ろらぶろぐれっしぶ

2娘の母で国語教室の先生のろらんがたあいのない暮らしを綴ります

国語教室 授業の内容(園児さん)

2012年04月06日 | 子育て・教育の話
いよいよ国語教室の授業がはじまりました。
どんなことやってるのかナゾだって思ってる人が多いと思うので、内容を紹介します。
おうちでもできることも結構あるので、ぜひためしてみてください♪
今日はひらがなの読み書きがまだの園児さんの授業の一例です。



★古文などの音読
授業では毎回音読の時間を設けています。
読む作品は月がわりで、今月は枕草子の第一段春はあけぼの~冬まで。
これを毎回読みます。

読むっていっても、まだ平仮名を読めない年齢の生徒さんなので、先生に続いて繰り返す形で行います。


先生「春は」     生徒「春は」
先生「あけぼの」   生徒「あけぼの」
先生「ようよう」   生徒「ようよう」
先生「白くなりゆく」 生徒「白くなりゆく」


って感じ。
ただ繰り返すと退屈なので、なんとなく意味がわかるように、ちょっとおおげさな読み方をしてみたり、ジェスチャーしてみたりして読んでます。
中学生で読むような古文ですが、結構園児さんでもノリノリで読んでくれます。

これは聞く力を鍛えることが狙いです。
知らない言葉でも、まず耳に入った言葉をそのまま正確に口に出せる。
苦手な子は、知らない単語になると途端に何も言えなくなったり、もとの言葉とは全然違う音を口にしたりします。
英語でもこういう練習方法ありますよね?
音さえ聞き取ることができたら
「○○はどういう意味?」
と後で質問することもできます。
まずはきちんと聞き取ることが大事です。

もう一つの狙いは、日本語の音やリズムを感じてもらうこと。
はじめての文章でも、音やリズムが身についているとわりとすんなり読めるようになります。

そして読めなくても

こんな感じの本文のプリントを手元に置いて読みます。
繰り返して読むうちに頭の中に言葉が入ってきたら、自分が声に出している言葉はどのあたりなのか、目で追ってもらいます。
知らない単語をいきなり読まされるよりも、知ってる文章を読む方が苦痛に感じにくいのです。
この時期の子の音読は、文字を読むための準備も兼ねているわけです。

また、古い言葉の響きを知ることで、現代の言葉への流れに気付いてもらうことも期待しています。
古文の文法や言葉は現代のものとはだいぶちがいます。
でも完全に全く違うものに変わったわけではなく、今の言葉の中にも古い時代の面影が残っています。
そして現代語も、面影を残しつついずれ変化してゆくはずです。
言葉は生き物であり、時代や場に合わせて変わってゆくもの、だから辞書や先生に習った意味を鵜呑みにするのではなく、その時その場にいちばんぴったりな言葉を選んでいってほしい。
そのためにも、別の時代の日本語を知っておくということはとても大切なことだと思います。


★運命のひらがな

2月ごろに書いた「ひらがなはこうやって覚えました」で紹介した「ひらがなつみき」を使っています。
つみきを袋に入れて、中身を見ないように2~3個ひいてもらって、それをその子の「今日の運命のひらがな」とします。
まずは読み方を教えて、形を指でなぞってみたりしてその文字を覚えてもらいます。
ひっくりかえしてイラストから文字を探したり、いろんな積み木とまぜて自分の運命のひらがなを探したりします。
かさばるからカードにしようかとも思ったのですが、このくらいの年齢の子だとやっぱり手触りがしっかりしている積み木の方が扱いやすいし、記憶にも結びつきやすいように思います。


生徒さんには1人1枚ずつ平仮名一覧表があり、積み木と見比べながらその表の中にある運命のひらがなを探してもらいます。
みつけたら私がその日の日付を書き込みます。
これはそのまま覚えた文字のチェックシートになるわけです。

読みを覚えるには「同じ文字を探す作業」というのが結構効きます。
そのカルタや積み木ならよめても、手書きや違うフォントでは読めないというパターンが結構あるのです。
だから積み木はその日の授業中、ずっと手元においてもらって、絵本や音読プリントなどで同じ文字が出てきたら、すぐに「あった!」と積み木を掲げてもらうことになっています。
ドリルの順に覚えるのもいいけど、こういう与えられていないランダムな出会いの方が、生徒さんもほんとうに「運命」を感じてもらえていいんじゃないかなーと思います。
そうやって授業を重ねるごとに、読める平仮名を少しずつふやしてゆくわけです。

★読み聞かせ

いろんな文章の読み聞かせを行います。
絵本なら、まず絵だけみてストーリーを想像してもらってから読んだり、読んだ後に「どんなことが書いてあった?」「誰が出てきた?」と内容について質問したり。
できるだけさまざまなジャンルの文章を読んでいきたいので、読み物だけではなく、子供向けの新聞でニュースの記事を読んだり、計算はできなくても算数の問題を読んでみて、どの数字が何をあらわしているのか考えてみたりします。
文章を読んで内容をつかむ練習がメインですが、ついでに授業で出会った文から世の中のことやそれに関連する語彙、情報を得られると、後でそのジャンルの文に出会ったときにも理解しやすくなります。

もちろん積み木はずっと手元に置いてあるので、読んでる途中でちょこちょこ
「今の言葉、誰の運命?」
と尋ねたりします。



こんな感じでだいたい45分程度の授業を行います。
内容は毎回かならず一緒ではないですが、音読・文字・読み物の組み合わせのパターンが多いと思います。
一回こっきりな授業ではなく、その子にとって知識や技術が少しずつ積み重なって行くような、連続性のある内容にしたいと思っています。


たくさん教えて勉強もしてきたつもりだけど、まだまだ自分自身の経験や知識の足りなさを感じます。
奥深くて、親しみやすい、なおかつ楽しい授業ができるように精進してゆくつもりです。