前回のお話の続きです…。
私がロルフィングという施術を通じて、身体構造の統合を促進する時に、指標とするものがあります。それは、テンセグリティーとラインです。
テンセグリティーとは、数学者のバックミンスター・フラーが普及させた、あらゆる形の基本構造です。それは「張力のバランスによって、全体の構造の安定が保たれる」という仕組みの構造です。(※張力:tension+まとまり:integrity ⇒ tensegrity)(※発案者ケネス・スネルソンのHPでは、様々なテンセグリティーが紹介されています。 http://www.kennethsnelson.net/ )
古代建築に見られるような、積み木のようにレンガや石によって組み立てられた建物は、重力が下へと伝わることによって全体の構造が保たれています。このような仕組みを「圧力モデル」と呼びます。これによって大きな空間を作ろうとすると、積み上げた材料の重みがどんどん大きくなり、それを支える下部の構造はさらに頑丈にする必要があります。
これに対してテンセグリティーは、「張力モデル」と呼ばれ、重力に頼ることなく、軽い材料でしっかりとした大きな空間を作ることができるので、建築資材や工事の手間が少なくて済み、現代建築に応用されています。また、従来の「圧力モデル」は、重力の加わる方向が変化するような「動き」に対してはもろい傾向がありますが、テンセグリティーは、無重力の宇宙空間でも形を保っていられます。
よく、宇宙の構造と原子の構造は似ていると言われます。どちらも、星や電子などの引力のバランスによって、構造が保たれています。これはまさにテンセグリティーです。
昔の生物学の授業では、細胞は膜に包まれた液体の中に、核やミトコンドリヤなどの器官が「浮かんでいる」ような構造をしていると教えられました。しかし、その後の電子顕微鏡などの測定機器の発達により、それらの器官は浮かんでいるのではなく、「細胞骨格」という微細な骨組によって支えられていて、それは細胞同士を結び付ける細胞外基質へと連続していることが分かってきました。つまり生物の細胞レベルでは、全身に渡ってテンセグリティー構造が見られるのです。
また、骨格と筋・腱・靭帯・筋膜によるネットワークもテンセグリティーですし、骨の内部構造などにもテンセグリティーが見られます。このようにテンセグリティーは、小さなものから大きなものまで、あらゆるレベルで当てはまる、ものの形の基本構造だと言えるのです。
さて前置きが長くなりましたが…、身体構造のバランスを考えるために、このテンセグリティーを当てはめてみます。
例えば、肩こりや腰のはりなど、からだの一部が過度に緊張している状態の背後には、テンセグリティー構造に張力の偏りがあると考えます。そこで、構造全体に均等に張力がかかるように誘導します。
ロルフィングでは、体の上下前後左右の3次元的な広がりを観察し、それが均等に広がることを追いかけていきます。横隔膜周辺から始めて、テンセグリティー構造の各部の相関関係に従って、あちこちに移動しながら、手技と運動療法を併用して施術を行います。
柱や壁のように胴体を固くしている人には、積み木を積み上げるように、「圧力モデル」によって体を支えようとしている傾向が見られます。しかし、縮こまることによって体を安定させるのではなく、上下左右前後に柔軟に広がることによって構造が安定すると、体の動きが阻害されることなく、姿勢を安定させることができます。またこれには、体の使い方の変化に伴う意識のシフトが見られます。
そして、このようにテンセグリティーとしてのバランスを回復したからだは、その中心が「ライン」と呼ばれるものに貫かれているのが見えてきます。それは、体の中で効率よく力が伝達されるために、動きの中心軸や、力のベクトルがより明確になり、目に見えるようになるためだと思います。
外側から見えるこの「ライン」は、本人が自覚することができます。そこで、この「ラインの感覚」が明確になっていくことが、身体構造の統合を目指す指標になると考えています。
「ライン」ついては、さらに次回に続きます。
私がロルフィングという施術を通じて、身体構造の統合を促進する時に、指標とするものがあります。それは、テンセグリティーとラインです。
テンセグリティーとは、数学者のバックミンスター・フラーが普及させた、あらゆる形の基本構造です。それは「張力のバランスによって、全体の構造の安定が保たれる」という仕組みの構造です。(※張力:tension+まとまり:integrity ⇒ tensegrity)(※発案者ケネス・スネルソンのHPでは、様々なテンセグリティーが紹介されています。 http://www.kennethsnelson.net/ )
古代建築に見られるような、積み木のようにレンガや石によって組み立てられた建物は、重力が下へと伝わることによって全体の構造が保たれています。このような仕組みを「圧力モデル」と呼びます。これによって大きな空間を作ろうとすると、積み上げた材料の重みがどんどん大きくなり、それを支える下部の構造はさらに頑丈にする必要があります。
これに対してテンセグリティーは、「張力モデル」と呼ばれ、重力に頼ることなく、軽い材料でしっかりとした大きな空間を作ることができるので、建築資材や工事の手間が少なくて済み、現代建築に応用されています。また、従来の「圧力モデル」は、重力の加わる方向が変化するような「動き」に対してはもろい傾向がありますが、テンセグリティーは、無重力の宇宙空間でも形を保っていられます。
よく、宇宙の構造と原子の構造は似ていると言われます。どちらも、星や電子などの引力のバランスによって、構造が保たれています。これはまさにテンセグリティーです。
昔の生物学の授業では、細胞は膜に包まれた液体の中に、核やミトコンドリヤなどの器官が「浮かんでいる」ような構造をしていると教えられました。しかし、その後の電子顕微鏡などの測定機器の発達により、それらの器官は浮かんでいるのではなく、「細胞骨格」という微細な骨組によって支えられていて、それは細胞同士を結び付ける細胞外基質へと連続していることが分かってきました。つまり生物の細胞レベルでは、全身に渡ってテンセグリティー構造が見られるのです。
また、骨格と筋・腱・靭帯・筋膜によるネットワークもテンセグリティーですし、骨の内部構造などにもテンセグリティーが見られます。このようにテンセグリティーは、小さなものから大きなものまで、あらゆるレベルで当てはまる、ものの形の基本構造だと言えるのです。
さて前置きが長くなりましたが…、身体構造のバランスを考えるために、このテンセグリティーを当てはめてみます。
例えば、肩こりや腰のはりなど、からだの一部が過度に緊張している状態の背後には、テンセグリティー構造に張力の偏りがあると考えます。そこで、構造全体に均等に張力がかかるように誘導します。
ロルフィングでは、体の上下前後左右の3次元的な広がりを観察し、それが均等に広がることを追いかけていきます。横隔膜周辺から始めて、テンセグリティー構造の各部の相関関係に従って、あちこちに移動しながら、手技と運動療法を併用して施術を行います。
柱や壁のように胴体を固くしている人には、積み木を積み上げるように、「圧力モデル」によって体を支えようとしている傾向が見られます。しかし、縮こまることによって体を安定させるのではなく、上下左右前後に柔軟に広がることによって構造が安定すると、体の動きが阻害されることなく、姿勢を安定させることができます。またこれには、体の使い方の変化に伴う意識のシフトが見られます。
そして、このようにテンセグリティーとしてのバランスを回復したからだは、その中心が「ライン」と呼ばれるものに貫かれているのが見えてきます。それは、体の中で効率よく力が伝達されるために、動きの中心軸や、力のベクトルがより明確になり、目に見えるようになるためだと思います。
外側から見えるこの「ライン」は、本人が自覚することができます。そこで、この「ラインの感覚」が明確になっていくことが、身体構造の統合を目指す指標になると考えています。
「ライン」ついては、さらに次回に続きます。
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