感じるのですが、どうなんでしょう?

1)アーム全体でストローク。 2)リストワーク。との違いを教えて欲しいです。どんな違いなのでしょうか?
返信する
ご回答です♪ (らば~そうる)
2006-07-22 11:37:10
to:Johannesさん



ご質問ありがとうございました。

Johannesさんへギターの件でご回答さしあげるのは

恐縮です。(^^;

僭越ながら回答させていただきますね。



私の記事の書き方(文脈)が

混乱している部分もあるかと思いますので

それを整理する意味でお読みください。



【ご回答】

1.番目のご質問

>ALL MY LOVINGはJ-160Eのみでレコーディングしているのでしょうか?



いいえ。Rickenbacker325MG→JGがメインです。

私は最初リッケンのみかと思いました。

しかしそうではないようです。

'All my loving I will send to you'

'All my loving darling I'll be true'

の箇所のリズム隊の隙間に

微かですが、J-160Eが聴こえます。



2.番目のご質問

>1)アーム全体でストローク。 2)リストワーク。との違いを教えて欲しいです。



1)はJ-160Eでリズムをカッテングする際

右腕(肘から指先の部分)全体で

勢いよくスイングしていることを言っています。

2)は'ALL MY LOVING 'の3連符カッティング

の際、オルタネートピッキングを鋭く行うために右腕全体でスイングせず手首のみを使って

いることを言っています。



ご回答になっておりますでしょうか?(^^;



3連符のカッティングがとてもかっこよく

印象的です。

マネして弾いたりなんかしますが

あのドライブ感を出すのはなかなか・・・

なんでもそうだと思うのですが

やはりその場/瞬間での鬼のような集中力って

アートの場では特に大事ですよねえ~♪

返信する
多謝! (らば~そうる)
2006-07-22 12:35:01
to:NOBUさん



はじめまして♪

コメントありがとうございました。



記事の詳細をお読みいただき感謝です。



NOBUさんのサイトへお邪魔させていただきました。

ギターをはじめ、いろいろと面白く

「なるほどなあ」と感動いたしました。



お写真もさりげないセンスが光ってますねえ♪

返信する
強引な企画♪ (らば~そうる)
2006-07-22 12:49:55
to:NALさん



>〜といきなりはじまるフレーズも最高です。



ご存知かと思いますが

"One two three four one!"

で始まる音源もあるそうです。この曲。



しかしなんとも言ってもNAL さんのおっしゃる通り

「いきなり」が最高!傑作です。



>でもその凄さがアルバム全体に独特のライブ感を出している気もします。(一種のノリみたいな)



このコメントでひらめきました!

少々強引な企画ですが

"PLEASE PLEASE ME"と"WITH THE BEATLES"

を2枚組アルバムとして編集しても

その「ライブ感」でいけるかと思います♪

いかがでしょうか。
返信する
チームワーク (らば~そうる)
2006-07-22 12:58:44
to:レノン&マッカートニーさん



'ALL MY LOVING '。

'BECAUSE 'のような3パートコーラスとは

いきませんが初期のポールの曲の中で

4人のチームワークが結集された1曲と

みています。



本文では省略しましたが

間奏後、ライブではジョージがポールに代わり

主旋律を歌いますが

これがまたいい!

中間部のリンゴのシャッフルしそうでしない

リズム・キープもシブい!



・・・と思います♪



>ギター弾く者としては、一度はやってみたい曲ですよね。



そのように思い、TRY していますが

あのドライブ感はなかなか・・・



やはりビートルズの曲をいちばんうまく演ずるのは

ビートルズなのですよね。
返信する
質問です。 (J)
2006-08-16 16:40:04
こんにちは。

質問してもよろしいでしょうか?



12ストロークめ)が1弦と2弦の開放弦を弾いているため、

E音とB音になっているのだ。これはジョンのプレイの特徴と言える。



上記の、開放弦を弾いているというところを、もう少し詳しく説明していただけないでしょうか?最初の12ストロークとは(F♯m)部のところですよね?コードは開放弦が含まれてないと思うのですが・・・・

違う押さえ方なのでしょうか?
返信する
ご回答です♪♪ (らば~そうる)
2006-08-17 01:44:18
to:J(たぶんJohannes)さん



ご質問、ありがとうございます。

わかりにくい本文ですみませんでした。

回答させていただきます。



具体的に書きますね♪

耳で聴いた結果なので不確かな部分もあります。

仮説としてお聞きください。



開放弦(1弦E音と2弦B音)を

無意識(だと思います)に弾いてしまうのは

バレーコードから非バレーコードに移行するとき

あるいは反対に、非バレーコードからバレーコードに

移行するときのようです。(例外もあります。)

次の小節へ移行する直前のストロークのことを

指しています。



下記の1行は1小節単位の進行を表しています。

その小節の最後、★印が付いている箇所で

1弦と2弦の開放弦を弾いているように聴こえます。

コードフォームを変える際の

「移行」(もちかえ)の影響かと推察します。

バレーからバレーへの移行は平行移動になり

もちかえが比較的スムーズにいくのかなと思いますが

バレーから非バレー、あるいはその反対は

どうしても多少時間がかかってしまうかと存じます。

ただ、フレット移動が少ない箇所は

非バレーからバレーの移動の際でも

スムーズに(開放弦弾きを入れずに)移行しています。

(例:3小節めのE→4小節めのC#m)



コード(バレー):歌詞



F#m バ   :(Close Your) Eyes and I'll★

B   非バ  :kiss you to-

E   非バ  :morrow I'll

C#m バ   :miss you Re-

A   バ   :member I'll

F#m バ   :always be★

D   非バ  :true★

B7  バ   :・・・・・・And then★

F#m バ   :while I'm a-★

B   非バ  :way I'll write

E   非バ  :home everyda-

C#m バ   :y And I'll se-

A   バ   :nd all my lo-

B   バ   :ving to to-★

E   非バ  :u



以上、長くなりましたが、回答を終わります。

いかがでしょうか。
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